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又は船舶に関する権利関係につき、記載することをいい、また、このように記載されたものをいう。

(1) 船舶登記は、船舶に関する私権の状態を公示し、自由取引の安全を保証する機能を有する。それが公示方法である点においては、他の登記制度と同一であるが、強制的登記事項と任意的登記事項とを包含する点においては、不動産登記と異なり、登記事項が主として権利に関する点においては商業登記と異なる。また、手続法の面からみれば、不動産登記及び商業登記には、それぞれ不動産登記及び非訟事件手続法があるのに対して、船舶登記には船舶登記規則がある。したがって、船舶登記は、前記両者と対立する海商法上固有独立の制度であるということができる。

(2) 船舶登記は、前述のように、行政上の目的と結びつけられていることにその特質がある。すなわち、船舶の所有権の登記は、強制登記とされ、手続法上、船舶の総トン数の測度及び船舶の登録とともに一連の手続を要するものとされる。さらに、登記の効力について、船舶所有権の移転の対抗力は、その登記と登録(船舶国籍証書の請受)をなすことにより生ずるものとされるのである(商法687条)。

 

2. 船舶登記の種類

船舶登記は、種々の観点から分類されるが、登記本来の効力たる対抗力の変動を生ずるか否かによりみれば、終局登記(本登記)と予備登記とに分けることができる。

(1) 終局登記 終局登記とは、登記本来の効力たる対抗力を発生、変更若しくは消滅せしめる登記である。したがって、実体法的に物権変動が生じ、かつ、手続法的に船舶登記規則に規定する手続的要件を具備した場合になされるものである。終局登記は、仮登記に対して本登記とも称せられる(船登規則1条、不登法7条2項参照)。

(2) 予備登記 予備登記とは、登記本来の効力たる対抗力の変動には直接関係がなく、間接的に関係を有する登記をいう。これに属するものとして仮登記と予告登記とがある。

(ア) 仮登記 仮登記とは、終局登記(本登記)をなしうるだけの実体法上又は手続法上の要件が完備していない場合に、将来その要件が備わったときになされるべき本登記のために、あらかじめその順位を保全する目的でなされる登記をいう(船登規則1条、不登法2条)。そして、後日条件が完備して本登記をしたときは、仮登記の順位が当該本登記の順位となるのである(船登規則1条、不登法7条2項)。

(イ) 予告登記 予告登記とは、登記原因の無効又は失効による登記の抹消又は回復の訴が提起された場合に、これを第三者に警告するために、受訴裁判所の嘱託に基づいてなされる登記をいう(船登規則1条、不登法3条、34条)。予告登記は、当該船舶の既存の登記についてある種の訴が提起されたという事実を公示することにより、第三者に警告を与えるという事実上の効果を有するのみであって、登記本来の効力たる対抗力とは無関係な特殊な登記である。

船舶登記の種類は、前述の分類のほか、登記の内容により、記入登記(所有権保存登記、所有 

 

 

 

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