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第5章 最終確認実験
 
5.1 目的
 第3章で効果が認められた「点状ブロックのホーム内側に1本の線状突起(内方線)を設けたブロック(混合ブロック)」と混合ブロックを含めた新たなブロック敷設方法が、利用者に支持されるか否かを確認するとともに、実際の鉄道駅のプラットホーム(駅ホーム)における利用場面で、顕著な負の影響を及ぼす可能性がないことを確認することを目的とした。
 
5.2 実施概容
 
5.2.1 実施時期
 実施期間は、平成14年1月12日から1月18日の休日を含む7日間であった。なお、雨天もしくは降雨確率が高いために事前に実験を取り止めた時間帯があった。
 
5.2.2 実験実施場所
 供用中の駅ホームに、実験内容に合わせてブロックを敷設することや柱を立てることは、被験者と他の一般利用者の安全を考慮すると極めて困難である。そこで、財団法人鉄道総合技術研究所国立研究所(くにたちけんきゅうじょ)の敷地内に設けた駅ホームを模した実験場を活用することとした。実験場の写真を資料編3-1に添付した。
 
5.2.3 実験場の概要と使用したブロック
 実験場は、施工の不具合が実験に及ぼす影響を排除するために、実験場における各ブロックの高低差が2mm以下となるように配慮されたものである。
 この実験で使用した混合ブロックは、この実験に先立って実施された「混合ブロックの有効性の検証および最適形状の特定に関する実験(第3章参照)」によって採択された点状突起と内方線の構成条件を、2枚の300mm角のブロックを用いることで満たすように設計されたものである。また、混合ブロックと柱などの構造物が干渉する場合に、その構造物を事前警告するブロックの案を試作して敷設した。それぞれのブロックの形状を図5.1図5.2に示す。なお、実験場に敷設した点状ブロックと線状ブロックは、JIS T 92511)に準拠したコンクリート製のものを使用した。駅ホームにあたる床面には、JIS A53042)に準ずるコンクリート製の平板ブロックを敷き詰めた。なお、全てのブロックは着色せず素材色のままとした。
 実験場のブロック配置を図5.3に示す。ブロックは後述する実験内容に合わせて配置した。また、実験場には駅ホーム上の柱を模した可動式の柱(図5.4)を設置した。柱を立てた実験場の様子を図5.5に示す。
 
図5.1 300mm角のブロックの組み合わせによる混合ブロック
線状突起部分はJIS T92511)にある線状突起が当該箇所に配置された型枠を作って試作した
 
図5.2 
300mm角のブロックの組み合わせによる構造物事前警告のためのブロック案
追加される点状突起部は、JIS T 92511)の点状ブロックの型枠の点状突起3列分を埋めた型枠によって試作した。
 
(拡大画面:48KB)
丸付き数字は実験手続きに記された各実験の実施場所を示す(実施内容は後述する)
塗りつぶした■は、300mm角の柱を示す
(9)の部分には、点状ブロックに点状突起2列を付加した構造物事前警告のためのブロック案(図5.2)を敷設した
 
 
図5.4 実験に使用した可動式の柱と柱用の台座
柱本体には、被験者が衝突しても怪我をしないように建築用の発泡性断熱材を加工したものを使用した。
柱の寸法は、300mm×300mm×1820mmであり、重量は約4kgである。
柱が倒れないようにするための台座には、人が衝突しても簡単に倒れないように約10kgの鉄製の升(写真下)を試作して使用した。升の深さは、白杖の当たる範囲をカバーできるように約600mmとした。
 
図5.5 柱を立てた状態の実験場の写真







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