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基盤的研究課題調査調書

 事業名 造船技術研究開発課題の調査
 団体名 日本造船研究協会 注目度注目度5


3.3 モノハル型高速RoPaxフェリーの推進システム
 
3.3.1 RoPaxフェリーの現状
 日本において在来型フェリーは、カーフェリー、トラック輸送が主であり、高速道路等他の交通手段の整備向上とともに厳しい競合状況にある。一方、環境の観点からのモーダルシフト政策等による新規領域への発展も期待されている。また、生活活動の多様化ニーズに対する港湾までの交通機関の整備の不整合性等からフェリーの形態も、連絡船、多目的フェリー、カーフェリー、クルーズフェリー(1980年代)、カジュアルフェリー(1991年以降)、ヘッドレス方式などの変遷と多様化をしている[3−1]。
 今までの国内長距離フェリーの場合、出入港時間と湾内航行時間等の短縮が第一に解決される問題であり、高速化大型化は次の課題と考えられる。そのためには、大型・複雑化する荷役への対応、船首等からの様々な車両を積載できる高速船型(船幅の増加)、船の重心を下げることのできる機関や機関配置、曳き波等の湾内環境への影響の少ない航行制御、航路設定、規制の見直し等の検討が必要となる。また、荷の変動(閑散期)に対応して喫水、燃料調整ができることも望まれている。
 一方、RoPaxフェリーは特定のタイプが航路向けに設計されるので、荷の増加が無ければ船型は変化しない。変化するとすれば、継続する荷の増加を考えた大型化が最初に現れると思われる。また、旅客と貨物の比率、旅客の分類(旅客の季節性)によっても一般配置、船型が異なってくる。
 欧州では[3−2]、広い乗客区画と船室を備えたオーバーナイト型フェリーの発注が多くなっており、25,000〜35,000GTと大半が大型である。速力は1990年代22ノットから28ノット前後へと高速化している。車長ベースの積載能力としては約2,200LM(Lane Meter)付近である。旅客輸送能力としては500名以上を有する。
 
3.3.2 船型及び推進システム
 高速フェリーでは本質的には旅客指向のフェリーとなるため、軽量なアルミ船体のものが多く、ガスタービンあるいは高速ディーゼル推進を採用している例が多い。速力は30〜45ノットで大半は双胴船だが、最近では半滑走型単胴船もでてきている。RoPaxフェリーは高速フェリーよりは貨物指向のフェリーであり、速力を落とし、大型化を図る傾向になる。
 主要寸法等の傾向を見るために、ShipPax Database HiSpeed01(第2回高速船フォーラム[3−3])や雑誌(「船の科学」、「Speed at Sea」、「Naval Architecture」、「SMM Pamphlet」など)からモノハル型RoPaxフェリーを中心に船長、船幅、喫水、航海速力、主機馬力、推進器の種類、軸数、載荷重量、総トン数等を調査した。収集したデータは82隻分で、そのうち40隻がウォーター・ジェット推進、27隻が可変ピッチプロペラ推進の船であり、6隻以外は多軸船型と思われる。
 全船長約60〜300m、船幅約10〜40m、喫水約2〜9m、総トン数約800〜50,000GT、馬力約3,000〜70,000kW、載荷重量約200〜17,000トン、速力約20〜45ノットの範囲のデータであり、ほとんどが2軸以上またはウォーター・ジェット推進が2〜6基装備の船である。概略的にL/B〜7、B/d〜4の線上付近にあり、35ノット以上ではほとんどウォーター・ジェット推進で載荷重量が1,000トン以下の船が多い傾向にある(Fig.3.3.1と2を参照)。
 
Fig.3.3.1 船長と幅、喫水との関係
 
Fig.3.3.2 船速と荷重係数との関係
 
Fig. 3.3.3 船長と馬力との関係
 
 また、Fig.3.3.3に示すように、ウォーター・ジェット推進船のデータでは船長に対して馬力が指数関数的に大きくなる傾向が見られ、150m以上のウォーター・ジェット推進船は無かった。この理由としては、ポンプ特性が原因と思われるが、逆に言えば、この領域での高性能なプロペラで、船尾振動の少ない船型が必要とされていることが分かる。
 速力27kn以上で船長150m〜200mの4隻の資料からスラスト係数CTを推定して見た結果では0.3程度であり、プロペラ荷重度としては低い(Table 3.3.1を参照)。
 
Table 3.3.1 モノハル型RoPaxフェリーの主要目例
    Superfast III Bluestar Knossos Palace Mega Express
Gross Tonnage [ton] 29,067     23,700
Deadweight [ton] 5,651 5,065 5,850 3,500
Length Lpp [m] 176.0 160.5 191.2 157.0
Loa [m] 194.3 176.1 214.0 172.7
Breadth B [m] 25.0 25.7 26.4 24.5
Depth D [m] 9.1 15.1 10.0 9.3
Design Draft d [m] 6.4 6.35 6.85 6.55
L/B [-] 7.04 6.24 7.24 6.41
B/d(Design) [-] 3.91 4.05 3.85 3.74
Displacement [ton] 17,000 14,764 21,267 14,500
CB(Design) [-] 0.589 0.550 0.600 0.561
Ship Speed Vs [kt] 28.50 27.00 31.50 29.00
Power DHP [PS] 23,449 23,005 40,480 31,324
  [kW] 17,255 16,928 29,786 23,049
Prop. Dia. Dp [m] 5.100 5.200 5.700 5.200
No.of Blade Z [-] 4 4 4 4
CT w/o S.M. [-] 0.290 0.288 0.302 0.321
 
 船型的には、トランサム船型となり、船体等とプロペラとの位置関係とクリアランスが問題点となる。また、喫水が比較的浅く高速化や操船等のため2軸多軸船型が多くなり、推進効率や振動を考慮してトンネル型やスケグ型、ボシングン型と多様な船尾形状やシャフトストラット[3−4]等が検討される。
 
3.3.3 設計ツール
(1)チャート、データベース
 主要寸法等の選択等の初期設計段階でのチャートについては、大型高速船の傾向は最近のことであり、個別的にコンサルタント、造船所等が個別に対応してきたため公表されたデータベース的資料は少ない。
 オランダのMARINでは、主要寸法選択に、水槽試験データを基礎としたプログラム(DESP)を利用している[3−5]。
 
(2)理論設計ツール
 自由表面問題、即ち造波抵抗の解析のための理論計算コードとしては、現在ランキンソース法[3−6]を中心とした非粘性流体を対象とした境界要素法による解法が主流である。水面の変形、船体姿勢制御の変化を考慮に入れ、より計算精度を向上させた非線形解析法であるRAPIDコードがMARINや川崎重工[3−7]では利用されている。
 粘性流体解析、即ち粘性抵抗、船尾流場の解析コードとしては、現在RANSモデルで、乱流モデルを採用し、有限体積法を解法とするものが主流である。日本では肥大船を中心に適用実績が広がっているNICEコードやTUMMACコードが利用されている。さらに、自由表面を同時に扱えるNEPTUNEコード等も実用段階に入りつつある。オランダのMARINが共同プロジェクトでRoPaxフェリーの設計作業を行った時は、CFDコードとしてRAPIDとShipFlowが用いられ、”wave damping aftbody”の開発が行われている[3−5]。また、モノハル型2軸RoPaxフェリーの低振動設計の研究[3−8]を発表しているイタリアのFincantieri造船所でもShipFlowが使われている。高速フェリー船型では、トランサム船型で多軸船型(Twin Skeg、Shaft Bracketなど)が多く、格子生成や計算精度等に関しての問題点が多くなる。
 主要寸法、造波特性・プリズマティックカーブの検討など初期検討時のランキンソース法による計算では、実績・使い勝手と堅牢性等が重要となる。また、CFDコード、特にRANSコードでは複雑形状(トランサム、Twin Skeg等)に対する柔軟な形状表現と計算格子の生成とそれに伴う計算時間の増大が問題となる。
 最も重要な課題が、プロペラと船体との干渉を含めた自航状態の推定に使用できる実用コードが少ないことである。
 
(3)実験方法
 高速トランサム、多軸船型を検討するためには、伴流計測を含めた船型試験に加え、理論計算等の確認のための波紋計測が有用となる。さらに、旅客船であるため、高速でプロペラは不均一伴流中で作動するため、キャビテーション試験及船尾変動圧力計測が最重要不可欠となる。
 
3.3.4 まとめ
 モノハル高速RoPaxフェリーとしては2軸船型が多く、高速になるとほとんどがウォーター・ジェット推進の船型が多かった。プロペラを装備した船も2軸のためプロペラ荷重度は高くなく、客船であることからむしろ船尾振動の徹底した低減の方が重要と考えられる。また、150m以上のモノハル船型においては、推進装置はプロペラの独壇場であり、高速化のニーズに答えるためには高性能で静かなプロパルサとこれと最適な組み合わせの船型の開発が必要とされている。
 設計ツールとしては、コンテナ船と同様の実験/計算ツールが使えると考えられるが、船尾形状、特に多軸船型の処理等に関しては工夫が必要と考えられる。また、船尾変動圧力に関してはコンテナ船と同様に信頼性のある設計ツールが必要である。







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更新日: 2020年4月4日

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