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基盤的研究課題調査調書

 事業名 造船技術研究開発課題の調査
 団体名 日本造船研究協会 注目度注目度5


4.プロジェクト提案
 以上の調査に基づいて、新しい研究を提案することが望まれている。考えられる幾つかの例を挙げる。
 
(1)Suez Max 型コンテナ船の推進システムの研究
 現在、スケールメリットから大量のコンテナを積載できるポストパナマックス・コンテナ船の研究が欧米、韓国で盛んに研究が行われている。パナマックス・コンテナ船は、船幅は32.25m以下に制限され、これに伴い、4,700TEU程度が限界となる。このため、8,000TEU以上のコンテナ積載可能なポストパナマックス・コンテナ船として、Super−Jumboコンテナ船、スエズマックスSuez Max・コンテナ船や更に大型のマラッカマックスMalacca Maxコンテナ船プロジェクトなどが提案され、概念設計が行われている。
 運航速力25ノットの12,000TEU積みの1軸スエズマックス・コンテナ船を例に、プロペラをMAUプロペラ・チャートで設計してみた。直径を10.4m とすると、プロペラ荷重度はCTT1.22程度となり、非常に高荷重(SR230研究部会はCT=0.7618)のプロペラとなる。
 この船に対して、現在のところまだ製作(設計済み)されていないが、世界最高出力ディーゼル機関であるSulzer 14RTA96C(14気筒、76,860kW、104,580PS x 100rpm)を搭載したとして、MAUプロペラで設計すると、必要な効率に達せず、即ち推力が発生しない。プロペラを低回転大直径化することによって、キャビテーションが発生しないとすれば推力を発生させることができる。しかし、展開面積が小さくならざるを得ず、推力低下やエロージョンを生じる危険性が充分予測され、必要な船速が出ないことが予想される。また、バラスト条件と喫水制限から直径は制限される。
 このような船に有効な既存のプロパルサとしては、1軸船に拘るとタンデム・プロペラが有効で、この他に2重反転プロペラやPre−Swirl Propellerが考えられるが、後者2つのうち、2重反転プロペラについては後ろプロペラにおいて危険な渦キャビテーションが発生し、深刻なエロージョンが発生することが危惧される。タンデム・プロペラは設計法が確立していない。
 以上のことから、この種の高荷重プロペラを装備するコンテナ船やPCCに対して高効率かつキャビテーションが発生しにくい3次元船尾流場を考慮した1軸プロペラFlow Adapted Propellerとその設計法の開発がブレーク・スルーとなることが期待される。船型を含めた推進システムの性能向上を図り、その設計ツールを開発・システム化することが、スエズマックス・コンテナ船や、更に大型のマラッカマックス・コンテナ船用のプロペラ開発並びに更なる高速化(30ノットクラス)にとって不可欠である。また、1軸船を採用した場合は船尾形状、即ち伴流分布の開発に細心の注意を払う必要があり、喫水制限でプロペラ直径が制限されるので著しい高荷重プロペラとなることから、船尾振動やエロージョンの発生防止・低減策と船尾周りの流れをスムーズにし、伴流変動振幅の小さくなる船型と推進システムを研究する必要がある。
 
(2)高速中型コンテナ船の推進システムの研究
 荷重度は大型コンテナ船と同程度なので、(1)の研究成果を応用できる。また、30ノット以上の高速化をテーマとした研究プロペラとモノハル船型が提案できる。特に、中国などの東アジアでの工場生産や生鮮食料品の我が国への輸入が目覚ましいことから、この種の船の船型開発が有望である。
 
(3)モノハル型近海高速RoPax・フェリーの推進システムの研究
(4)複胴型近海高速RoPax・フェリーの推進システムの研究
 上記2つのテーマに関しては、高速ではあるが高荷重プロペラとはならない。しかしながら、キャビテーションが発生は避けられない反面、特に旅客船の場合は船尾振動の低減は重要な研究テーマとなる。また、ウオーター・ジェット推進器に代わる新形式プロペラやハイブリッド推進法の研究がもっと推進されても良いと思われる。
 
5.おわりに
 高速高荷重推進システムの研究として、次のような研究が考えられる。
1. 12,000TEU級の超大型コンテナ船用プロペラの研究が最も有意義で、最近の欧米韓での船型開発研究動向と合致している。在来型プロペラとポッデッドプロペラの組み合わせの二重反転プロペラが注目されているが、異なる研究として、一軸プロペラをターゲットとした研究が経済上からのメリットが大きい。プロペラは従来より格段に高荷重となり、非定常キャビテーションの発生が問題となり、この船型用の最適プロペラとその設計法を開発することが必要である。高荷重の場合、プロペラ後流の変形が大きく、また広範囲にキャビテーションが発生しているので、高効率かつ3次元船尾流場とを考慮してキャビテーションが発生しにくくしたプロペラFlow Adapted Propellerとその設計法の開発がブレークスルーとなることが期待される。これに伴いプロペラ後流の変形を考慮した性能解析法の開発とこの検証データ取得のための研究も不可欠である。
 この様なプロパルサやその設計法が開発されれば、中型コンテナ船の積載量の増加と高速化に応用することが期待できる。また、PCC(Pure Car Carrier)に装備される一軸プロペラの荷重度CTはコンテナ船と同等以上であり、船尾振動が重大な問題となることがあり、この種の船型に対してこのプロペラについての研究成果が応用できる。
2. 高速フェリーについては、ウォーター・ジェット推進器がほとんどであるが、プロペラ(SCPやTCPなど)を装着した場合との科学的比較検討がなされた例がなく、同じペイロードでの最適船型とプロパルサの比較調査もプロジェクトの一つとして提案できる。これに用いられるプロパルサとしては、浅喫水であるので、ベンチレーテッド・プロペラも候補の一つとして挙げられる。
3. RoPaxフェリーは高荷重度プロペラにならないが、船尾振動を格段に低減する必要があり、キャビテーションの制御を含めたプロペラ設計法の開発が課題として挙げられる。これに伴い、船尾変動圧力の推定法が未だ確立していないことから、船尾変動圧力推定法の確立を含めた研究が提案できる。
 
参考文献
(1章)に関係するもの
 
[1] Hamalainen, R. et. al.: Hydrodynamic Development for a Large Fast Monohull Passenger Ferry, Trans. of SNAME, (2000.6), pp.413〜441
 
(3.1章)に関係するもの
 
[1−1] 長塚誠治:最近のコンテナ船大型化の動向 ―大型化の要因と問題点等―、造船研究 (2000)
[1−2] Five giant liners from Hyundai for Costamare, The Naval Architect, (2000.6), p.30
[1−3] Preparing for the mammoth container liner, The Naval Architect, (2000.9), pp.113〜115
[1−4] New Wave of giant container ships, HANSA, (2001.1), pp.56, 57
[1−5] Prime movers and propulsors for tomorrow's supercontainer liners, The Naval Architect, (2001.2), pp.6〜8
[1−6] Container-ship leviathans to receive the CRP Treatment, The Naval Architect, (2001.4), p.7
[1−7] It's a question of size, The Motor Ship, (2001.5), pp.35, 38, 39
[1−8] Big ideas turning to reality?, The Naval Architect, (2001.6), p.3
[1−9] Inland transport of containers from tomorrow's giant ships-problems ahead?, The Naval Architect, (2001.6), pp.8〜11
[1−10] Daewoo ready for the 9000TEU giants, The Naval Architect, (2001.6), pp.12〜14
[1−11] More thoughts on powering megaliners, The Naval Architect, (2001.7,8), p.66
[1−12] Super-Jumbos mit 9.000 TEU+, HANSA, (2001.8), pp.40, 42, 43
[1−13] Hapag-Lloyds neuer Jumbo, HANSA, (2002.1), pp.34〜36
[1−14] Container vessel fleet still growing, The Motor Ship, (2002.10), pp.17, 18, 20
[1−15] 池田良穂;コンテナ船の大型化の歴史、超大型コンテナ船シンポジウム前刷集、関西造船協会(2001.6)、pp.2〜10
[1−16] Blake, W. K. et. al.: Design of APL C-10 Propeller with Full-Scale Measurements and Observations under Service Conditions, Trans. of SNAME (1999), pp.77〜111
[1−17] Gallin, C. M.: Comparison of Propulsion Plants for Ultra Large Container Ships of Tomorrow, Trans. of SNAME, Vol.104, (1996), pp.219〜238
[1−18] Payer, H. G.: Technological and Economic Implications of Mega Container Carriers, Trans. of SNAME, Vol.109, (2001), pp.101〜120
[1−19] Rosello, B.J., et. al: An Efficient Single-Screw 11000 TEU Containership: The Suez Max SS, Marine Technology, Vol.38, No.4, (2001.10), pp.219〜232
[1−20] 脇山典広:オーバーパナマックスコンテナ船、超大型コンテナ船シンポジウム前刷集、関西造船協会(2001.6)、pp. 47〜59
[1−21] IHI develops a CRP system for giant box ships, The Motor Ship(2001.4), p.35
[1−22] 佐藤和男:大型コンテナ船用2重反転プロペラシステムを開発〜10,000個積クラスのコンテナ船に対応可能〜、超大型コンテナ船シンポジウム前刷集、関西造船協会(2001.6)、pp.60〜63
[1−23] 遠藤雅右:超大型コンテナ船 Ultra-Large Container Ships(ULCS)、超大型コンテナ船シンポジウム前刷集、関西造船協会(2001.6)、pp.60〜63
[1−24] Carlton, J.S.,: The Propulsion of Large Container Ships a Note on the Propulsion Options, Boxship 2001 Annex to Ultra-Large Container Ships: Designing to the Limit of Current and Projected Terminal Infrastructure Capabilities, (2001)
[1−25] 23rd Propulsion Committee: The 23rd ITTC Propulsion Committee Report, Proc. of 23rd 26ITTC, Vol.1, (2002)
[1−26] 右近良孝:第4章プロペラ・キャビテーションの予測、第3回舶用プロペラに関するシンポジウム、日本造船学会(1987)、pp. 135〜182
[1−27] Kawakita, C., et. al.: Design System of Marine Propellers with New Blade Sections, Proc. of 22nd Symposium on Naval Hydrodynamics, (1998.8), pp. 95〜110
[1−28] Dole Chile: an innovative container ship design from Germany, The Naval Architect (2000.3), pp. 6〜9
[1−29] Meyne K. J., et. al.: The Development of the Propeller Design for the World's Largest Reefer Container Ships, Proc. of SNAME Symposium Propellers/Shafting 2000 (2000.9), pp.1〜11
[1−30] Glover, E. J.: Contrarotating Propellers and Tandem Propellers, Proc. of Symp. on Advanced in Propeller Research and Design, Gdansk (1981)
 
(3)NIGEL GEE AND ASSOCIATESによる開発[2−8]
 
(3.2章)に関係するもの
 
[2−1] 長塚誠治:最近のコンテナ船大型化の動向―大型化の要因と問題点等―、造船研究(2000)
[2−2] Examining container ship trend, the MAN B&W way, The Naval Architect, (May 2001)
[2−3] PW: Erfolg mit 1.150-TEU-Feederschiff, HANSA, Nr.8 (2000)
[2−4] Success at Peene-Werft with delivery of last Turkish container ship, The Naval Architect, (Sept. 2002)
[2−5] 渡辺逸郎:ポストパナマックスコンテナ船の動向(第2報)、TECHNO MARINE、No.870(Nov. 2002)
[2−6] FastShip: still trying-up the ends, The Naval Architect, (Nov. 2001)
[2−7] Advanced new ship from Krylov's design bureau, The Naval Architect, (Sept. 2002)
[2−8] Some New Development in Container Vessel Design, Nigel Gee and Associates Ltd (?)
[2−9] Corlett, E. : Twin Hull Ships, The Royal Institute of Naval Architects, Vol.111, No.4, (1969)
[2−10] Shipping 600TEU Transpacific at 64 knots, The Naval Architect,(Nov. 2001)
 
(3.3章)に関係するもの
 
[3−1] 石山剛:船のウェブ・サイト、日本のフェリー概観、http://www.interq.or.jp/white/ishiyama/
[3−2] S&O:新世代のRoPaxが欧州市場に及ぼす影響、日本財団事業成果ライブラリー、(2002)
[3−3] 関西造船協会:第2回高速船フォーラム、超高速カーフェリーの将来性を検証する−日本における超高速海上ネットワーク実現に向けて−、関西造船協会、(2001)
[3−4] Hackett, J. and Jonk A.: Propeller Shaft Strut Design, SNAME Transactions, Vol. 107, (1999), pp.101〜126
[3−5] Hamalainen, R. and van Heerd, J.: Hydrodynamic Development for a Large Fast Monohull Passenger Ferry, SNAME Transactions, Vol.106, (1988), pp.413〜441
[3−6] 藤井昭彦、平山明仁、木村校優、山本虎卓:CFDを用いた船型開発システム、三井造船技報、No.177、(2002)、pp.1〜7
[3−7] 斎藤泰夫、前田直樹、小村淳、水谷直樹、舩野功:CFDによる船型設計/TwinSkeg船尾Ro/Ro船への適用、川崎重工技報、No.135、(1997)、pp.45〜50
[3−8] Brescia, G. et. al: High Speed and Low Vibration Design for a Twin Screw Passenger Ferry, FAST2001, (2001)
 
(3.4章)に関係するもの
 
[4−1] Miyata, H. et al.:Hydro-dynamical Design of Super-Slender-Twin-Hull Ferry by CFD Techniques, Proc. of 6th Int. Conf. on Numerical Ship Hydrodynamics, (1993), pp.489〜507
[4−2] Brizzolara, S. et al.:Wave Resistance and Wave Patterns for High-Speed Crafts; Validation of Numerical Results by Model Test, Proc. of 22nd Symp. on Naval Hydrodynamics, (1998), pp.69〜83
[4−3] Begovic, E. et al.:High Speed Trimarans Validation of Numerical Results by Geosim Tests, Proc. of 6th Int. Conf. on Fast Sea Transportation, Vol.2, (2001), pp.285〜294
[4−4] 鈴木和夫他:高速三胴トランサム船尾船型まわり自由表面流の数値解析、西部造船会会報、第99号、(2000)、pp.69〜82
[4−5] Yang, C. et al.:Optimization of a Wave Cancellation Multihull Ship Using CFD Tools, Proc. of 8th Int. Symp. on Practical Design of Ships and Other Floating Structures, (2001), pp.43〜50







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