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基盤的研究課題調査調書

 事業名 造船技術研究開発課題の調査
 団体名 日本造船研究協会 注目度注目度5


3.2.4 高速中型コンテナ船の特徴
(1)船型
 中型コンテナ船の従来の船型において主機馬力をあげたときの速力の増加はFig.3.2.7に示す程度である。1,500TEUコンテナ船の船速を19ノットから22ノットにするのに約2倍の動力が必要である。高速化には船型、推進システムの変更が必要である。1,000TEU中型コンテナ船が計画速力22ノットの時双胴コンテナ船の評価が行われているが、敢えて選択するまでには至らない結果となっている[2−9]。また、文献[2−10]に各タイプの船型の総合的な特徴が示され、600TEUコンテナ船が64ノットで航海するときに双胴船が提案されているが、前節に示した例のように1,500TEU程度の積載数とする高速中型コンテナ船では、荷役の問題、荒天中の高速航行などの点から単胴船が好ましいと思われる。単胴であれば現船型の延長で計画することができる。従ってFig.3.2.5を参考にすると1,500TEUより少ない積載数ではアドミラルティ係数が下がってくるので、高速中型コンテナ船の積載数として1,500TEU程度が対象となりそうである。前節に示した3例の開発例も同程度の積載数である。
 船速は航路と輸送貨物の内容によって変わるが、前節の研究例と同様に航海速力35ノット程度が目標値となると思われる。幅はコンテナヤードの荷役規模、また喫水は港湾の水深によって制限されるので、高速化のために現状から大きく変更することは難しい。従って船長と肥痩度のみが自由度を持つことになる。抵抗性能の点からは長さを長くするのが好ましいが、軽荷重量が増えるので最適な船長が決まってくる。上述の開発例からみると航海速力を35ノット程度とする時、船長は250m程度が計画的に最適となるようである。このとき肥痩係数は0.4程度となり、推進性能が良くかつ安全な痩せ型船型の開発が求められる。
 
Fig.3.2.7中型コンテナ船の動力と船速[3−2][2
 
(2)必要動力と推進器
 前節のTable 3.2.33.2.4, 3.2.5 の船型の開発例において、仮に1軸推進器とした時の荷重係数は、それぞれ0.0067、0.0051、0.0037と高くなる。喫水制限やプロペラレーシングを考慮すると多軸化は避けられない。Table 3.2.4の主要目を有する船型の必要動力とその出力を吸収する推進器について検討してみる。Table 3.2.4の主要目の船型の有効馬力を類似な船型の試験結果から推定した結果をTable 3.2.6に示す。35ノットの航海速力では超大型コンテナ船なみの動力が必要になりそうである。当然従来の一軸プロペラとしては必要な動力は吸収できない。推進器として耐キャビテーション性能、及び推進器効率を良くするためには荷重度を下げる必要がある。Table 3.2.7に多軸の形態と定性的な評価を示す。
 
Table 3.2.6有効馬力の予測
LppxBxd=250m x 27.6m x 9.1m
15000dwt、1500TEU 想定
Vs(kn) EHP(ps) EHP(kw)
20 17142 12608
25 38189 28088
30 72067 53005
35 122840 90349
40 200227 147267
45 315197 231828
 
Table 3.2.7 多軸推進器の形態とその評価
  推進器効率 船型との干渉 初期投資 メインテナンス
従来プロペラ(4軸) 2 1 3 3
タンデムプロペラ(1基または2基) 2 2 1 3
二重反転プロペラ(1基または2基) 3 2 1 1
従来プロペラとポッデドプロペラ(1基または2基) 3 3 1 2
ウォータージェットとプロペラの組み合わせ 1 2 2 2
ウォータージェットのみ(4−5基) 1 3 2 2
*3段階に分けて評価し、好ましい順に3、2、1と与えた。
 
 従来プロペラの場合、4軸とすると1基あたりの吸収馬力は約50MW程度となり、喫水との関係から直径は約6.5m程度が限度であろう。このとき回転数は約165rpm程度となり従来のプロペラ設計では良好な効率は期待できない。二重反転プロペラの高性能が期待できるが、1基の場合やはり高荷重度での作動となる。折衷案として、従来プロペラとポッデッド・プロペラの組み合わせが考えられ前節で示した開発例(2)に採用されている。ウォーター・ジェット推進は、船体側の抵抗性能を減少させることが可能であるが、35ノット程度では推進器効率はプロペラより低下するものと考えられる。開発例(1)はウォーター・ジェット推進であるが、積載数1,432TEUで航海速力35〜40ノットの時5基の50MWガスタービンとウォーター・ジェットポンプが採用されている。30〜35ノットの船速を有する高速中型コンテナ船の実現のためには、各種多軸形態の推進器効率の推定法の開発や耐キャビテーション性能の優れた高性能推進器の開発が必要である。
 
3.2.5 開発に必要な設計ツール
 高速中型コンテナ船の開発に対しては、船体の長さ幅比の大きな痩せ型船型の開発、また高馬力出力に対応した多軸推進器システムの開発が必要となる。造波抵抗、砕波抵抗、粘性抵抗をできるだけ少なくする最適船型の設計ツール、波浪中運動性能評価、安定性評価を可能にする評価ツール、波浪衝撃圧、強度の予測ツールなどが必要となる。基礎的な各計算ツールは、造波に対するランキンソース法や粘性抵抗を推定するCFD、運動予測計算等既に開発されている。これらの精度の向上を計り設計ツールとして実用化するとともに、船型開発システムとして統合する必要がある。
 また、推進器としては、耐キャビテーション性能の優れた推進器の開発ツール、お互いの干渉を考慮した多軸推進システムの効率予測ツール、及び最適プロペラ設計や最適推進システム設計ツールが必要となる。また、ウォーター・ジェット推進の設計、性能予測ツールの実用化も望まれる。さらに船型、推進器、操舵機のお互いの影響を考慮した設計を行う必要があり、船型設計と推進システム設計を統合するツールが必要である。さらに、船型と推進システムに密接に影響する波浪中運動性能、衝撃圧や船尾振動などの評価ツールも統合化の中に取り込むことが望ましい。これらのツールの実用化のための実験も必要であろう。
 
3.2.6 まとめ
 高速中型コンテナ船の将来的な必要性が認識されており、1,500TEU程度の積載数の高速コンテナ船の開発研究が海外の研究機関、コンサルタントではすすめられている。寄航港の荷役、水深の制限が課せられることになり、船型的には大型船ほどの設計自由度はないが、長さ幅比の増加、痩せ型船の開発が必要である。航海速力35〜40ノットを目標とすると、超大型コンテナ船以上の動力を必要とする。主機は環境問題等を考慮するとガスタービンが主流となると思われるが、推進器は喫水が限られるため、1軸では出力を吸収できず多軸にせざるを得ない。
 多軸のFPP、2重反転プロペラCRP、タンデム・プロペラ、通常プロペラとポッデッド・プロペラの組み合わせによるCRP、ウォーター・ジェット等軸数ができるだけ少なくかつ高性能な推進器が要求されることになる。
 高速中型コンテナ船の開発のためには、理論的船型開発ツール、高荷重度の時用の耐キャビテーション性能の優れた最適プロペラ設計法、お互いの干渉を考慮した多軸推進器の設計法、性能評価法の開発と実用化が必要である。また、効率良く高速中型コンテナ船を開発するためには、船型開発、推進器システムを統合した設計ツールが必要である。







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更新日: 2020年3月21日

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