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1.1.2.3 非破壊検査機器
 X線透視装置は、貨物、車両、国際コンテナの映像を把握でき、麻薬、武器、貨幣その他の密売品を確認できる非破壊検査技術です。
 可搬型と固定型があります。
 可搬型は、トラックシャーシに設置され、通常3名のスタッフで監視作業を実施できます。一般的に、可搬型機器は、駐車物の対象物をカバーするような透視検査に用いることができます。
 固定型機器は、可搬型機器と同じように用いられます。可搬型機器と異なり、検査対象物がX線透視装置内を移動することになります。大半の固定型機器は、公道を走行する大型車両の通過に必要な大規模建築物を必要とします。
 
X線透視装置の例
 
ガンマ線透視装置の例
 
 この車両・コンテナ検査システムはガンマ線を用いています。タンカー、商用トラック、海上コンテナ、航空コンテナ、その他の貨物・車両における麻薬、武器、通貨等の密輸品検査が中心です。これらの施設は、陸上の国境施設、港湾、空港、鉄道駅で用いられます。また、軍事施設での監視用にも利用されています。
資料:Radiation Interactions and Dosimetry Group Ionizing Radiation Division Physics Laboratory, National Institute of Standards and Technology, PERFORMANCE & EVALUATION OF INSPECTION SYSTEMS FOR SECURITY SCREENING, September 29, 2005
 
1.1.2.4 コンテナシールの防犯上の課題
 コンテナシールの標準規格については、別途記載していますので、ここでは標準規格策定上の課題となっており、実際に最も多い改ざん例を紹介します。
 下記の写真は、電子シールの改ざんの事例です。よく知られた改ざんの手法は、ドアノブの固定ボルトを取りはずし、ボルトを切断し、接着剤をとり再度塗料で偽装したり、ドアごと外したりして内容物を盗む方法です。
 このため、電子シールや封印シールの設置には、ドア開閉部、留め具等のコンテナ部品の取り外し、改ざんの証拠を隠滅するような方法を防止する仕組みが必要になります。
 
図 コンテナシールの改ざん手法の例
資料:Walter Dixon、Cargo Security Standards、ANSI HSSP September 29, 2005
 
1.1.2.5 国際陸上輸送の保安対策の強化
 運輸安全部局(TSA)は、米国とカナダ・メキシコの国際陸上輸送(輸出入)における危険物輸送の運転者にFAST(Free & Secure Trade)認証を必要とする暫定的な制度を発表し、2006年8月10日から適用しています。
 この制度は、米国におけるITS(高度道路交通システム)の根拠法にあたるThe Safe, Accountable, Flexible, Efficient Transportation Equity Act: A Legacy for Users(SAFETEALU)にもとづくものです。


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