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2.3.3 SAFE Port Act 第205条
Sec.205.Container Security Initiative(CSI)
(a)制定(Establishment)―DHS長官は、関税国境警備局(Customs and Border Protection; CBP)Commissionerを通じて行動することにより、外国の港から直接または経由して米国向けに船積みされる貨物について、外国の港でコンテナを積み込む前に、セキュリティリスクの疑いのある海上コンテナを特定し(identify)、検査(examine or search)するため、本条においてContainer Security Initiative(CSI)として引用する計画を制定かつ導入する。
(b)評価(Assessment)―DHS長官は、CBP Commissionerを通じて行動することにより、同長官がコスト、ベネフィット、その他の要素を評価した後、CSIに参加する外国の港を指定することができる。指定を評価する要素には次のものを含むものとする。
(1)テロリストによるコンテナの潜在的危険、またはDHS長官が決定するその他の脅威に関するリスクのレベル(the level of risk)
(2)外国の港から直接、または外国の港で積み替えられて米国に輸入される貨物量(the volume of cargo)
(3)合衆国法律集(US Code)Title 46, 70108条12に従って米国沿岸警備隊(US Coast Guard)が行った評価結果(the results of the Coast Guard assessments)
(4)DHSに協力して、重要データ及びリスク・マネジメント情報の共有ならびに従業員の規律向上計画の実施に関する、港湾が存在する外国政府の公約
(5)外国の港湾でのセキュリティ(CSI)の実施をDHSが認可するための潜在能力(potential)
(c)通知(Notification)― DHS長官は、CSIに基づく外国の港湾の指定または取消を公告する前に、このことを議会の関係委員会に通知しなければならない。
(d)交渉(Negotiation)― DHS長官は、国務長官と協力し、かつ米国通商代表に相談して、CSIに基づいて指定された港湾が存在する外国政府とCSIの必要要件を完全に遵守する協定を個別的に交渉することができる。
(e)海外での検査(Overseas Inspection)―
(1)必要条件及び手続(requirements and procedures)―DHS長官は次のことを行うものとする。
(A)CSIとの関係で、非破壊検査(nondestructive inspection)装置及び原子核や放射線探知装置の使用に関する最小限の技術的能力基準及び標準的運用手続の制定
(B)CSIの下で指定された外国の港に対して、(A)項に基づいて制定された技術的能力基準及び標準的運用手続に従って非破壊検査装置及び原子核や放射能検知装置の使用の要請
(C)CSIの下で指定された外国の港で貨物の検査に使用する技術、手続、技法が基準に従っているか否かの継続的な追跡調査
(D)CSIの下で指定された外国の港における探知システム間の整合性を促進する放射能探知技術に関係して、(A)項に基づいて制定される最小限の技術的能力基準及び標準的運用手続の制定にあたり、エネルギー省長官との協議
(2)制限(constraints)―(1)(A)項に定める基準及び手続は以下に規定する条件に従うものとする。
(A)実施可能な限り、連邦政府諸機関が使用している標準及び手続、あるいは、合衆国が承認するときは、国際機関が開発した標準及び手続と矛盾しないこと
(B)エネルギー省のメガポート・イニシアティブ(Megaport Initiative)の下で実施されている諸事業(activities)に適用しないこと
(C)特定企業の製品または技術を支援し、あるいは、CSIの下で指定された港の帰属する国と紛争を起こすものでないこと
(f)除外規定(Saving Provision)―合衆国の域外に放射能探知装置を配置することに関連して、本条に基づくDHS長官の権限は、連邦政府の他のいかなる権限、義務、責任に影響を与え又は重複するものではない。
(g)調整(Coordination)―DHS長官は次のことを行うものとする。
(1)エネルギー省のSecond Line of Defense Program及びMegaports Initiativeを通じて、CSIが必要とする放射能探知装置を準備するときは、必要に応じて、エネルギー省長官との調整
(2)DHSおよびエネルギー省の仕様を満たす放射能探知装置を取得するときは、できる限り、民間企業またはホスト国政府との作業
(h)職員配置(Staffing)―DHS長官は、米国内の職員およびCSIの下で指定された外国の港が存在する国に駐在する職員を含めた、人的資本管理計画(human capital management plan)を開発すること。
(i)定例協議(Annual Discussions)―DHS長官は、連邦政府高官と調整して、CSIの下で指定された外国政府高官と毎年会合を開き、国際貨物の効率的かつ安全な流れを維持するためのベスト・プラクティス、技術的支援、研修、技術開発などについて討議すること。
(j)危険の低い港(Lesser Risk Ports)―DHS長官は、CBP Commissionerを通じて行動することにより、米国への輸入通関に際して、CSIに参加していない港で船積みされる貨物と比較して、CSIの下で指定された港で船積みされる同様の貨物を危険の低いものとして取り扱うことができる。
(k)禁止(Prohibition)―
(1)一般規定―DHS長官は、CSIの下で指定された港で船積みされる貨物がハイ・リスクであると特定された場合、現行の権限を行使して、「船積み不許可」(do not load)の命令を発する。ただし、自動絞込みシステムを含めて、次の方法により、当該貨物がもはやハイ・リスクでないと決定された場合を除く。
(A)非破壊イメージング装置及び放射能探知装置による貨物のスキャン
(B)貨物の開披検査(search)、または
(C)DHSの受信した追加情報
(2)解釈ルール(Rule of Construction)―(k)項に定めるいかなる規定も、合衆国への貨物の搬入を拒否するDHS長官の法的資格(ability)を妨げるものと解釈すべきではない。
(l)報告―
(1)一般規定―2007年9月30日までに、DHS長官は、CBP Commissionerを通じて行動することにより、関係のある政府高官およびCommercial Operations Advisory Committeeと協議の上、CSIの有効性及び改善の必要性について議会の関連委員会に報告しなければならない。報告書には次の事項を含む。
(A)指定海港別に、当該港に提供し、かつ必要とされた技術的支援の説明
(B)指定海港別に、人的資本管理計画の説明
(C)指定海港別に、貨物の物理的または非破壊検査の実施について米国が外国政府に対して行った要請事項、及び外国政府による要請事項の容認または拒否に関する概要説明
(D)指定海港で使用したスクリーニング、スキャニング、インスペクション・プロトコルと技術の有効性に関する評価、及びこれらの有効性を向上するための提言
(E)CSIの下で指定された外国の海港で起きたセキュリティ関連事故の説明及び評価
(F)CSIの下で指定された海港別に、指定港を継続する理由(rationale)
(G)CSI下にある外国の港に配置されている人員の数を減らすために遠隔絞込みシステムの潜在的性能に関する説明
(H)CSIの下で指定された海港別に、コンプライアンス逸脱行為の概数および内容の概要説明及び評価
(2)報告書の更新―2010年9月30日までに、DHS長官は、CBP Commissionerを通じて行動することにより、その他関係のある政府高官及びCommercial Operations Advisory Committeeと協議の上、CSIの有効性および改善の必要性に関する最新情報を議会の関連委員会に報告しなければならない。更新された報告書には、前項(1)に規定する報告書に記載されるべき事項が説明されなければならない。
(m)歳出授権(Authorization of Appropriation)―本条を遂行するために、米国関税・国境保護庁(CBP)に対して以下の歳出配分を承認する。
(1)2008会計年度:$144,000,000.
(2)2009会計年度:$146,000,000.
(3)2010会計年度:$153,300,000.
 
12 Title 46、第70108条は、2002年海事保安法(Maritime Transportation Security Act of 2002)の「第102条港湾セキュリティ」を構成する17カ条の一つです。


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