8月11日(金)
本日のスケジュール・内容
1)ビリラン州母子保健協力プロジェクトLaunching参加
2)ビリラン州での保健センターや病院の見学
8:00よりJICAの花田恭さんらより、ビリラン州において行なわれる母子保健の協力プロジェクトの概要のご説明をいただいた。予定期間が4年間の本プロジェクトは、先週キックオフされたルソン島イフガオ州と同時期に行なわれ、緊急産科ケア、母子保健サービスの質の向上、地域住民による母親と新生児の支援体制整備を柱とする。当地では、ヒロットと呼ばれるTraditional Birth Attendant(TBA)が既に伝統的に活動しており、これまでの習慣や血縁のコネクションにより利用されている。また出産時に病院へかかるには、家庭の経済事情が多々許さない。こうした現状に起因する緊急時の対応の悪さが、本プロジェクトでのターゲットの現状の問題として特に挙げられた。出産に際しては助産師が立会い、出産後のケアにヒロットに関わってもらう形で、バランガイのヘルスワーカーとヒロットの良い連絡システムを確立してゆく見通しであるとのことである。エリアや期間は限られているが、得られた教訓の共有を地域の内外で促進してゆくことが重要であることが述べられた。
フェローからの質問と回答を幾つか以下に記載したい:
Q. 4年間で予算3.4億円の協力事業はJICAの事業としてはどのような位置であるか?
A. ほぼ標準的であるが、僻地であるため特に交通費が多くなることはあるだろう。
Q. 妊産婦死亡率(MMR)、乳幼児死亡率(IMR)について目標値はどれほどか?
A. 大まかに15年間で3分の1にするのが目標である。MMRは今回緊急支援体制を整えることができれば下がりやすくはあるだろう。しかし、協力期間後も数値を維持するのは難しい面が想定される。
Q. 協力地域の選定はどのように行なわれたのか?
A. ビリランともう1つのように島2つにしたいとも考えていたが、フィリピン保健省の薦めに従って決めた。
Q. 協力は日本にとって見返りがあるのか?
A. (協力に関しての基本的な考え方に関わることだが)あるかもしれない。
Q. 住民の協力はどのようにして得るのか?
A. Governor、Mayor、Barangayといった地域の長のルートを通じて得る。家族計画のような事柄では司祭の協力を要請する必要もある。住民の派閥が複数あることも想定して、複数のルートを持ち、権力構造の把握も心がけるが、少しずつ進めながら把握していくようにしている。
Q. 現状の調査項目を教えて欲しい。
A. 隠れた乳児死亡がいるか、TBAの機能について、自宅で出産した家庭へ対しての理由の聞き出しなどが行なわれた。出産施設で認証を受けたものは2つある。
昼食は海辺のVRC Resortというレストランで、海しぶきを間直にしながら、フィリピン風お刺身サラダや串焼きなどを含むビッフェスタイルを頂いた。
午後は、Municipality Health Centerで診察室や簡易な分娩室、歯科診察室などを見学、さらにTamarindo BarangayにてBarangay Health Stationを見学した。こちらではMidwifeが一名、TBAが一名でTamarindo Barangayのおよそ900人の人口をカバーしており備えた結核薬剤などをみることができた。Barangay内での医療設備は、ごく簡素な薬局を除いては他には認めなかった。本日の最後には、Biliran Provincial Hospitalを見学した。こちらでは、」約20名のPhysicianが働いているが、現在はSurgeonが不足しており、必要に応じてレイテ島タクロバンヘ輸送するとのことであった。新生児室へ術衣を着て入室した数名には、小ポリクリとなった。
(文責:舛岡)
Barangay Health Station.
小さな診療室には助産設備が備わっている
Barangay Health Station外観。 近隣には民家と小学校が並ぶ
移動車より西村先生
8月11日 今日の一言
齋藤:様々な大きさのHealth officeを見た。近くの小学校の教師は、「今朝も行ったわ。近くて助かる」と言う。決してプロジェクトや行政レベルでは目立つ存在ではない、Health workerが一番、現地の人たちの身近な存在だ。
西:おどりまくり!みんな最高!のりまくり!ぱらぱらさいこ!カジクール!
内田:晴れ。佐野君が小学校校庭を自転車で失踪疾走。子供たちと遊ぶその雄姿の写真を撮り忘れて後悔。昼食時のレストランでは現地の学生と国際交流。夜はFever Night。なにがなんだか、もの凄い勢いで駆け抜けた激動の一日だったと言える。
佐野:ヘルスセンター見学で立ち寄った村。笑顔一杯の子供たちと小学校で無邪気に遊び、元気たくさん貰ったよ。夜は州知事のお陰で、泳ぎすぎ、踊りすぎ、おしゃべりしすぎ〜〜〜!
白神:JICAのプロジェクトkick off meetingに参加。興奮した♪将来この場にいたいな。その後は医療施設のほとんど無い地域へ。あのような地域にどんな協力ができるんだろう... 夜は暴れた!州知事万歳!プール万歳!
高谷:フィリピンの人たちの生活に触れられた一日。楽しい夜だったね!
田畑:バランガイの近くの小学校を見学。医学生というと、先生がハーブ園に案内してくれた。病気やケガの時は、まずハーブを使い、どうしても治らない場合はバランガイに行くかも(行ったことはない)設備の充実はもちろんのこと、健康教育も不可欠だと感じた。
舛岡:MHC、RHS、そしてバランガイヘ。医療のレベルは日本人が安心できるものではないだろう。けれども、果物がなるそこら中の木々にも大いに自然の勢いを感じた。
梶本:舛岡さん、聞きたい内容は自分で聞いてねー!どうしていっつも私に聞かせるの・・・
辻:小学校で子供達と遊んだり、夜は知事にもてなしていただいてみんなで踊り狂ったりしたのが忘れられない思い出になりそう(笑)
中野:ミーティングで話題になった、援助とお金の関係の話がとても印象に残りました。お金の流れをめぐって様々な立場の人の様々な考えや思いがある。それをどう人々の幸福につなげていけばいいのだろう。夜はみんなで踊ったりしゃべったり。すっごく楽しかった☆
原:ビリランでバランガイを見学。この辺りでは、まだ伝統的な産婆さんが重要な位置を占めているとのこと。文化的な背景を念頭において、うまく医学的な知識ややり方を浸透させるのが難しいところだと感じた。
原田:JICAの母子保健プロジェクト開始日。自分がmeetingの場に立ち会えるなんて!すごい!
本日のスケジュール・内容
移動(ビリラン〜レイテ〜マニラ)
この日はまずビリランより一路レイテ島タクロバンヘ向かう。
このタクロバンヘの帰路は往路と同様のルートであった。
レイテ島との間に掛かる橋の上からビリランの山並みに、そして幾人かは橋の下におり静かなヴィサヤの海に触れ、別れを告げた。
レイテ島に入ってから車を停めて見学したのは、一面に広がるココナツ畑の山並みの中にある旧日本軍の師団を弔った卒塔婆であった。当時とおそらく同じように強い日差しと暖かい風の中で60余年の時を経て戦時に散った先霊を思う我々が、国際協力のフェローシッププログラムにこうして加わっているということは感慨深いものであった。
タクロバンの空港でマニラ行きを待つ間、空港付近の小レストランで休憩をとりつつ、地方のノンビリした空気を名残惜しんだ者もあった。
マニラからはバスでホテルに戻る。再びマニラの雑踏にまみえ、夕刻のしばしの自由時間とデパートでのフィリピン料理のビッフェを楽しんだ。
夜はメンバーが西村先生の部屋へ集って乾杯する。約10日間で各自様々な勉強ができたことには言を要さないが、メンバーが仲良くなってこの日程を完遂でききたことをとても良かったと改めて実感させる、そのような最後の晩の機会であった。
レイテ島の空港近くに上陸したマッカーサーらの前で。
8月12日 今日の一言
齋藤:戦争の跡地やマッカーサーの記念碑を見ても、身近に感じられない自分がいた。援助も侵略も、私たち日本人のやったこと。被害に会ったフィリピンの人々が暖かく迎えてくれたことを忘れずにいたい。
西:西村先生を囲んで語り明かしました。とてもいい思い出!先生の経験を聞き、僕の体験と疑問をぶつけてみる、そんな一生忘れられない一夜になりました。
内田:昼過ぎ、レイテ島に上陸する時にポツリポツリと降ってきた。雨か涙か。さらばレイテ。最後の夜の議論をかなり楽しみにしていたが、唾魔に弱いので、真っ先に就寝。後悔。みんな、また会えた時に議論させてください。
佐野:マニラに戻ってきました。夜通しかけて、先生たちにいいプレゼント作れました。みんなどうもありがとう。
白神:朝から移動。マニラに帰ってきた。無事荷物が保管されていて安堵。最後の夜なのに疲れて話の輪の真ん中で寝てしまった...もったいない!
高谷:朝食にて、女性が働くということをBarua先生とお話。難しい問題!
再びマニラヘ。最後の晩なのに早くに寝てしまいました・・・いろいろ話を聞きたかったんだけれど。
田畑:ビリラン−レイテを結ぶ橋はODAによって建設されたもの。もっと、日本をアピールしてもいいのになぁ。マッカーサーの銅像みたいに。レイテ島の日本人戦没者慰霊碑、きれいに整備されていた。
舛岡:マニラで今回最後の夜。例の車で空港まで迎えに来て頂く。明日はもう帰国である。また戻ってこよう。今回は、多くの人たちの力でできたことだ。
梶本:マッカーサーの像を見学した以外は移動ばっかり。西さん、池に入った際に日本住血吸虫に感染しませんでしたか?
辻:レイテともしばらくお別れ。笹川フェローシップでも来るのは今年が初めてとのことで、ラッキーでした☆
中野:バスで移動中、松本さんも一緒にみんなでゲームをしたりして楽しむ。こんな風にみんなとわいわいやったり、隣に座った人とじっくり話したりできるから、移動の時間も好きです。あー、明日終わっちゃうなんて信じられないよ。
原:ずっと移動。久々のマニラ。たった数日なのに、「帰ってきた」と安堵したのはなぜだろう・・・。ホテルで2度目のマッサージに行ってしまった。極楽、極楽(笑)。
原田:再びマニラヘ。3日前、たった数日過ごしただけなのに、懐かしさを感じるのはなぜだろ??
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