8月6日(日)
本日のスケジュール・内容
1)NGOフィールドワーク
2)市内見学
1)NGOフィールドワーク
この日は一日穴田さんにお世話になった。
まず、かつてスモーキーマウンテンとよばれていたゴミ集積場の周辺地区を視察した。現在では緑の草がゴミを覆い、ゴミ山という感じではなかったが、依然としてところどころ金属のゴミから出る煙が立っていたりと、痕跡が見られた。
その後、現在のゴミ集積場へ向かい、ゴミを拾いながら生計を立てている人々の居住区も視察した。彼らの多くは、大通りや川沿いの「不法居住区」に、板切れを合わせたような簡単な家を作り、住んでいる。また、公営住宅では、増え続ける居住者を収容しきれなくなり、窓の外に部屋を増設している様子が見られた。
いずれも、フィリピンの表の顔であるきれいな大通りとは打って変わって、衛生状態が悪く、ごちゃごちゃとして、人口密度が非常に高いフィリピンの「裏側」を垣間見たような気がした。また、この地域は土地が低いため、雨季には水浸しになり、ゴミが散乱して、非常に劣悪な生活環境になるとのことだった。
(ゴミが集まっている地域。人々は、このゴミを分別し、売ることで生計を立てている) |
次に、マニラ市内にあるKANLUGANのシェルターを訪問した。このシェルターは、エルミタ・マラテ地区を担当しており、ストリートチルドレンを一時的に保護したり、支援することを目的としている。かつて麻薬を売買していたような子もおり、取引しようと近づいてくる人たちとの接触を避けるため、シェルターの門には鍵がかかっており、関係者以外は許可がないと入れないようになっている。
このシェルターに保護される子どもたちは、親に虐待されていたり、事故の犠牲者であったり、親が親の責務を果たせない状態だったりと、いろいろな背景を持つ。定員は20人とこじんまりした施設であり、住む場所と教育を与えることを基本としているが、様々な傷を負う子供たちの心のケアにも力を入れている。また、子どもたちがまたストリートに戻ることのないように、アフターケアのプログラムも用意している。
ここの子どもたちは、親がいて、ある一定期間(通常は6ヶ月まで)の後親元に帰るのが基本なので、スタッフは家庭訪問をこまめにし、子どもが家庭に戻るための下準備を入念に行っている。一方、親元に帰れない事情の子どもは、自立して生活できるように、職業訓練を行ったり、次の段階の施設に送ったりしている。
ちょうど日曜日で、多くの子どもたちが教会に行っていたこともあり、最初はとても静かだったが、子どもたちが帰ってきたらにぎやかで、みなのびのびと明るい表情をしていたのが印象的だった。
引き続き、KANLUGANのレジデンシャルセンターを訪れた。
このセンターでは7歳〜18歳までの50人の男女が生活しており、シェルターで引き続き保護や教育が必要とされた子どもたちが紹介されて来る。平均して1年程度の滞在であるが、場合によっては10年近くもいる子どももいるとのことだった。
このセンターの特徴として、クリニックの機能を併せ持っている点が挙げられる。疾患としては小児結核が多いとのことだが、薬は寄付で賄われており、寄付が十分にないと薬が入手できない、という問題点を抱えている。
昼食を子どもたちと一緒にとった後、施設を見学し、歌やダンスを披露しあった。スタッフの話によると、子どもたちはビデオ等を見ながら自己流で練習しており、定期的に発表会をやっているとのことだった。練習の効果あってか、とても上手だった。また、折り紙を一緒に折るなど、触れ合いの時間を過ごした。
(歌やダンスの披露を楽しむ子どもたち)
その後、ストリートチルドレンがいる地域を訪れた。
昼間は仕事に出ていたり、道端でうろうろしていると警察に捕まるということもあってか、あまり姿を見かけなかったが、夜になるとどこからともなく子どもたちが出てきて公園で寝ていたり、物乞いをしたりしているということだった。
彼らは、リアカーの中や無人の家の壁際など、ちょっと見た目には人が住めそうにないような場所を生活の場としている。また、意外にも小さな子どもを抱く若い人の姿が目立った。これは、ストリートチルドレンとして育ち、ストリートチルドレン同士で家族を持ち、子どもができるため、いつまでもストリートチルドレンヘの鎖が途絶えないという問題を象徴している。
ストリートチルドレンを保護し教育していく努力はされているものの、制度上や設備上の制約から、必ずしも必要十分な保護や教育がもたらされていないのが現状のようだった。
(通り沿いに見られるストリートファミリーの住居)
2)市内見学
移動しながら、市内各所を説明していただいた。時間が少し余ったため最後に旧市街地でお土産屋さんへ行き、それぞれお土産を買った。
(穴田さんおススメのココナッツオイルは一番人気だった?!)
(文責:原)
8月6日 今日の一言
齋藤:今更だが、生まれた瞬間に人生が決まることを思い知らされた日だった。ストリートファミリーの姿や、施設の子どもたちの明るい顔が脳裏に焼きついている。60億分の1として私の出来ること、望まれていることは何だろう。
西:たくさんの子どもたちと出会った。元気になった。手紙ももらった。幸せを感じました。
内田:快晴。Kanlunganの子供たちと交流。楽しいけど、ついつい子供たちの笑顔の後ろにある辛い生活背景を想像して、悲しくなってしまう。見送ってくれるのはすごくうれしいけど、バスに近づきすぎないでね。けがしちゃうよ。
佐野:広島出身の自分にとっては、特別な日8・6。そんな日にフィリピンの戦跡に遭遇した。被害者たるヒロシマだけど、世界に多くの被害をもたらした事実を知り、悲惨な戦争について改めて考えさせられた。
白神:今日はほんとにたくさんの子どもたちと会った。不幸な境遇の子もたくさんいたけれど、みんな仲間をもって明るい笑顔を見せていた。子どもたちに手を引っ張られる感覚を味わい、一緒に歌い踊り、折り紙をして、あの子達のために働きたいと感じた。
高谷:温かいもてなしに感謝すると同時に、子供たちの生きる環境を思うと痛々しくもあった。
田畑:バロンバロン(つぎはぎ住居)が立ち並ぶ貧困地域、イントロムロス、ショッピングモール、高層ビル・・・マニラの貧富の差を肌で感じた一日。ストリートチルドレンならぬストリートファミリーの存在は衝撃だった。
舛岡:ドラッグユーザーって介入するのはさほど容易でない問題のようであった。日本ではどうだったのだろう?
梶本:朝六時半に起床し、海パンを着用して、ホテル内にあるプールに行ってみた。でも子供用のプール級に小さく、かなり汚い水やったし結局泳がなかった。せっかく早く起きたのに!!!
辻:今日は初めてのNGO訪問。元気な子供達と過ごせてすごく楽しかった!カンルンガンに来て自分とは違って子供のときからの苦労の多い境遇が良くなったとはいえ、できたらそういう境遇に晒されること自体もなくしたいと思った。
中野:KANLUNGANの子供たちの底抜けに明るいダンスには、とても心を揺さぶられました。その後はみんなで折り紙。順番をめぐってけんかしたりするのは、どこの国の子供たちだって同じなんだなと思った。
原:NGOの活動を見学させていただいた。お金持ちの人々と、貧困層の人々の生活レベルの差に愕然とした。
原田:現地の子どもたちとの交流。施設にいる子どもたちは屈託もない笑顔を私たちに送ってくれた。彼らの笑顔の後ろにある様々な背景を聞き、やりきれなさを感じた。
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