特別講演2「ヨーロッパにおける新生児聴覚スクリーニングの現状」
Universal Newborn Hearing Screening in Europe
座長:御牧 信義 倉敷成人病センター小児科部長
Dr. Ferdinando Grandori
Director Institute of Biomedical Engineering - CNR Polytechnic of Milan
Abstract: 19世紀は、難聴に対しての患者へのケアシステムが大きく変化した時代である。全ての専門家達が、新生児聴覚スクリーニングについてのプログラムを普及すべく、国全体で取り組むべき問題だと認識した。そのプログラム(HDI: Hearing Detection and Intervention)は必要とする器材、方法を含め技術者、健康事業関係者、代理店関係者、組合関係者などへ浸透していった。
今回の発表で、このEHDIプログラムの基本的なスクリーニングの発展過程と、最近5年間の技術的発展、診断、一連のプロトコールも含み説明する。この一連の過程において、一つ興味深い点は、難聴検査についてヨーロッパでの大人に対するケアも挙げられることである。
最後にこのスクリーニング検査は、先駆けとなったアメリカ(94%のスクリーニング率)での教えをもとに、ヨーロッパ全土の協力体制により成しえた事業である。
スライド1: EHDIプログラムの施行後10年の試み
なぜ、どのように、だれが、いつ、スクリーニングを進めていくか。
スライド2: 難聴の発生頻度は中等度の難聴も含め、約3/1000人存在する。
スライド3: 約1〜3/1000人の難聴児が出生しており、出生時の合併症の頻度として、他の疾患と比較すると最も頻度が高い疾患である。5才時での難聴を有する率をみると、1/250人以上存在しコミュニケーション障害や学習障害など疑われ難聴が、遅れて発見されてきた。
スライド4: なぜか(2)
・以前のUNHSによるスクリーニングによって難聴が発見される平均年齢は2.5〜3才であった。
・早期に難聴が発見されることによる利益は大きく、言語、学習、社会、感情において良い影響を与えている。
・早期発見によって、乳児医療、幼児医療にかかる費用は削減されることにつながる。
スライド5: なぜか(3)
・科学的、臨床的な面から見ても早期発見による効果は大きい。
・EHDIシステムは、世界的にもスタンダードになりつつある。
スライド6: 新生児スクリーニングにおいて、以下の点より発展を遂げることができた。
・信頼性の高い統計解析
・処理機能の優れた聴覚器材
・人工内耳の発展
・プログラム機能を備えたデジタル補聴器の開発
・広く使われている補助装置の充実化
・障害者としての援助体制の充実化
スライド7: どのように検査を進めていくか
スライド8: まず、OAEを1回もしくは2回施行する。その際に要再検と出た場合、AABRを施行する。それで再度、要再検という結果が出た場合は難聴という診断にいたる。
スライド9: AABRのプロトコールについて、要再検と出た場合、難聴の詳しい診断へと進む。
スライド10: 2つの異なる経過をたどるプロトコール
1)リスクを合併する場合(NICU管理など)AABRをメインに施行する。
2)正常児の場合は1回、2回のAOAEとAABRを施行、もしくは初めからAABRを施行する。
スライド11: 正常児に対するプロトコール
最終的な目標としては、正常基準へ達するということ。
・1ヶ月以内にスクリーニングを施行する。
・なるべく出生した児を把握しフォローする体制を整える。
スライド12: 正常児に対しての将来のプロトコール。
AOAEとAABRを一度で測定可能とし簡便かつ精密度を上げることがある。
|