スライド8、スライド9:
2004年度において、826人中262人が我々のセンターを受診しスクリーニングを施行した。その内、162人は第一のスクリーニング、100人が他病院で要再検という結果をうけ、第二のスクリーニングを施行した。
年齢は第一のスクリーニング:生後3〜169日(平均49.6)
第二のスクリーニング:生後6〜157日(平均43.6)
結果は第一のスクリーニング:162人中167人が正常。8人が要再検
第二のスクリーニング:100人中80人が正常。20人が要再検
その20人中5人が2回目に正常。15人が要再検
数回に渡り要再検と出た21人中9人が重度感音性難聴、10人が中等度感音難聴、2人が伝音性難聴という結果となった。その内、19人の感音性難聴児に対し補聴器装用と今後のコンサルトを開始した。Table 1)今までの聴覚の歴史より注目すべき点として:周産期の問題、遺伝疾患、先天性疾患、聴覚有毒性薬物、アルコール中毒、トキソプラズマ感染症
合併症を有するような遺伝疾患が基礎にある場合は、聴覚に異常をきたすケースが散見される。
スライド10: 新生児スクリーニング検査262児においてのリスクファクター
スライド11: 2000年と2004年でのスクリーニングについての比較は、2002年頃より検査率が上昇している。
〈両親への対応〉
第一もしくは第二のスクリーニングで要再検と両親へ説明した場合、多くの場合は全く聞こえない聾でないかと両親は心配する。その為、なるべく早期の再診をアレンジするよう心がけており、その際の説明は慎重に行っている。
多くの親は、他の施設やインターネットで難聴の情報を入手し勉強しているケースが多い。ある程度の知識はすでにあり、適切な早期対応が必要だということも知っている場合が多い。6ヶ月時の補聴器装用や人工内耳適応についての説明を行う。中には、新生児に対して、話しかけや歌うことをやめてしまう親もいる。また、検査施行がうまくいかないケースや、両親の受け入れがいまいちの場合などは改めて時間を設けて対応している。
スライド12:
〈ベルリンでのスクリーニング施行に際しての問題点〉
第一の問題点として、31000人の出生に対して、検査は38%にしか施行できなかったということである。その原因として以下のものが挙げられる。
・財政、金銭的問題
・人材不足問題
・健康保険の見直し
・教育関係の人材不足
・検査などの解析、技術能力の問題
・結果に対しての組織の働きかけの問題
現在ドイツでは健康保険の見直し段階にあるが、関係者の人材確保についてははっきりとした対策案はないのが現状である。一方、無職者の増加も年々認められており、必要な現場には波及されていない悪循環がある。検査技師の能力については、様々なことが関わっており、検査方法の未熟さ、データの解析不測、の他に患者に対してのアンケートコンサルトシートヘの記入を施行してくれない場合などある。それに対しては、検査についての教育コースなどを設けて更なるレベルの向上が必要と考えている。
スライド13:
〈新生児スクリーニング後の対応について〉
難聴が発見されある程度確定された場合の対応は、可能な限り週に一回一時間の診察とムンテラを行い、同時に補聴器の装用を開始する。他施設と比較し、我々の病院では比較的早期に装用を開始している。
〈まとめ〉
新生児聴覚スクリーニングによって、極めて早期の難聴発見が可能となる。今までの述べたような検査方法で難聴児を見つけ出す。第一のスクリーニングで今後悪くなる可能性があると判断した場合は聴覚検査や小児科でのフォローを施行している。
早期に発見された場合の補聴器装用について、補聴器の装用自体に慣れる装用ように生後3〜4ヶ月から開始するとよい傾向がある。
また両親の難聴に対する受け入れについては、大きな問題で個人差があるものの十分な時間をかけての説明を行って対応している。
スクリーニング検査の盲点として、第一のスクリーニングで正常という結果が出た場合、その後絶対に難聴を来たすことがないという保証にはならないことが挙げられる。従って、正常という結果がでた場合でも、難聴の状態に注意を向け、簡単な聴覚検査を施行するなどの対応が必要である。
スライド14:
最後に一番我々が重視していることは、両親への対応で個人差があることを踏まえて、今後の対応をしっかりと説明し、かつ両親が主体となり積極的に難聴に対してのケアを行っていけるような配慮を心がけている。
ベルリンの風景
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