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◆新巻鮭と冷蔵流通網
 日魯漁業は大正末頃より、冷蔵船の購入や冷蔵倉庫の買収・建設など、冷蔵流通網の整備を進めていた。このころ、サケを低塩分で処理し鮮魚のような味覚を持つ新巻鮭という商品が開発されていた。新巻鮭は低塩処理のため、保存・流通に冷蔵設備が必要となった。日魯は昭和2(1927)年には函館冷蔵株式会社を立ち上げて、新しい冷蔵商品の流通に備えた。
 また昭和5(1930)年に日魯製品を独占的に取り扱う函館水産株式会社が設立され、この呼びかけで昭和8(1933)年には全国12箇所での冷蔵庫新設に至った。全国的な冷蔵流通網により、新巻鮭のような冷蔵を必要とする水産物の全国流通が可能となった。昭和15(1940)年には、全国の有力な鮭鱒販売業者を会員として日本鮭鱒販売連名会が創立された。新潟からは北洋水産販売株式会社が会員として参加した。
 
新巻鮭広告
『日魯の現況』に掲載された新巻鮭の広告イラスト。
 
小樽冷蔵庫(写真)
市立函館博物館所蔵 昭和2(1927)年に日魯が買収した。
 
北洋水産販売定款
北洋水産販売は日本鮭鱒販売連名会に参加した会社。取締役は田代三吉。
 
日本鮭鱒販売連盟会創立総会記念(写真)
昭和15(1940)年か


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