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2・3・6 ケーブルの布設
(1)同軸管の布設(図2・14参照)
 ここでいう同軸管とは、3GHz帯(Sバンド10cm波)の航海用レーダーの導波管に代わるものとして使用されている図2・14のような構造のものである。
(a)Sバンドレーダーの送受信機と空中線の間の電波の伝送線路としては、導波管の代わりに同軸管(又はRF同軸ケーブルという。)を使用することが多い。電波の損失は1mあたり0.09dBあり、損失を最少とするためにもその長さはできるだけ短くなるように布設しなければならない。
 ケーブルのクランプや甲板の貫通等は、通常のケーブルと同様に取り扱うことができる。
 
図2・14 同軸管の構造例(型式HF-20Dの実例)
 
(b)同軸管の許容屈曲半径
 布設作業中に2〜3回は屈曲しなければならないことがあるが、その場合の許容屈曲半径は250mmで、これ以下の半径で急激に曲げてはならない。
(2)高周波用同軸ケーブル
(a)レーダーのトリガ信号や映像信号の伝達用として使用されるものに、ポリエチレン絶縁の高周波同軸ケーブルがある。高周波同軸ケーブルは、構造上から、普通同軸ケーブル、平行2心型ケーブル及び同軸2心型ケーブルに大別される。
 構造と特性は、※JAN規格、MIL規格及び防衛庁規格(NDSXC3501)によるものと、日本電信電話(株)規格、JIS-C3501. NK-H規格、警察庁規格によるものがある。
 
※JAN規格:JOINT ARMY NAVY SPECIFICATION
 
図2・15 同軸管ケーブルの装備実施例
 
 
 レーダー装備用として使用される高周波同軸ケーブルは、2本から4本程度をまとめてがい装ケーブル化したものや、がい装付き多心ケーブルの中に内蔵された、メーカー指定の特殊ケーブルにした場合が多い。
(b)普通同軸ケーブルの構造を図2・16に示す。
 
図2・16
 
(c)一般的にレーダーに使用される同軸ケーブル
 
普通同軸
ケーブル
内部導体構成
(mm)
仕上外径
(mm)
特性インピーダンス
(Ω)
規格、その他
RG-8/U 7/0.72 裸銅線 10.3 52±2 NDS、JAN
RG-10/U 12.1  〃 〃 RG-8/Uがい装品
RG-12/U 7/0.40 錫めっき銅線 12.1 75±3  〃 〃 編組がい装品
RG-12A/U 12.1 JAN、MIL 〃
RG-14/U 2.6 裸銅線 13.8 52±2 NDS、JAN
RG-62/U 0.64 W銅線 6.1 93±5 NDS、JAN
RG-63/U 10.3 125 NDS、JAN
RG-71/U 6.4 93±5 NDS、JAN
RG-74/U 2.6 裸銅線 15.7 52±2 NDS、JAN RG-14/Uがい装品
RG-79/U 0.64 W銅線 12.1 125 NDS、JAN RG-63/Uがい装品
3C2V 0.5 裸銅線 5.8 75±3 NTT、NHK、警察庁
5D2V 1.4 裸銅線 7.5 50±2  〃 〃 〃、JIS
 
(3)その他のケーブルの種類
(a)特殊ケーブル
 レーダーメーカーの特殊ケーブルについては、メーカー支給によるので、詳細はメーカー指示によること。
 適用規格は、JIS規格若しくはNK規則に準拠したものであることを、メーカーの製作図面と現品照合によって確認すること。
(b)外国船級規格ケーブル
 AB規格ケーブルや、ロイド規格ケーブルがあり、それぞれ構造や寸法に相違がある。
(c)NK規格等認定ケーブル







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