1・2・9 船舶安全法による航海用レーダー等の検査
船舶の定期検査及び中間検査の際に、船舶設備規程によって航海用レーダー、電子プロッティング装置、自動物標追跡装置及び自動衝突予防援助装置を備えなければならない船舶の航海用レーダー、電子プロッティング装置、自動物標追跡装置及び自動衝突予防援助装置は、船上での船舶検査官による検査の対象となる。また、航海用レーダーを改造、あるいは換装した場合などは、その内容によって臨時検査の対象となる。
なお、型式承認を受けていない型式の航海用レーダーを設置する場合には、当該航海用レーダーは、あらかじめ製造工場等において予備検査を受け、合格しているものでなければならない。
これらの検査についての法令は、船舶安全法の第5条から第25条までと、船舶安全法施行規則の第14条から第46条の2までにあり、ここでは省略するが、その概要及び注意すべき事項は次のとおりである。
(1)検査の種類
(a)定期検査
定期検査は、船舶を日本船舶として初めて航行の用に供するとき又は船舶検査証書の有効期間が満了したとき、(新造船及び外国船舶を購入した場合又は検査の対象船舶に変更された場合を含む。)船舶の構造、設備等の全般にわたって行われる精密な検査である。
定期検査に合格した船舶に対しては,航行区域(漁船の場合は従業制限)、最大とう載人員、有効期間等を記載した船舶検査証書が管海官庁から交付される。船舶検査証書の有効期間は原則として5年と定められているが、旅客船を除き、平水区域を航行区域とする船舶、又は総トン数20トン未満の船舶であって危険物ばら積船、特殊船及びボイラーを有する船舶以外の船舶については6年と定められている。(法第5条)
(b)中間検査
定期検査と定期検査の中間において、船舶の構造、設備等の全般にわたって行なわれる簡易な検査であって、第1種中間検査、第2種中間検査及び第3種中間検査の3種類がある。
中間検査の種類と、これを受けるべき時期については、船舶安全法施行規則第18条に規定されている。
イ 中間検査の種類
次表は、中間検査の種類等をまとめたものである。
船舶安全法の中間検査の種類
中間検査の種類 |
第1種中間検査 |
第2種中間検査 |
第3種中間検査 |
対象船舶 |
・旅客船
・内航貨物船及び漁船
・高速船等 |
外航貨物船 |
検査対象施設 |
・法第2条第1項
注)各号に掲げる事項
・満載喫水線
・無線電信等 |
・法第2条第1項
注)第1号、第2号、第4号から第6号まで、第9号から第13号までに掲げる事項
・満載喫水線
・無線電信等 |
・法第2条第1項
注)第1号から第5号、第7号、第8号、第11号から第13号までに掲げる事項 |
検査の性格 |
・船体の上架が必要な検査 |
・条約上の年次検査及び中間検査を含む検査
・毎年行う必要があり、効力の確認を中心とする簡易な検査
・浮上中でも受験可能なもの |
・条約上の船底検査を含む検査
・5年に2回行うもので船底外板の検査及び機関等の開放検査並びに居住、衛生設備の検査を含む検査
・船体の上架が必要なもの
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注)法2条第1項は船舶安全法第2条(船舶の所要施設)における施設すべきもののことで次の各号をいう。
1. 船体 2. 機関 3. 帆装 4. 排水設備 5. 操舵、繋船及び揚錨の設備 6. 救命及び消防の設備 7. 居住設備 8. 衛生設備 9. 航海用具(GMDSS設備、レーダー等を含む) 10. 危険物その他の特殊貨物の積付設備 11. 荷役その他の作業の設備 12. 電気設備 13. 前各号のほか国土交通大臣において特に定むる事項
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ロ 中間検査の時期
船舶安全法施行規則第18条第2項における表は下記のとおり。
船舶検査証書の有効期間が5年の船舶
区分 |
種類 |
時期 |
1 国際航海に従事する旅客船(総トン数5トン未満のもの並びに原子力船及び高速船を除く。)
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第1種中間検査 |
検査基準日の3月前から検査基準日までの間 |
2 原子力船 |
第1種中間検査 |
定期検査又は第1種中間検査に合格した日から起算して12月を経過する日 |
3 旅客船(総トン数5トン未満のものを除く。)潜水船、水中翼船及び長さ6メートル以上のエアクッション艇であって前2号左欄に掲げる船舶以外のもの並びに高速船
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第1種中間検査 |
検査基準日の前後3月以内 |
4 国際航海に従事する長さ24メートル以上の船舶(前3号左欄に掲げる船舶及び船舶安全法施行規則第1条第2項第1号の船舶(もっぱら漁ろうに従事する船舶)を除く。)
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第2種中間検査 |
検査基準日の前後3月以内 |
第3種中間検査 |
定期検査又は第3種中間検査に合格した日からその日から起算して36月を経過する日までの間 |
5 潜水設備を有する船舶(前各号左欄に掲げる船舶を除く。)
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第1種中間検査 |
船舶検査証書の有効期間の起算日から21月を経過する日から39月を経過する日までの間 |
第2種中間検査
(潜水設備に係るものに限る。) |
検査基準日の前後3月以内(ただし、その時期に第1種中間検査を受ける場合を除く。) |
6 その他の船舶 |
第1種中間検査 |
船舶検査証書の有効期間の起算日から21月を経過する日から39月を経過する日までの間 |
備考
1 この表において「高速船」とは、管海官庁が1974年の海上における人命の安全のための国際条約附属書第10章第1規則に規定する高速船コードに従って指示するところにより当該船船舶が法第2条第1項に掲げる事項を施設している旨及び当該船舶に係る航行上の条件が、第13条の5第2項の規定により記入された船舶検査証書を受有する船舶をいう。
2 この表において「検査基準日」とは、船舶検査証書の有効期間が満了する日に相当する毎年の日をいう。 |
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船舶検査証書の有効期間が6年の船舶
区分 |
種類 |
時期 |
旅客船を除き平水区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン未満の船舶(危険物ばら積船、特殊船及びボイラーを有する船舶を除く。) |
第1種中間検査 |
船舶検査証書の有効期間の起算日から33月を経過する日から39月を経過する日までの間 |
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下の図は、前表をまとめたものである。
(i)船舶検査証書の有効期間が5年の船舶
(拡大画面:76KB) |
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(ii)船舶検査証書の有効期間が6年の船舶
(拡大画面:9KB) |
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注) 1中:第1種中間検査 2中:第2種中間検査 3中:第3種中間検査
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