2・3・9 絶縁抵抗試験
2・3・10 耐電圧試験
2・3・11 直流発電機の総合電圧変動特性試験(NK規則)
規則で要求される電圧変動特性は交流発電機の場合と同様に原動機の速度特性を含めて次のように規定されている。なお、試験は温度試験に引きつづいて行い、回転速度は全負荷において定格速度に合わせて行うものとする。
(1)分巻発電機;全負荷において定格電圧に合わせた場合、無負荷における整定電圧は、全負荷における電圧の115%を超えてはならない。また、すべての負荷における電圧は、無負荷における電圧を超えてはならない。
(2)複巻発電機;20%負荷において電圧を定格電圧の±1%以内に合わせた場合、全負荷における電圧は、定格電圧の±1.5%以内でなければならない。また、20%負荷と100%負荷間の漸増及び漸減電圧変動曲線の各負荷における平均値は定格電圧より3%以上変動してはならない。ただし、並行運転を行う複巻発電機は、負荷を20%から100%まで漸増した場合、電圧の垂下は、定格電圧の4%までとしてもよい。
(3)3線式発電機;前(1)及び(2)の規定に適合するほか、正負いずれかに定格電流を、中性線に定格電流の25%を通じた場合、正と中性線又は負と中性線間の電圧差が正負間の定格電圧の2%を超えないこと。
2・3・12 直流発電機の並行運転試験
この試験は、原則として、原動機と組合わせて実施するものである。
(1)並行投入試験
1台の発電機を適当な負荷において定格電圧で運転中、他の発電機をこれと並列に投入して負荷を移動し、並列投入の難易及び任意の負荷分担において異常のないことを確かめる。
(2)負荷漸変試験
各発電機は75%負荷において、その定格出力に比例した負荷を分担するように調整した後、各機の定格出力の総和の20%から100%の間において負荷を漸変した場合、その間のすべての整定総合負荷において、各発電機の比例分担すべき負荷がその発電機の定格負荷の±15%以上の変動を生じないものでなければならない。(船舶設備規程)
又、NK規則では、各機の負荷の不平衡は、各機の定格出力の総和の20%と100%の間のすべての負荷において、各機の定格出力による比例配分の負荷と各機の出力との差が、それぞれ最大機の定格出力の±10%を超えないものでなければならない。この場合、各機は75%負荷において、その定格負荷に比例した負荷を与えるように調整するものとすると規定されている。
回転機は電圧、回転数及び周波数をできる限り定格値に保って、次の数値に耐えるものでなければならない。
NK規則では、
直流発電機は定格電流の150%で
定格出力(kw)/定格回転数(rpm)≦1 45秒間
定格出力(kw)/定格回転数(rpm)>1 30秒間
直流発電機は、160%トルクで15秒間
と規定されている。
2・3・14 過速度試験
船舶設備規程
分巻電動機・・・定格速度の125%
直巻電動機・・・定格速度の200%
複巻電動機・・・無負荷速度の125%
NK規則
(a)分巻電動機及び他励電動機
最大定格回転速度の120%又は無負荷回転速度に相当する速度の115%の大なる方
(b)速度変動率が35%以下の複巻電動機
最大定格回転速度の120%又は無負荷回転速度に相当する速度の115%の大なる方。
ただし、最大定格回転速度の150%を超える必要はない。
(c)速度変動率が35%を超える複巻電動機及び直巻電動機
製造者により指定された最大安全回転速度の110%
(d)永久磁石により励磁される電動機
直巻の場合は(b)又は(c)による。それ以外の場合は(a)による。
2・3・15 その他の試験
(1)振動試験
(2)騒音試験
(3)はずみ車効果(GD2)の測定
2・3・16 復習問題(4)
(1)直流発電機の発電機法による無負荷飽和曲線について述べよ。
(2)複巻発電機の負荷特性(外部特性)について述べよ。
(3)分巻電動機のトルク特性の測定方法について述べよ。
2・4 誘導電動機
(1)形式試験
三相誘導電動機の形式試験として受渡試験及び参考試験のほか次の項目がある。
(a)防爆試験
(b)風量試験
(2)受渡試験
三相誘導電動機の受渡試験としては、次の項目がある。
(a)機械的点検
(b)巻線抵抗試験
(c)絶縁抵抗試験
(d)二次電圧の測定
(e)無負荷試験
(f)拘束試験
(g)特性算定
(h)温度試験
(i)耐電圧試験
(3)参考試験
参考試験として注文者の仕様や設計及び技術上の必要に応じて、次の項目の中から適宜行うことがある。
(a)振動試験
(b)騒音試験
(c)過速度試験
(d)超過トルク耐力試験
(e)注水試験
(f)始動電流・始動トルク・始動時間の測定
(g)耐湿試験
(h)実負荷による特性試験
(i)組合せ試験(電動甲板荷役機械など)
以上は電動機本体の試験項目であるが、各種付属品についても十分なる試験を行う必要がある。
誘導電動機は非常に広い用途に使われるので、その用途に適した構造・特性を持っているかどうかを、本体と付属品についても十分に検査を行う必要がある。
一般用誘導電動機の固定子巻線の抵抗は、ほぼ図2・37の値ぐらいである。抵抗測定は固定子巻線のみでなく回転子巻線も測定すること。これは特性算定には必要ないが、回転子巻線の温度上昇の算定、巻線の接続違いチェックのためである。なお、巻線抵抗値の各相間の不平衡は平均値の±5%以内が普通である。
図2・37 固定子巻線1相の抵抗値(75℃)の例
2・4・4 特性試験
(1)誘導電動機の特性として知りたいのは、負荷に対する電流・効率・力率・すべり・最大出力・停動トルク・始動トルク・二次電圧・二次電流、又はすべりに対するトルク・電流などである。これらの値を求める試験法として、普通行われるのは次の方法がある。
(a)円線図法
(b)スタインメッツ計算法
(c)損失分離法
(d)実負荷試験法
(e)損失の和による算定法
(a)は測定法としてはいちばん簡便なのでメーカーの試験法として一般に使われる。
(b)は精密な値を求めるには適しているが計算が面倒であり、余り使われない。
(c)は相手機械と連結された状態でできる。
(d)は円線図法では誤差が大きくなる特殊な電動機(励磁電流が全負荷電流の80%以上にもなるようなものなど)や、試作・研究のための実証試験などに使われる。
(e)はあまり使わないがJEC2137:00(誘導機)に規定されている。
なおこのほか、すべりに対するトルクを過渡現象直視装置により観測することも行われる。
(2)電動機の特性を算定するためには、次の試験による測定結果が必要である。
(a)巻線抵抗測定(2・4・3参照)
(b)二次電圧の測定(2・4・5参照)
(c)無負荷試験(2・4・6参照)
2・4・5 二次電圧測定試験
巻線形について二次巻線を開路し、回転子の静止状態で、一次巻線に定格周波数の定格電圧を加え、二次巻線端子間に誘起する電圧を測定し、次の値以内であることを確かめる。
各端子間電圧の平均値と、銘板記載値との差 |
銘板記載値の±3% |
各端子間電圧と、その平均値との差 |
各端子間電圧の平均値の±1% |
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