総括と質疑応答
栗林 福島県立医科大学白菊会理事長の栗林でございます。各大学にはいろいろ事情があるとは思いますが、要するに告別式までに学長様の感謝状が欲しいという会員と遺族の希望のあったことを、ご報告しておきます。
坂井 この件につきましては、福島県立医大の各御先生のご指導方針、福島の先生によくご意向が伝わるように、いろいろ頼んで努力してまいりたいと思います。
竹内 愛知の不老会の理事長の竹内でございます。愛知で財団法人不老会をつくり、私どもは名古屋市立大学、それから愛知医科大学、さらに藤田学園大学、そしてその医学部と愛知学院大学の歯学部、4医学部と1歯学部に献体をいたしております。今問題をコメディカルの解剖学習についてお話を先生方から聞きました。慎重に扱えということに対しては、当然でございます。しかしそれだけの数字が増えているのに、医療がここまで発展をしてまいりますと、お医者さんと歯医者さんだけではという雰囲気は十分出て、コメディカルの解剖の参加が大きな課題であると思います。私ども不老会は進める方向についてまったく賛成であります。ただ、今日最もうれしかったことは、遺族に対する配慮という問題で、諸先生からはっきりした報告がされたことに対して、あらためて御礼を申し上げ、私の報告を終わります。
内野 どうもありがとうございました。
質問 死体の解剖資格という話がございましたが、例えば25体以上を主として解剖するということというのが入っておりましたけれども、25体以上というのは、解剖学教室に十数年おりますけれども、主として25体以上やったという自信を持てるのはございませんので、あれは恐らく病理か法理の数値だと思うのですが、その資格の取れるコメディカルの教育者として、死体解剖資格として与えるというようなことを適用するというのは、今の話の中では一応違和感はあるんですけど、それについての働き掛けというか、そういうのは・・・。
大谷 25体以上ということですけど、あれは多分、系統解剖の場合は、25体は25体でも、全部自分で解剖しなくても、解剖補助に近いような対応の仕方でも、解剖したと認めるというふうな条文がございます。正確には後で確認していただきたいのですが。
丸山 私、千葉白菊会の丸山と申します。コメディカルに関しまして、大谷先生の話が献体をする者にとっては、法律的にも大体、私は賛同しております。ですからコメディカルが大切だということは、今日参画している皆さんは、当然思っておられると思います。ただ、医学部、歯学部に私たちは献体をするという今、法律があるわけですから、私たち、千葉白菊会の場合は、ちゃんと会則に千葉大学に寄付をしますということになっているわけです。ですから千葉大学が主催して、そして見学をするまでは、私たちは今までもずっと協力してきておりますし、これからもそうなると思います。
ただ、状況はだいぶ変わってきておりますが、やはり専門学校の皆さんが、そういう資格、教授や助教授がいるということだけで、解剖までを私たち献体する者が、本当に承認しているのかどうかということは、これから、私は各大学の白菊会なり、その会が検討する必要があるのではないかと思います。
チーム医療が当然、これから今まで以上に進んでいくと思いますけれども、やはりリーダーは、私はお医者さんではないかと思うんです。ですからそのリーダーがチームプレーを率いていくためには、やはり協力してもらう人のレベルアップは当然だと思います。ですが、その人たちが解剖まで必要なのかというのが、これは私の個人的な意見になるかもわかりませんが、私、献体の一人としては医学生が中心になって、それを見学するというところまでは許されるのかなと。ですから解剖については、私は疑問符がございます。
内野 ありがとうございました。これは実態といいますか、コメディカル側とすれば、例えば関節を曲げたりなどPTの方たちが行っていると。実際、関節の中を見てみたいとか、それから言語聴覚とかそういうところは、教科書等だけではなくて、実際にものを三次元的に見たいんだということを、非常に強く希望されています。ですから解剖教室で解剖されたものを見ると、これも確かにいいのですが、実際にやらないといけないという面もあるようですので、またこれは少し時間のかかる方、さっきで言うと急いでやるのと時間をかけるという、そのじっくり型のほうだと思いますので、検討させていただきます。
川上 名古屋大学の医学部保健学科の川上と申します。私、理学療法士でございます。今日、いろんな質疑が交わされるのを初めて伺いまして、すごく勉強になりました。実は私ども、当大学の小林教授とともに、非常にわれわれにとっては恵まれた環境で、解剖実習をやらせていただいております。その中で今日のお話の中でも、いろんなお願いという意味でのお話があったと思いますが、その中で例えばご遺体に対する敬意とか、前もっての学習とか、そういったものに関しても出たと思います。
われわれも教える立場として、学ぶ立場として、トレーニングセミナー等に対しても、非常に参加させていただきたいということで、たくさんのわれわれの仲間、専門学校の教官の人たちも熱心にトレーニングセミナー等学んでいる最中でございます。どのぐらいトレーニングして、どのぐらいのことをやっているかということに関して、またわれわれも調べてみたいなと思っております。
それと維持、管理についてですが、私どもの周りの学校、特に専門学校や名古屋大学周辺の学校の教官の方々とお話ししたことがございます。当然、私は名古屋大学側ですが、でもその周りの学校の方々は、もし独立行政法人化に伴い、そういう協力の下で一緒に表立ったお金を、こういう維持管理費が必要だ、そういった場合にはぜひ言ってください、そういった形で協力できるんであればどんどん協力しますというようなことも伺っております。
また理学療法士協会の会長や、歯学協会の会長、もしくは国立大学の理学療法学専門領域部会の会長等も、今から一生懸命、文科省、厚労省等に働きかけようという努力をしております。本当に学生は学びたいと思っています。臨床の理学療法士の人たちもそうですが、どこに痛みがあるんだ、どの筋肉が弱くなってるんだ、そういったことをしっかり見て、触って、患者様の状態をしっかり評価できるようにしたいと思っています。その辺のところを先生方、ご協力いただければと思いまして発言させていただきました。
坂井 どうもありがとうございます。今回のシンポジウム、ここで皆さまにもう一つご説明申し上げておきたいことは、われわれ大学の関係者と献体団体の方が、共通の場でこのコメディカル教育について率直に意見を交換することのできた、実に初めての場所であるという、今日は素晴らしい体験をさせていただいたと思います。
大学の人間がどのような状況に直面しているか、あるいはその献体者の方がどういうお気持ちを持っているか、あるいはその献体者の献体を取り巻く状況が、また大学ごとにさまざまなニュアンスを持っているということも、今日はお伺いできましたし、これを基にまた今後の展開に向かって、われわれの認識、また一歩が踏み出せるのではないかと思います。
内野 今の名古屋大学のPTの方がご発言になりまして、本当に実際にはそうだと思うのですが、このコメディカルの教育に対して、一番先に声を出してきたというのはこういうような会でありまして、あと、解剖学会のもちろんコメディカル教育委員会ももちろんそうですが、そういうところで声がだんだん高まってきたと。文部科学省に言っても、先生たちが来ておっしゃるのはわかるけれども、何でコメディカルの団体、各協会の方たちが来ないのか不思議でしょうがないって言われるんです。ですから今、先生に言われたように、これからはもう大いにそちらの方でも文科省や厚労省に声をかけていただかないと、これはなかなか進まないことだと思いますので、その点もぜひよろしくお願いしたいと思います。
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