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 L-6ラインでも全体的にはハマサンゴが多く分布していた。L6-1は東小島に近いが、この周辺はサンゴが少ない。
 やや南に下がった場所からL6-2付近にかけては、起伏のある岩礁が多く、ここでも岩礁の上面にはハマサンゴ科やミドリイシ科の被度が高くなる傾向がある。
 また、調査ラインの南端の浅場まではサンゴの被度は低くなる。L6-3では、後述するように紅藻類のケヒメモサズキやトゲイギスが分布していた。多い場所では被度90%のターフアルジーが水深3m前後に分布していた。ラインの南端の浅場はL4と同様に、キクメイシ科とミドリイシ科がやや多く分布しており、ガンガゼも目立っていた。
 ハマサンゴ属では直径2m程度の大型の群体がいくつか確認されたが、ミドリイシやハナヤサイサンゴは長径30cm程度以下の小型種が多い。これらの状況は過去の調査結果1)に類似している。
 しかし、当時の調査ではクシハダミドリイシ(テーブル状)の大型の群体が観察されているが、今回の調査では、長径2m前後のテーブル状の死んだサンゴをいくつか確認したが、生きている群体は見られなかった。サンゴの害敵生物であるオニヒトデは2日間の調査中では1個体も確認できなかったが、航洋丸の船員の話によると過去にはオニヒトデが多い年があったとのことである。
 
写真1
L-4の北側の平坦な海底に分布する大型のハマサンゴ(黒い丸い模様はレンズに付いた泡)。波当たりが強いので砂礫は少なく、海底の窪みや岩の陰に少し見られた。
 
写真2
平坦な海底にはサンゴが少なく突出した岩盤には比較的小型のミドリイシ属サンゴも分布している
 
写真3
L4-2付近の海底平坦な海底に突出した岩にはサンゴが分布する
 
 L4、L6全体を通して普通に見られる生物としてはナマコ類やシャコガイがあげられる。波当たりや流動環境が厳しい北側の礁原ではナマコ類はやや少ないが水深が深くなると目立っていた。同定はしてないが、体表に砂があまり着いてないのでニセクロナマコと推察される種が多く、次いでシカクナマコが多い傾向にあった。シャコガイではシラナミガイが多く見られた。
 
写真4
ミドリイシサンゴの基部や岩礁の窪みにガンガゼが分布している。
特に、南側の礁原の浅い部分に近いほどガンガゼは多くなる傾向が見られた。
 
写真5
L6-3付近の紅藻類(トゲイギス等)のターフアルジーと点在するナガレサンゴ(Leptoria phrygia)。ナマコ類も多く分布している。
 
写真6
L6ラインの最も南端の浅瀬。岩礁上にはミドリイシ科やハマサンゴ科のサンゴが分布している。
 
写真7
シラナミガイとミドリイシ科
 
写真8
L4-Nの岩盤部分にはハマサンゴが分布するが周辺は平坦な岩礁域
 
3)30mラインのライントランセクト調査の結果
 図4に示したL4ラインに沿った3カ所で南北にライン30mを設置し、このラインを横切るサンゴの寸法を計測し、30mに対する被度を算出した。図8に測定結果を示す。
 
図8 L4に沿った3カ所の30mのライントランセクトの結果
(注)瓦礫や砂の被度は高いが、層厚は薄い
 
 サンゴの被度は北から約9%、3%、18%であり、多くはない。
 北側(L4-N)では、局所的に平坦な岩礁上に薄く細砂やサンゴ瓦礫が分布しているが量は少ない。サンゴはコブハマサンゴ(Porites lutea)、アナサンゴモド科(Millepora sp.)およびソフトコーラルのウミトサカ科が分布していた。
 中央(L4-C)では、サンゴ瓦礫に細砂が点在しており、岩盤に窪みが多く、瓦礫が多い傾向にある。サンゴの被度は低いが、北側に比べ種類は多くなった。
 イボハダハナヤサイサンゴ(Pocilloporaverrucosa)、コブハマサンゴ(Poriteslutea)、キクメイシ科のフカトゲキクメイシ(Cyphastrea serailia)、Faviasp.、ミドリイシ科(Acropola sp.)が安定した岩盤の上に着生していた。
 
写真9
L4-Cのミドリイシ科







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