3.調査結果と考察
3−1.サンゴの分布
1)既往の調査結果
旧建設省の調査によると、1988〜1993年度までの目視観察で確認された造礁サンゴの種類は、イシサンゴ類11科24属57種、ヒドロサンゴ類1科1属3種の計12科25属60種である。出現頻度の高い種は、ミドリイシ属( Acropora spp.)、コモンサンゴ属( Montipora spp.)、ハマサンゴ属( Porites spp.)、キクメイシ属( Favia spp.)、トゲキクメイシ属( Cyphastrea spp.)、ハナヤサイサンゴ属( Pocillopora spp.)およびアナサンゴモドキ属( Millepora spp.)などであり、被覆面積はいずれも長径で30cm程度と小型種が多く、比較的大型の種では、ハマサンゴ( Porites tenuis)、タアナサンゴモドキ( Millepora patyphylla)、クシハダミドリイシ( Acropora hyacinthus)、ナガレサンゴ( Leptoria phrygia)などが挙げられ、ハマサンゴでは2x2mに成長したマイクロアトール状のものが礁湖内で確認されている。サンゴの分布はリーフ外の礁斜面の水深10m付近で被度が約50%以上と高く、礁池内では被度が10%以下が多く、水深の深い5m付近に突出した岩盤上ではサンゴの被度が30%以下と周辺の海底に比べやや高い傾向であった 1)。
図5 1988〜1993年度のサンゴの分布調査結果
2)サンゴの広域被度調査結果
今回の調査は礁池内のL-4とL-6の2ラインに沿って被度を観察した。各ラインに沿って調査をする予定であったが、L-4ラインは側線が長く、潮流も速い場所があり、北側と南側で予定した側線よりずれてしまった。図6にGPSデータから作成した調査側線の位置図を示す。L-4ラインの北側端(L4-1)付近では平坦な海底で、直径1〜2mの大型のハマサンゴ以外にはサンゴは分布していない。そこで、この礁原以南を測定範囲とした。南限は浅くて泳げなくなる水深までとした。L-6ラインも同様な視点でラインの北限と南限を決定した。
図6 広範囲わたるサンゴの分布調査の側線
各ラインに沿った被度分布を図7に示す。L-4では全体的にはハマサンゴ科やミドリイシ科が分布している。被度ではハマサンゴ科が高く、ミドリイシ科はおおむね5%以下で少ない。北側の礁原から水深がやや深くなるエリア(L4-1〜L4-2)では海底に起伏があり、岩礁域の凸部にはミドリイシ科が多く分布するところもあり、多いところで30%を越すところも見られた。平坦な岩盤が広く分布するとサンゴの被度は小さく10%以下であった。側線の南端の浅所の部分までは比較的平坦な海底でサンゴの分布は少ない。ラインの南端の礁原ではキクメイシ科やミドリイシ科の被度が多少上がる。ただし、ラインの南端付近ではガンガゼがミドリイシ科のサンゴの下や岩盤の窪みに多く分布していた。
図7 L-4、L-6ラインに沿った サンゴ類の被度分布
(拡大画面:71KB)
|
|
|