イガイ類の生活は?
東京海洋大学
石井 晴人
イガイの仲間たち
・イガイ
固有種。約15cm。主に本州以南。潮間帯〜水深20mまでの岩礁。
・エゾイガイ
固有種。約10cm。主に北海道。潮間帯〜水深50mまでの岩礁。
東京湾で見られるイガイ類
・コウロエンカワヒバリガイ
移入種。約1〜2cm。オーストラリア原産。東京湾以南の河口〜内湾域。潮間帯〜水深5mまでの岸壁。
・ミドリイガイ
移入種。約3〜5cm。暖海性。東南アジア原産。東京湾以南の潮間帯〜水深10mまでの岸壁。
・ムラサキイガイ
移入種。約3〜6cm。地中海原産。主に本州以南。潮間帯〜水深10mまでの岸壁。
ヨーロッパなどで食用とされているのは、南部地中海に生息するムラサキイガイMytilus galloprovincialisと北西部大西洋岸に生息するヨーロッパイガイMytilus edulisである。
このうちM. edulisは日本には分布しておらず、東京湾などの内湾域で最も優占しているのは、M. galloprovincialisである。
ムラサキイガイの生活史
・精子(1)と卵(2)による体外受精
・4-5時間後には繊毛を有した胚(3)になり自由遊泳
・約1日でトロコフォア幼生(4)へと変態
・数日後、D状の殻が形成され遊泳・摂餌器官としてのベラムを有したベリジャー幼生(5)へと変態
・ベリジャー幼生は4〜6週間表層付近に分布し、約300μmまで成長
・底層への遊泳行動を始め、稚貝として付着生活を開始(6)
・数ヶ月で繁殖可能な成体(7)へと成熟
着底後のムラサキイガイの成長は?
ヨーロッパにおけるM. edulisは数年かけて5cm以上の食用サイズとなる
より餌が豊富にある東京湾では、さらに高い成長速度が見込まれるのではないか
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