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a. 水質メーターによる測定方法(水温、塩分、pH、溶存酸素量、濁度、電気伝導度、密度)
 水質メーターによる測定は、前記「表II.5.1-3水質メーターの測定原理等」と同じメーターを使用し、測定は、サンプル採水後、サンプル水にセンサーを挿入し表示値を読み取った。
b. 溶存オゾン濃度測定方法
 溶存オゾン濃度は、表II.5.2-3及び写真II.5.2-1に示した吸光度計を用いてインディゴ法で測定した。その原理は、酸性溶液でオゾンは迅速にインディゴの青色を脱色し、波長600nmにおけるインディゴが示す吸光度の減少割合がオゾン濃度に比例することを利用して水中の溶存オゾン濃度を求めるものである。
 溶存オゾン濃度は、貯留タンクに試験水が満水になった後、試験水を速やかにアンプル封入された試薬と反応させ600nmの吸光度を測定した。
 
写真II.5.2-1 オゾン濃度を測定するために用いた吸光度計
(右はオゾン測定試薬が封入されたアンプル)
 
c. 未処理原水中の溶存有機炭素(DOC)及び粒子状有機炭素(POC)の分析方法
 未処理原水中のDOC及びPOCの分析は、水中のオゾンの分解がこれら有機物量によって大きく影響し、多い場合はオゾンの分解が促進されて水生生物に対する殺滅効果が低くなり、反対に少ない場合は分解が遅くなり水生生物に対する効果が高くなるため、試験水の条件を参考とするために実施した。
 溶存有機炭素(DOC)は、試験水をGF/Fフィルターでろ過した時のフィルター通過水を燃焼酸化−赤外線方式で測定し、粒子状有機炭素(POC)は、フィルターに捕集された粒子状物質を燃焼酸化−赤外線方式で測定したものである。なお、全有機炭素(TOC)は、両有機炭素量の合計値となる。
 分析は試験時に原水を採水し、分析施設まで速やかに搬入し行った。
d. 貯留タンク内の気相オゾン濃度測定方法
 表II.5.2-4(1)及び(2)には気相のオゾン濃度測定に使用した検知管の仕様を示した。
 計測開始初期段階は、濃度の高いことが予想されたため、検知管は低濃度測定用18L(0.025〜3ppm)と高濃度測定用18M(4〜400ppm)の2種類を使用した。
 貯留タンク内気相のオゾン濃度は、予定量貯留後から約5分後に貯水した試験水表面直上で検知管により測定した。
 
写真II.5.2-2 貯留タンク内の気相オゾン濃度測定に用いた検知管の概観及び測定状況
 
 
表II.5.2-4(1) 気相のオゾン濃度測定に使用した検知管の仕様(No.18L)
メーカー GASTEC
検知管No. 18L
測定範囲 0.025〜0.05ppm 0.05〜0.6ppm 0.6〜3ppm
吸引回数(n) 10回 5回(基準) 1回
吸引補正係数 1/2 1 5
吸引時間 約7.5分 約4分 約45秒
検知限度 0.01ppm(10回吸引)
変色 青色→白色
反応原理 オゾンは検知剤と反応して指示薬を脱色し白色を呈する
 
表II.5.2-4(2) 気相のオゾン濃度測定に使用した検知管の仕様検知管の仕様(No.18M)
メーカー GASTEC
検知管No. 18M
測定範囲 4〜20ppm 20〜200ppm 200〜400ppm
吸引回数(n) 2〜5回 1回(基準) 1/2回
吸引補正係数 1/2〜1/5 1 2
吸引時間 約2〜5分 約1分 約30秒
検知限度 1ppm(5回吸引)
変色 青色→白色
反応原理 オゾンは検知剤と反応して指示薬を脱色し白色を呈する
 
e. 水生生物の生物分析方法等
 50μm以上、50μm未満10μm以上、大腸菌群及び従属栄養細菌の分析方法は、基本的に「5.1スペシャルパイプ基本性能向上システムの試験」と同様である。
 ただし、IMO排出基準では、50μm及び10μmのサイズ区分に“生物の長さ、幅、厚さの中で最も小さい箇所のサイズ(Minimum dimension)”を適用することになっており、分析データの集計方法を次のように改変して行った。
 
【集計方法】
 例えば、写真II.5.2-3の上2枚の写真のような形状をした種の全てがオープニング50μmメッシュで捕集された場合、Minimum dimensionの考え方を適用すると、最も小さい箇所のサイズである厚みの25μmによりサイズ区分を行うことになる。すなわち、この生物は50μm未満10μm以上のサイズ区分に含め集計することになる。また、珪藻などの細胞が連なり形成される群体にMinimum dimensionを適用すると、長さ(100μm)ではなく厚み(5μm)に準ずるサイズ区分となり、集計対象外となる。
 
写真II.5.2-3 IMO排出基準におけるサイズ基準Minimum dimensionの考え方
 
 また、IMO排出基準における水生生物濃度の単位海水容積を考えた場合に、次の分析作業上の問題点があり、留意する必要がある。
 
【分析作業上の問題点】
 今回の試験では、試験水20(試験原水の生物数により40の場合もある)を50μm以上及び10μm以上〜50μm未満の生物にフルイ分け(濃縮)し検鏡している。検鏡水量は、濃縮した原水に対し50μm以上が1/2、10μm以上〜50μm未満が1/20である。この検鏡量をIMO基準の単位に合わせた場合、最小単位は50μm以上が100生物数/m3、10μm以上〜50μm未満が0.001生物数/となる。つまり、50μm以上の生物は、現在の検鏡方法では1個体でも確認されるとIMO排出基準の10生物数/m3をオーバーすることになる。最小単位を生物数1/m3にするには、試験原水を1m3以上に濃縮し、その全量を検鏡しなければならない。これは、システムの性能評価のために生物の生死判定を速やかに行わなければならない本試験の趣旨を考えると現実的でないため、試験水の容量を20として行った。
 
表II.5.2-5 IMO排水基準との関係における50μm以上の水生生物計数方法の問題点等
現在の方法:20(40)のうち1/2を検鏡=試験原水の10(20)を検鏡
1生物確認=試験原水1m3に換算すると100生物(50生物)に相当
問題点(1):1生物でも確認されるとIMO基準を超過する。
   (2):検鏡量を増やす→時間がかかり生死判定が困難になる。
    ◇ この相反する問題点の対応は、可能な限り検鏡量を増やすしかない。


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