東南アジア・テロ対策センターが始動−マレーシア
米国の提唱で準備が進んでいた東南アジア・テロ対策センターが1日、マレーシアの行政首都プトラジャヤで始動した。当面はプトラジャヤの外務省庁舎内で活動し、来年10月にクアラルンプールに設置する恒久事務所に移転する予定。
このテロ対策センターは、昨年7月にパウエル米国務長官がマレーシアを訪問した際に提唱。マハティール首相が「テロとの戦い」に協力した経緯を踏まえて準備が進んでいた。米国と協力して設立する予定だったが、イスラム教徒が多数を占める国民感情に配慮して、当面はマレーシア政府が提供する資金で運営する。
センターは国内外の軍や警察関係者らを対象としたテロ対策訓練やセミナー開催などを予定しているが、テロに関する情報機関の役割は持たない予定。
(2003年7月2日 時事速報シンガポール)
テロリストの脱獄を受け、インドネシアの空港や港が厳戒態勢
インドネシア警察は15日、フィリピンの拘置施設から脱獄したインドネシアのイスラム過激派「ジェマア・イスラミア」(JI)のメンバー、ファトル・ロフマン・アルゴジ被告がインドネシアに入国する恐れがあることから、国内の空港や港に厳戒態勢を敷いた。
アルゴジ被告は、同じ施設内に収監されていたフィリピンのイスラム武装組織「アブ・サヤフ」メンバー2人も共に姿を消した。
インドネシア警察は、アルゴジ被告が東南アジアのほかの国に逃れる可能性もあるとしている。
(2003年7月16日 シッピング・タイムズ)
海上からの不法入国者取り締まりが進んでいる。シンガポール警察沿岸警備隊は今年に入ってから70人を逮捕した。昨年通年の49人をすでに上回っている。
逮捕者増加の背景には、高速艇、高精度レーダー、暗視装置など高度な設備がある。沿岸警備隊は北部プラウ・ウビン島沿岸に設けているフェンスをほかの沿岸にも設置する計画だ。
一方、船員が巧妙な手口で当局の監視をくぐっているとみられ、不法入国を手助けする船員の逮捕者数は減少傾向にある。2000年の16人から、01年に4人、02年に3人に減少。今年に入ってからこれまでに3人が逮捕された。
船員らは、シンガポール海域に忍び込んで不法入国者を置き去り、急いでマレーシア海域に逃げ込むという手口を使っているという。
不法入国を手助けした者は5年の禁固刑、不法入国者1人当たり3回以上のむち打ち刑が科される。ストレーツ・タイムズが21日伝えた。
(2003年7月22日 NNA)
アセアンは日本との関係を強化しなければならない(ビジネス・タイムズ社説)
アセアンとの新たな経済関係構築で当初中国に遅れをとっていた日本が、イニシアティブを回復
先週発表された日本−アセアン研究調査報告書には、「アセアンは経済統合を深め、促進し、政府間の協力から地域の機関に変形する時を迎えた」と述べられた。その理由は、「アセアンの産業化と中国の浮上によって、最初のアセアン加盟国がかつて享有していた熟練労働という利点が失われてしまった」からである。
シンガポール、マレーシア、タイは、どのようにして製造経済から知識経済へ変わっていくべきか明確な展望があるが、アセアン全体では首尾一貫した産業変換方針がない。また、同報告書では、10カ国間の真の経済統合を支えるのに必要な「アセアン全域にわたる輸送システム」といったものがないとされた。これらの欠陥を考慮すると、どうして最近日本(または中国)が根気強くアセアンにアプローチするのかという疑問が沸くが、これは日本の場合、日本のアセアンへの投資が中国への投資の3倍に及ぶからである。
(2003年7月31日 ビジネス・タイムズ)
シンガポールの埋め立てに「待った」=マレーシアが海洋法裁に提訴
「シンガポール6日時事」マレーシアが国連海洋法裁判所(ITLOS)に対し、隣国シンガポールの海岸線埋め立て工事の全面差し止めを要請したことが6日、明らかになった。国土の狭いシンガポールは、埋め立てによって新たな開発用地を確保してきたが、マレーシアは「両国を隔てるジョホール水道の環境、漁業や船舶航行に悪影響が生じている」と批判していた。
ITLOSによると、マレーシアはこうした悪影響を主張した上で、正式な裁定がでるまでの暫定措置として、マレーシア近海での埋め立てを全面的に差し止めるよう要請した。
1960年代に580平方キロだったシンガポールの国土面積は、現在680平方キロ以上。埋め立てによって100平方キロの国土を新たにつくり出したことになる。
(2003年9月8日 時事速報シンガポール)
ドイツのハンブルクにある国際海洋法裁判所(ITLOS)は25日から3日間の日程で、マレーシアが提出したシンガポールによる同国周辺海域埋め立て事業の差し止め申し立てについて聴聞会を開く。まず前日の24日にマレーシアとシンガポールの代表が宣誓し、25日以降は21人の海洋法専門家による意見聴取と審理を行う。判決は1週間以内に出る見込みだ。マレーシア政府は、シンガポール政府が同国トコン島などで進めている埋め立てに「新しくできる陸地が国境線を侵すほか、工事が周辺海域の生態系や航海に悪影響を与える」と強く反対。国際的な仲裁によって解決が図られるまで、工事を中止するようシンガポールに要求している。
(2003年9月23日 NNA)
リアウ州高等裁判所は17日、テロ組織ジュマア・イスラミア(JI)のシンガポールを統括するとされるカスタリ被告が控訴していたドゥマイ地方裁判所の禁固1年8カ月の判決を支持する判決を下した。19日付ジャカルタ・ポストが伝えた。被告は旅券(パスポート)など偽の身分証明書で入国しようとした入国管理法違反で6月末に有罪判決が下されている。求刑は2年。同被告は、一審でJIの指導者としての証拠が不十分とされたアブバカール・バアシル被告(禁固4年で上訴中)の公判でも証言を行っているほか、シンガポールの米軍施設を標的とするテロ計画があったことなどを明らかにしている。ただ、検察側は同被告をテロ関連で起訴する意向はないとしている。また、シンガポールとインドネシアには送還の協定がないため、シンガポールに移送する予定もないという。ただ、シンガポール当局は、尋問のために警察を派遣するもようだ。
(2003年9月23日 NNA)
馬、星の埋め立て差し止め求める=国連海洋法廷での審理開始
マレーシアは25日、シンガポールでの海岸線埋め立て工事の全面差し止めを求めた国連海洋法裁判所(ITLOS)での審理の初日、シンガポールが進める工事がマレーシア領海内を侵犯する恐れがあると主張した。またマレーシアは、埋め立て工事が周辺の海の環境に多大な悪影響を与えていると主張した。マレーシアは、シンガポールの埋め立て問題を国際仲裁裁判所に持ち込む前に、マレーシアの権益を保護するために埋め立て工事の差し止めをITLOSに求めていた。
マレーシア政府の法律チームは同日の審理で、シンガポール南西部トゥアス海岸沖での埋め立て工事が、マレーシアが領有を主張する「ポイント20」と呼ばれる海域を侵犯していると主張した。マレーシアは1979年以来、同海域の領有を主張しており、シンガポール側と対立している。またマレーシアは、シンガポール北東部のテコン島周辺海域で進められる工事が、マレーシアの海岸での大量の土砂蓄積につながるなど周辺の海洋および沿岸の環境に打撃を与えていると専門家の調査結果を指摘した。
同問題でシンガポール側の交渉団を率いるのはトミー・コー無任所大使。シンガポールは26日の審理で、マレーシアの主張に対する反論を提示する。
(2003年9月26日 時事速報シンガポール)
シンガポールとマレーシアの海軍が23〜29日にかけてマラッカ海峡で合同軍事演習を行っている。今年で15回目を迎える今回の合同演習はマレーシア側が主催した。両軍から計7隻の軍艦が参加するほか、マレーシアの海上保安隊や戦闘機などが加わっている。シンガポールの国防省は、「合同演習は、両国軍の共同軍事活動を向上させる良い機会」との見解を示している。
(2003年9月26日 NNA)
馬、星のテコン島埋め立てに懸念示す=国際海洋法廷の審理最終日
マレーシアは27日、シンガポールでの海岸線埋め立て工事の全面差し止めを求めた国連海洋法裁判所(ITLOS)での3日間にわたった審理の最終日、これまでの主張を一部覆し、同国が最も懸念しているのはシンガポール北東部テコン島周辺海域の埋め立て工事だと主張した。マレーシアは25日の審理初日には、テコン島に加え、シンガポール南西部トゥアス海岸沖での埋め立て工事が、周辺の環境に深刻な影響を与えているのに加え、マレーシアの領海を侵犯していると主張していたが、27日の審理最終日ではトゥアスでの埋め立て工事については触れなかった。マレーシアは、シンガポールの埋め立て問題を国際仲裁裁判所に持ち込む前に、マレーシアの権益保護を理由に埋め立て工事の差し止めをITLOSに求めている。マレーシアは27日の審理では、テコン島周辺海域の「エリアD」と呼ばれる海域での埋め立て工事を最低でも、埋め立て工事の是非を判断する国際仲裁裁判所での判断が下されるまで一時中止するよう求めた。一方、シンガポール側の法律団を率いるトミー・コー無任所大使は、シンガポールが今後も埋め立て工事を継続する方針を強調した上で、マレーシアがエリアDでの工事のみを懸念するのであれば、1年以内に終了予定の両国の環境共同調査が終わるまではシンガポールとしては「取り返しのつかない行動」は取らないと言明した。ITLOSは10月8日に、埋め立て工事差し止めに関する判断を下す予定。
(2003年9月29日 時事速報シンガポール)
政府がトコン島などでの埋め立て工事を継続していることについてマレーシア政府は、近く強硬に抗議することを検討している。同国のマハティール首相が5日に明らかにした。国際海洋法裁判所(ITLOS)は現在、マレーシアが提出した埋め立て中止の申し立てを審理中。マレーシアのマレー語紙ブリタ・ハリアンはこのほど、「シンガポールはITLOSの裁定が出ていないにもかかわらず工事を続行中」と報じた。
マハティール首相は「シンガポールは埋め立て中止命令が出た場合に、その時点で工事を中止する考えのようだ」と不快感を表明している。ITLOSの裁定は8日に出る見込みだ。一方、マレーシアのサイドハミド外相は「裁定前に工事を止めるすべはない」とコメントした。
(2003年10月7日 NNA)
前途多難な安保共同体=崇高な理念の前に戦火の現実−ASEAN
東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が7日打ち出した「安保共同体」創設構想は、新たな地域機構への脱皮を目指すASEANの将来像の骨格を成すものだ。その背景には、2年前の米同時テロを契機に激変した国際秩序や安全保障体制への対応に加え、民主主義や人権といった「大国的価値観」に基づく域外からの介入を阻止する思惑もある。
しかしその実現には、「全会一致」「内政不干渉」というASEANの2大原則や、域内各国が抱える問題が大きな壁として立ちはだかり、構想が単なる画餅(がべい)に終わる恐れもある。
「ASEANの問題を、なぜ自分たちで解決できないのか。これが出発点だ」−。議長国インドネシアの外務省高官は「安保共同体」提議の発想をこう説明する。
◇続発するテロに無力
ASEANは1967年、反共への結束を原点に発足し、冷戦終結を経て99年のカンボジア加盟で10カ国体制が成立した。しかし、拘束力のない緩やかな枠組みのため、域内の問題の解決に手間取り、国際社会から「無力なASEAN」とみられ、近年は批判や介入の強化を招いている。
99年の東ティモール独立問題でインドネシアは国際社会から非難の集中砲火を浴びたほか、ミャンマーの民主化問題や域内で続発する爆弾テロに有効な対応策を打ち出せていないのが実情だ。
◇平和維持軍創設も視野
このため、安保共同体構想が目指すのは、域内紛争の平和的解決や反テロ、国際犯罪への共同対応など、ASEAN独力による問題処理機能の強化だ。構想を主導してきたインドネシアの外交筋は、「将来のASEAN平和維持軍創設も視野に入れている」と並々ならぬ意欲を示す。
しかし域内を見渡すと、フィリピン政府とイスラム過激組織モロ・イスラム解放戦線(MILF)の衝突や、インドネシア・ナングロアチェ州独立をめぐる独立派ゲリラの紛争など、戦火が絶えない現実がある。
2020年の完成を目指す安保共同体の崇高な理念の結実には、ASEANが乗り越えなければならないハードルは、高く幾重にもある。
(2003年10月8日 時事速報シンガポール)
サバ東海岸に特殊部隊派遣=誘拐捜査を支援−マレーシア
マレーシアのナジブ国防相は7日、ボルネオ島サバ州の「ボルネオ・パラダイス・リゾート」で誘拐事件が発生したことを踏まえ、新たに特殊部隊と歩兵大隊を同州東海岸に展開したことを明らかにした。捜査支援を拡大することが目的。国営ベルナマ通信が伝えた。
5日午後10時半ごろ、海賊と見られる10人の武装集団が快速艇でこのリゾートを急襲し、インドネシア人とフィリピン人の従業員各3人の計6人を誘拐した。警察は国軍などの協力で海と空から捜査を継続しているが、7日午後時点では新たな発見はないもよう。またAFP通信によると、犯人からの接触もないという。
ボルネオ島周辺では、シパダン島で2000年4月にフィリピンのイスラム過激派「アブサヤフ」による誘拐事件が発生。同年9月にもアブサヤフの犯行と見られる事件がパンダナン島で起きている。しかしノリアン・メイ警察長官は6日、今回の事件について、「この地域の海賊」の身代金目当ての犯行との見方を示し、アブサヤフによる犯行との見方を否定した。ただフィリピン南部の軍幹部は7日、「(アブサヤフのメンバーが犯人である)可能性を否定することもできない」と述べた。
(2003年10月8日 時事速報シンガポール)
サバ州ラハッドダトゥのリゾート施設で5日に起きた外国人労働者拉致事件を調査するため、フィリピンとインドネシアの外交関係者が12日に現地入りした。この事件ではフィリピン人3人とインドネシア人3人が被害に遭っている。
拉致現場となった「ボルネオ・パラダイス・エコリゾート」に到着したのは在マレーシア・フィリピン大使館の入国事務担当官と在マレーシア・インドネシア大使館の上級連絡官。2人の担当官は警察幹部に伴われて現地を視察した。
サバ州警察のラムリ長官は「捜査は継続中だが、現在のところ進展はない」としている。
(2003年10月14日 NNA)
シンガポールの国土拡大、当面容認−海洋法裁が差し止め請求退ける
国連海洋法裁判所(ITLOS)は8日、シンガポールの海岸線埋め立て工事に対するマレーシアの差し止め請求を退けた。国土の狭いシンガポールは埋め立てによって新たな開発用地を確保してきたが、隣国のマレーシアが工事による環境などへの悪影響を理由に工事に反対。国際仲裁裁判の手続きを進めるとともに、正式な裁定が出るまでの間の工事差し止めをITLOSに要請していた。
ITLOSは「マレーシアの権利を侵害する形や、環境に深刻な悪影響を及ぼす手法での埋め立ての回避」をシンガポールに求めるにとどまり、工事差し止め命令は出さなかった。しかし、埋め立てが環境に悪影響を及ぼす可能性は排除できないとも指摘しており、今後シンガポール側は工事を進めるに当たり慎重な対応を求められることになりそうだ。ITLOSはまた、両国に対し、独立した専門家委員会を設け、1年以内に埋め立ての影響に関する調査を実施するよう求めた。
マレーシアは、シンガポールの埋め立て工事によって、両国間を隔てるジョホール水道の環境が悪化しており、漁業や船舶航行にも悪影響が出ていると主張していた。1960年代には約580平方キロだったシンガポールの国土面積は、すでに680平方キロ以上に拡大しており、埋め立てで100平方キロの国土を作り出したことになる。同国は現在もジョホール水道両端に位置するテコン島とトゥアスで大規模な埋め立て工事を進めており、日本の建設会社も工事に参加している。
(2003年10月9日 時事速報シンガポール)
ノリアン・マイ警察長官は8日、サバ州ラハッドダトゥ付近のリゾート地で外国人6人を拉致した犯人グループが、まだ国内にいるとの見方を示した。事件現場を視察したノリアン長官は記者会見で、犯人グループにはマレーシア人と外国人の両方がいる可能性があるとの見方を表明。フィリピンの過激派組織が関与しているかどうかについてはコメントを拒否した。また、警察は脱出した警備員1人を保護しており、捜査への協力を求めるという。モハマド・シャフィー副国防相は同日、アブサヤフなどフィリピンの組織は事件に関係していないとのコメントを出している。
(2003年10月9日 NNA)
シンガポールは海岸線埋め立て工事を中止すべき=マレーシア首相
マレーシアのマハティール首相は8日夜、国連海洋法裁判所(ITLOS)で同日、シンガポールの海岸線埋め立て工事に対するマレーシアの差し止め請求が退けられたことについて、周辺の環境悪化を食い止めるためにもシンガポールは埋め立て工事を中止するべきだとする同国の姿勢を改めて強調した。マレーシアは、埋め立て工事が環境などに影響を与えているとして、国際仲裁裁判で同問題の解決を図る手続きを進めているが、同裁判の裁定がでるまでの間、工事差し止めをITLOSに求めていた。
同首相は、シンガポールが埋め立て工事を続行すれば、周辺環境へのダメージが取り返しのつかないものになる恐れがあると述べ、仲裁裁判の裁定が出るまでは工事を当面中止するべきだと主張した。ITLOSは同日、マレーシアの工事差し止め請求を退けたものの、「マレーシアの権利を侵害する形や、環境に深刻な悪影響を及ぼす手法での埋め立ての回避」をシンガポールに求め、両国に工事が周辺環境に与える影響を調べるための独立した専門家委員会を設置するよう命じた。
(2003年10月9日 時事速報シンガポール)
国際海洋法裁判所(ITLOS)がシンガポールの埋め立て継続を条件付きながら認めたことに対し、アブドラ副首相は9日、受け入れる見解を示した。
副首相はITLOS裁定が、「マレーシアの権益に損害を及ぼさないこと」など埋め立て継続に条件を付けたことにより、シンガポール側も制約を受けると指摘。埋め立てを監視する専門家チームを早急に外務省内に設置するとした。
サイドハミド外相も、付帯条件によりシンガポールはマレーシアを無視して埋め立てを続けられなくなったとコメント。裁定はマレーシアの勝利との認識を示し、シンガポールに裁定順守を求めた。
(2003年10月13日 NNA)
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