海上の警備対策を海運業界に徹底へ−テロ対策強化で=MPA
シンガポール海事港湾庁(MPA)は22日、今年5月に続き2回目の海上警備に関するセミナーを開催し、来年7月1日から実施される国際海事機関(IMO)の定める警備対策について、海運業界全体に順守を呼びかけた。
IMOは2002年12月、01年9月の米同時テロ事件を受けた船舶のテロ対策を定め、国際船舶に対し、警報装置の搭載や船舶識別番号の船体への表示などを義務付けたほか、加盟各国に船舶と港湾施設の安全確保を任務とする政府機関の設置を義務付けていた。MPAは船舶管理、港湾施設を統括する機関として、沿岸警察(PCG)、シンガポール海軍と協力し、セミナーや研修などを通じて、海運会社や港湾施設などを含む海運業界全体にIMOの定めたテロ対策の導入を徹底していく考えだ。
(2003年10月23日 時事速報シンガポ―ル)
シンガポール海事港湾庁(MPA)は22日、国連機関の国際海事機関(IMO)が採択した、国際的な港湾保安の枠組み「船舶・港湾国際保安コード(ISPSコード)」が来年7月から施行されることに伴い、シンガポール船籍の船舶と国内港湾施設に対し、来年4月までに同コードを順守するよう求めた。
施行期日を前倒しで設定することで、MPAは4〜7月にかけて順守の有無の確認作業を行う。MPAは安全基準の確認について、8団体に船舶、7団体に港湾施設の調査にあたる権限を付与した。
ISPSコードでは、船舶自動識別装置(AIS)の装備や、船舶識別番号の表示、保安計画の策定などが求められる。同コードを順守していない船舶は、国内に入港することができない。
(2003年10月27日 NNA)
マレーシアの海賊被害は減少=マラッカ海峡では増加−1−9月実績
ロンドンに本部を置く国際海事局(IMB)は、マレーシアに設置した海賊事件報告センターがまとめた今年1−9月の海賊被害などに関するリポートを発表した。それによると、マラッカ海峡を除くマレーシアでの事件は前年同期の9件から5件(未遂2件を含む)に減少した。
しかし、同国とインドネシアにはさまれたマラッカ海峡では、11件から24件(同16件)に増加。同海峡を除くインドネシアでは72件から87件(同26件)に増えており、この2地域で計111件となり、世界全体の約3分の1を占めた。
同海峡では8月9日、台湾の貨物船が武装した海賊に襲われれ1人が撃たれてけがをした。翌10日には、マレーシア船籍のタンカーを8人の海賊が襲い船長ら3人を誘拐。身代金10万米ドルを要求し、身代金と引き替えに3人を解放した。
これらの事件を踏まえマレーシア政府は、沿岸警備隊を来年末までに創設・配備する計画。同リポートによると、海軍のモハマド・アンワル・モハマド・ノル海軍長官は、「海軍から巡視艇16隻と人員数百人を出向させる」と述べた。ただ、同国にはすでに11の海事関連機関があり、その住み分けが不明瞭なため効率悪化を招いているという。
(2003年10月30日 時事速報シンガポール)
国際海事局(IMB)は1〜9月までの海賊による被害件数を発表し、このまま続けば環境破壊につながると警告した。世界中で発生した海賊事件は344件と前年同期比27%増加した。
死亡した船員は20人と、昨年の6人から大幅に増えた。地域別ではインドネシアが一番多く、80件以上を記録した。マラッカ海峡はバングラディッシュに次ぎ3位の24件だった。2002年の2倍以上だ。
液化石油ガス(LPG)タンカー、ガソリンタンカー、石油タンカーに向けて自動拳銃を発砲する例などもあり環境汚染も深刻化するとみられる。
最近はマラッカ海峡で、インドネシア・アチェの反乱軍による身代金目的の誘拐なども報告されている。分離独立を求める戦いの資金に充てるのが目的だ。同局のダイレクターは「政治的な動機を持つ海賊の場合、より大きなリスクを負う覚悟ができているため、非常に危険である」と話した。
(2003年10月30日 NNA)
国際海事局(IMB)は1〜9月までの海賊による被害件数を発表し、このまま続けば環境破壊につながると警告した。
世界中で発生した海賊事件は344件と前年同期比27%増加した。死亡した船員は20人と、昨年の6人から大幅に増えた。地域別ではインドネシアが一番多く、80件以上を記録した。マラッカ海峡はバングラディッシュに次ぎ3位の24件だった。2002年の2倍以上だ。液化石油ガス(LPG)タンカー、ガソリンタンカー、石油タンカーに向けて自動拳銃を発砲する例などもあり環境汚染も深刻化するとみられる。
香港船主連盟によると、これまでのところ香港船籍および香港企業が所有する船の被害はゼロ。しかし、海賊出没の中心が中国領海の東シナ海からインドネシア海域に移ったことに不安を強めている。中国当局が海賊行為を厳しく取り締まったのに対し、インドネシアでは事実上、放置状態にあるためだ。同連盟の幹部は「業界では対応しきれない深刻な問題だ。政府レベルでの取り組みが切に望まれる」と語っている。
(2003年10月30日 NNA)
香港の船舶オーナーらは現在、海賊事件の増加に頭を痛めている。国際海事機構(IMO)の海賊監視センターがこのほどまとめた統計によると、今年1〜9月に報告された事件は世界全体で海賊による船舶襲撃事件が344件となり、前年同期に比べ27%増加。うち87件がインドネシア海域で発生しており、地元当局による取り締まり強化を求める声が高まっている。
同期の海賊事件に伴う船員の死者は20人。昨年通年の6人と比べ急増している。うちインドネシア、フィリピン海域だけで計11人が犠牲となった。一方、今年に逮捕された海賊容疑者は2〜3人にすぎない。
香港船主連盟によると、これまでのところ香港船籍および香港企業が所有する船の被害はゼロ。しかし、海賊出没の中心が中国領海の東シナ海からインドネシア海域に移ったことに不安を強めている。中国当局が海賊行為を厳しく取り締まったのに対し、インドネシアでは事実上、放置状態にあるためだ。同連盟の幹部は「業界では対応しきれない深刻な問題だ。政府レベルでの取り組みが切に望まれる」と語っている。
(2003年10月31日 NNA)
マ海峡での海賊事件増加で対策を呼び掛ける回覧書=シンガポール海事港湾庁
シンガポール海事港湾庁(MPA)はこのほど、マラッカ海峡とシンガポール海峡を航行する船舶への海賊事件が増加しているのを受け、船会社に海賊対策を呼び掛ける回覧書を発行した。
国際海事局(IMB)によると、今年1−9月に世界の海上で発生した海賊襲撃事件は史上最高の344件と、前年同期と比較して27%も増加した。中でもインドネシア領海内で発生した襲撃事件が、これまでに引き続き最も多かった。MPAは最新の回覧書の中で、海賊の襲撃を受けた船舶が近くの救助調整センター(RCC)に救難信号を発信しても、船に乗り込んだ海賊によってその信号が傍受される恐れがあると警告した。またMPAは、船会社に対し、船舶に海賊侵入アラームや監視カメラなどの対策装置を整備するよう求めた。業界関係者によると、海賊襲撃事件は沈静化しつつあるものの、海賊に襲撃されても海賊の仕返しや、運航スケジュールの遅れを気にして事件を報告しない船会社も多いため、実際の海賊事件はIMBの統計よりも大幅に多いと指摘している。
(2003年11月4日 時事速報シンガポール)
シンガポール海峡近くでタンカーを海賊が襲撃=1時間近く無人航行
シンガポール海峡近くのインドネシアのビンタン島沖で2日早朝、インド船籍の石油タンカー「ジャグ・プラナム号」が銃で武装した海賊に襲撃され、航海士を含む全乗組員が縛り上げられたことから、金品などの略奪が終わるまでの約1時間にわたり、同船が操縦されることなく海を漂うという事態が発生した。多くの船が行き交う同海峡付近でタンカーが無人状態で航行する事件が発生したことで、今後同様の事件が発生した場合に衝突事故など大惨事が起こる可能性が懸念されている。
国際海事局(IMB)は最近、マラッカ海峡での武装した海賊による襲撃事件の増加を受けて、周辺の環境に壊滅的な打撃を与える事故が発生する可能性を警告したばかり。IMB幹部は、海賊が船舶の操舵室を無人状態としたのは今回が初めてと述べ、シンガポール海峡で同事件が発生していたら最悪の事態となっていたと指摘した。
(2003年11月5日 時事速報シンガポール)
国際海事局(IMB)がまとめた先週末までの海賊事件は今月に入って6件ですべてインドネシア海域で発生している。海賊が乗組員を縛るなどしている間に操舵室が無人となる場合もあり、IMBは事件の発生が続けば他の船舶への衝突の可能性があり、大災害になり得るとしている。
6件のうち、ビンタン島沖で2日午前4時に起きたタンカーの海賊事件では、犯人は銃で武装しており、現金や乗組員の私物などを奪っている。また、3日に貨物船が襲われた事件では船長が刃物で切りつけられ負傷している。
IMBは、ビンタン島東側と周辺のジュマジャ、アナバス両島付近を航行する船舶に警戒を呼びかけている。IMBの発表によると1〜9月に世界で発生した海賊事件は344件、そのうち87件がインドネシア海域で起こり最多となっている。
(2003年11月7日 NNA)
マラッカ海峡での海賊行為取り締まりのために設置される情報センターの誘致にマレーシアが名乗りを上げた。サイドハミド外相がマレーシアを訪問した川口順子外相との会談後の会見で明らかにした。
12日付スターによると、サイドハミド外相は「マレーシアはマラッカ海峡に面しており、設置場所として最適」との認識を示した。情報センターはマラッカ海峡での海賊に関する情報交換や監視活動などを行う。国際海事局(IMB)が先月発表した今年1〜9月の同海峡の海賊被害件数は24件と、前年同期から2倍以上に増えている。マレーシアのほかにシンガポール、インドネシア、韓国が誘致に関心を示している。
(2003年11月13日 NNA)
テオ・チーヒエン国防相は11日、国際海事防衛展(IMDEX)アジア2003でスピーチし、近隣諸国に海上治安の強化を呼び掛けた。
東南アジア諸国連合(ASEAN)やアジア太平洋経済協力会議(APEC)のもと、海上治安協力は行われているが、同相は「多国籍主導のものだけでなく、域内レベルや近隣諸国内での二国間協力も必要である」と述べた。また「既存の二国間の枠組みを強化し、統合することで対策強化を始められる。例えば海賊対策の枠組みなどは効果的なことが分かっている」と協力を呼び掛けた。
海賊問題は、より凶悪化した海賊被害が増加しており、国際海事局(IMB)が発表した1〜9月の被害件数は、世界で344件、うちインドネシアは87件を記録した。マラッカ海峡での被害も昨年の2倍以上となっている。同相によると、シンガポールはすでに航路の変更や、監視船を配置するなどの対策を取っているという。
(2003年11月13日 NNA)
海賊対策センターの設置と資金拠出を提案=シンガポール国防相
シンガポールのテオ・チーヒエン国防相は12日、海軍産業の展示会の開催式で、同国が海賊対策情報センターの誘致と、同センターへの資金拠出に意欲を示していることを重ねて表明した。アジア海賊対策情報センターは、海賊対策においてアジア16カ国の情報供給と協力体制の強化を目指すアジア海賊対策地域協力協定の一環として、設置が計画されている。
同国防相は、同国を取り巻く近隣の海上での海賊襲撃事件が増加し、凶悪化していることを指摘し、沿岸諸国が今後も引き続き国際諸国とも協力を得た上で、強力な対策を取る必要を強調した。また同国防相は、テロリストが海賊の手口を真似て、石油タンカーや化学品を積んだ船舶などにテロをしかけた場合には、周囲に壊滅的な被害を与える可能性を指摘した。
(2003年11月14日 時事速報シンガポール)
海上での最大の脅威は海賊とテロリストによる共同テロ=シンガポール副首相
フランスを訪問中のシンガポールのトニー・タン副首相兼首相府調整相(安全保障・国防担当)は13日、海上における最大の脅威が、テロリストが海賊と組んで、洋上の船舶をハイジャックし、港に衝突させることだと指摘した。同副首相は、そうした事件がマラッカ海峡で発生した場合には、世界の貿易に大きなダメージを与えるだけでなく、船舶業界への保険料が高騰する事態となると警告した。
今年1−9月には、世界で344件の海賊襲撃事件が報告され、前年同期と比較して27%も増加した。同副首相は、こうした海賊事件に対処するためにはマラッカ海峡の沿岸諸国だけでなく、すべての国々の協力体制が必要だと主張した。同副首相は、マラッカ海峡を世界の石油の半分以上が通過することからも、同海峡で大規模な事件が発生すれば、世界の貿易に多大な損害を与えると述べた。
(2003年11月14日 時事速報シンガポール)
海賊取り締まりで協定=来月の首脳会議、締結合意へ−日・ASEAN
日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)が12月に東京で開く特別首脳会議で、東南アジア周辺海域での海賊取り締まりを目的とした協力協定の締結で基本合意することが18日、明らかになった。海賊対策での相互協力などを通じ、アジア地域の信頼醸成に弾みをつける狙いもあり、首脳会議で採択する「共同行動計画」に同協定の締結が盛り込まれる。
同海域での海賊事件は近年、武装集団による船舶乗っ取りなど凶悪化が進み、地域経済発展の深刻な阻害要因となっている。このため、小泉純一郎首相が2001年11月のブルネイでのASEANプラス日中韓3カ国首脳会議の際、協定締結を提唱。関係国間で具体化への検討が進められていた。
これまでに固まった協定の概要によると、海賊情報の収集拠点として域内に「情報共有センター」を新設。同センターと各国の海上警備機関とをインターネットによる通信網で結び、事件の予防や取り締まり、救難活動のための情報交換を行う。国家間の捜査協力は、外交ルートを通すため時間がかかるのが難点だが、通信網の構築で締約国は直接、海賊船の拿捕(だほ)などの協力を要請することが可能になる。
同協定には日本とASEAN諸国のほか、中国、韓国、インドなど計16カ国が参加する見通し。日本政府は来年中の締結、発効を目指している。
(2003年11月19日 時事速報シンガポール)
反テロや海賊対策で安保協力=人材育成や技術支援中心・日ASEAN行動計画案
日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)は、東京で来月開催される特別首脳会議で「日・ASEAN行動計画」を採択し、反テロや海賊対策などで、人材育成や治安関係者の交流、技術支援などを柱とした安保協力を打ち出す。
「行動計画」は、同首脳会議で採択する「東京宣言」を具体化したもの。時事通信が入手した行動計画案によれば、日本は反テロに関与するASEAN加盟国の入管職員や治安当局者の能力開発を支援。密出入国や麻薬など広域犯罪の取り締まりのほか、海賊対策などで協力関係を強化する。
日本は当初、インドネシアのアチェ独立問題など域内の紛争解決に積極関与することを文書に明記するよう求めたが、ASEAN側が「内政干渉に当たる」として拒否。行動計画案では「問題の平和解決に向けて、2国間およびASEAN地域フォーラムなどを通して働き掛けていく」との表現にとどまった。
ただし、この中で、政治・安保分野の協力の具体策を検討する日・ASEAN当局者による研究部会の立ち上げなどが盛り込まれており、将来の協力拡大を目指す姿勢も打ち出されている。
このほか、行動計画案では、感染症対策やASEAN留学生の受け入れなど広範囲な連携強化策がうたわれている。
(2003年11月26日 時事速報シンガポール)
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