日本財団 図書館


マラッカ海峡にヨット用の安全航路―マレーシア
 マレーシア政府は、マラッカ海峡でヨットやレジャーボートが安全に航行できるよう、沿岸海域に全長373海里(691キロ)の安全航路を設定する方針を固めた。レジャー用船舶の区別を容易にするとともに、沿岸警備当局が海賊行為などに迅速に対応できるようにする。
 安全航路はランカウイ島周辺からジョホール州沖に至る海域に設定される。当局は同海域を航行するレジャー用船舶に対し、精密な航路情報、波やうねりに関する情報などを提供する。
(2004年3月16日 時事速報シンガポール)
 
中国海運集団、クラン港に1日2回寄港へ―マレーシア
 中国海運集団は、マレーシアの主要港湾クラン港への寄港回数を現在の1日1回から2回に増便し、同港での貨物取扱量を現在の年間25万TEU(20フィート標準コンテナ換算)から今年は35万TEUに引き上げる考えだ。
 貨物船の新規導入に伴い、3本目の西回り欧州航路の運航を今年第4・四半期にも開始する。同社はまた、マレーシアでの事業拡大に向け、クアラルンプールに地域運営センターを設置する。
(2004年3月16日 時事速報シンガポール)
 
シンガポール海峡での遭難船、入港には一定の安全基準クリアを=ヨー運輸相
 シンガポールのヨー・チャウトン運輸相は22日、国際化学石油汚染会議・展示会で、シンガポール海峡で遭難した船舶が同国の管理海域に入港するには、一定の安全基準をクリアする必要があると指摘した。
 同運輸相は、遭難船が同国の管理海域に入港する際、(1)船舶からの汚染物質排出の有無(2)管理海域で沈没したり、崩壊したりしないよう船体の強度−の2点を最低限検査した上、入港を認めると述べた。海事港湾庁(MPA)幹部によると、国際海事機関(IMO)で現在、遭難船の扱いについて協議中だが、シンガポール港では、入港スペースが限られていることから、港の安全性を確保するため体系的なチェック体制を導入済みだという。
(2004年3月23日 時事速報シンガポール)
 
米太平洋軍司令官の下院軍事委員会証言
 東南アジアの統括が確立していない沿岸地域は、武器拡散、テロリズム、人・薬物の密輸、海賊等の越境的脅威にとって格好の開拓の場所である。(米)大統領によるPSIと(米)国務省によるマラッカ海峡イニシアチブは、これらの脅威に対する国際協力を促進することを目的としている。
 地域海上治安イニシアチブ(RMSI)は、米太平洋軍が上述のイニシアチブを具体化するための努力である。根本的に言って、海事界は、国際航空空間で描かれているような構図にマッチする認識を持つ必要がある。我々は、自己の非合法活動のために海上空間を使う脅威と戦うため、この地域の海軍との協力から始め、評価を行った後、各機関や各人にまたがる能力を形成し、統合する方針である。この点で勿論、他の政府機関も重要な役割をする必要がある。この考え方は、我々の友人と同盟国に受け入れられている。
 海事関係の置かれた状況に関する認識を上げるためには、既存及び開発中の技術を利用する必要がある。また、事態に適時に対応する決定過程と、決定がなされた場合に、直ちに派遣可能な遠征部隊も必要である。
 テロに対する戦いにおける長期的な努力は、民主制を強化することにより、統治を強化し、そもそもテロリストの活動を発生されるような問題に取り組むことに力点がある。Kの分野には、文官武官合同教育(civil-military education programs)や、とりわけ、戦域安全保障協力プログラムが含まれる。
(2004年3月31日 地域的海上治安イニシアチブ関連抄訳)
海賊・海上テロ
海賊がインドネシア海域で5隻の船舶を襲撃
 インドネシアのギャスパー海峡(インドネシア名:クラサ海峡)で過去1週間に5件の海賊事件が発生しており、IMBが警告を出している。
 海賊事件は3月25日以降ほぼ毎日発生しており、ナイフで武装した4名から6名の海賊が木造のモーターボートで、シンガポールからジャカルタまたはオーストラリアに向かう商船を標的にしている。
 IMB海賊情報センターのチュン所長は、ある事件では船長が暴行を受けており、海賊は凶暴で、全てのケースが同エリアで発生していることから同じグループによる犯行だと思われると述べた。
 
事件発生日時:2003年3月26日 0230
事件発生地点:南緯3度2.8分 東経107度18.5分
被害船名及び詳細:Laviathan号、ばら積み船、フィリピン船籍
状況:蛮刀で武装した海賊5名が航行中のL号に乗り込んだ。船橋にいた船長と一等航海士が暴行を受けた。海賊は彼らに甲板にうずくまるよう命令して、その間に船内を荒らした。乗組員の所持品、現金、船の備品を盗んで、30分後に海賊はL号から逃走した。
 
事件発生日時:2003年3月26日 2215
事件発生地点:南緯3度1分 北緯107度18分
被害船名及び詳細:Maratha Messenger号、ばら積み船、インド船籍
状況:オレンジ色のボートに乗った海賊が航行中のM号に乗り込もうとしたが、乗組員が回避行為をとったため、海賊は襲撃をあきらめた。
 
事件発生日時:2003年3月27日 1930
事件発生地点:南緯2度58分 東経106度59分
被害船名及び詳細:Resolution号、コンテナ船、バハマ船籍
状況:海賊6名がスピードボートでR号を追跡したが、乗組員が警報を鳴らし、海賊のボートにライトを当てたため、海賊は襲撃をあきらめた。
4. 事件発生日時:2003年3月28日 2125
事件発生地点:南緯2度55分 東経107度17分
被害船名及び詳細:Sinar Sunda号、コンテナ船、パナマ船籍
状況:航行中のS号船体後方左側から海賊が乗り込もうとしたが、乗組員が警報を鳴らし、ツイストロックを海賊に投げつけ、消防用ホースで海賊を撃退した。
 
事件発生日時:2003年3月31日 0510
事件発生地点:南緯3度 東経107度19分
被害船名及び詳細:Fas Samarang号、コンテナ船、キプロス船籍
状況:海賊は航行中のF号に木造スピードボートで接近。フックのついた縄を投げようとしている海賊を乗組員が発見した。警報を鳴らしたところ、海賊は逃走。
注)事件発生日時は全て現地時間。
(2003年4月2日 シッピングタイムズ・IMBデイリーレポート)
 
マレーシア、海賊対策センターの設置を願う
 マレーシアは同国への東南アジア地域海賊対策センターの設置を望んでおり、インドネシアに対し支持を求めた。現在東京で行われているアセアンと日本の対話(※)の中で、地域の保安及び海賊問題が話し合われる予定で、マレーシアはインドネシアの支持を取り付けしようとしている。
 マレーシアの外務大臣は「マレーシアのほかに海賊対策センター設置に立候補している国があるため、インドネシアの支持が必要。マレーシアは海事国家であり、非常に長い海岸線を持つことから候補地に相応しい。センターが設置されれば、南シナ海やマラッカ海峡の船舶の動きを効率的に監視できるようになる」とした。
 ある日本の海事筋の話によると、地域海賊対策センターの設置は日本外務省による取り組みだとのこと。一方、インドネシアは長年にわたって世界の海賊の温床になっている。
 ある情報では、マレーシアのほかに、シンガポールがセンター設置に名乗り出ているとのこと。
 現在海賊事件に関する情報を収集しているのは、マレーシア・クアラルンプールのIMB海賊情報センターのみである。同センターは地域だけでなく、世界の海賊事件を取り扱っており、日本による地域の取り組みとは異なる。
 IMB海賊情報センターのチュン所長によると、最近海賊の武装がエスカレートしている。また、インドネシアのクラサ海峡で7日間に7件の海賊事件が連続して発生いるほか、マラッカ海峡ではケミカルタンカーが自動小銃を持った海賊に襲われる事件が起っており、最近の事件では海賊がケミカルタンカーを1時間操縦した。ケミカルタンカーへの襲撃は、大規模な爆発や環境汚染のみならず、人口密集地域へのケミカル流出が懸念される。
(2003年4月9日 ロイズリスト)
※日本の外務省の主導で開催されているアジア海賊対策地域協力協定に関する会議を指すものと思われる。
 
地域海域で凶暴な海賊事件が増加
 インドネシア船籍の貨物船がマラッカ海峡で襲われ、乗組員3名が誘拐される。
事件発生日時:2003年4月8日 午後5時半
事件発生地点:マラッカ海峡北部
被害船名及び詳細:Trimanggada号、インドネシア船籍、貨物船
状況:T号がマラッカ海峡を航行していたところ、3隻の船に乗った約50名の海賊がT号の両側からM16自動小銃で連続して発砲した。発砲は船長が遭難信号を送るまで続いた。その後海賊はT号に乗り込み、船長、一等航海士、一等機関士を人質にとって、船の書類とVHF無線機とともに逃走した。三等航海士がインドネシア海軍に通報し、海軍はベラワンの停泊地までT号を護衛した。誘拐された3名の行方はわかっていない。
 この事件のほかにも、4月13日に銃と刀で武装した海賊がマラッカ海峡でタンカーを襲撃しようと試みたが未遂に終わった。4月11日には別の貨物船が同海峡を航行中海賊に襲撃され、強盗されている。
 T号の事件については、インドネシア警察と海軍が捜査を行っているが、誘拐された3名の行方はわかっていない。IMB(国際海事局)海賊情報センターのチュン所長は、海賊グループは通常10名から20名で行動しており、これほど大勢が関わるのは異常だと述べた。また、乗組員が誘拐された点も含め、ソマリア海域でみられる事件に手口が似ていると同所長は述べている。
(2003年4月22日 シッピング・タイムズ)
 
シンガポール海事港湾庁 夜間の航行規制を解除
 海事港湾庁(MPA)は25日、夜間航行の禁止など商業船舶に対する航行規制を解除した。しかし自家用船舶に対する監視は引き続き継続する。28日付シッピング・タイムズが報じた。
 解除されたのは、◇自家用船、ガス・化学品輸送船の夜間航行禁止、◇タンカー停泊地へのタンカー以外の船舶の進入禁止、◇引き船行為に関する事前届け出の義務付け―――の3点で、イラクに対する米英の開戦を受け保安上の理由から3月20日に施行していた。
 化学品、ガス、石油を積載した船舶はテロリストの武器として利用される恐れがあるためで、夜間航行の禁止はテロ関連物資の密輸阻止が狙い。
 自家用船、ヨットについては、所有者、代理店、船長に、目的地、出港・帰港時刻、予定航路を出港前に届け出るよう義務付けた措置を継続する。
 これまでタンカー停泊地には、許可を得た船舶燃料供給船だけが進入を認められていた。
(2003年4月29日 NNA)
 
今年第一四半期に発生した海賊事件、過去最多
 国際海事局(IMB)の海賊報告書(第一四半期)が発表された。今年1月から3月までに全世界で発生した海賊事件は103件に上った。(昨年は87件)第一四半期に発生した海賊事件が100件を超えたのは、IMB(国際海事局)が10年以上前に海賊事件の統計を開始して以来、初めてのこと。
 引き続きインドネシア海域での事件が最多で、28件。後に、バングラディッシュ、インド、ナイジェリアが各9件と続く。
 しかし、今年2月にインドと中国で海賊に有罪判決が下されたことは、大きな躍進であったとIMBのムクンダン局長は評価した。
 イエメン沖でタンカー「リンバーグ号」がテロ攻撃に遭って以来、海運業界は独自にテロ対策を進めているとIMBは述べた。また、日本が石油の供給を確保するため、中東・日本間を行き来するタンカーの護衛を計画していると伝えられていることにも触れた。
 一方マレーシアは、イラク戦争開始後、マラッカ海峡でのパトロールを強化したとIMBは述べた。マラッカ海峡は、経済的重要性、船舶通航量、操船の制限の面から商船に対するテロのターゲットになる可能性が高いとIMBはしている。
(2003年5月2日 シッピング・タイムズ)
 
IMOが定める新テロ対策、既存の政府機関が担当へ
 シンガポール海事港湾庁(MPA)の幹部は5日、同庁主催の海上の警備強化に関するセミナーで、来年7月1日に発効する国際海事機関(IMO)の海上人命安全条約(SOLAS)の改正条項の管轄当局として、既存の政府機関を指名する考えを示した。IMOは昨年12月、2001年9月の米同時テロ事件を受けた船舶のテロ対策としてSOLASを改正し、加盟各国に船舶と港湾施設の安全確保を任務とする政府機関の設置を義務付けた。MPAは、どの機関がこの任務を担当するか明らかにしなかったが、MPAなど既存の政府組織内の機関に警察や海軍、税関、入管担当省庁の代表が加わる形になるとみられている。
 SOLASの改正条項は、国際船舶に対し、警報装置の搭載や船舶識別番号の船体への表示などを義務付けている。
(2003年5月6日 時事速報シンガポール)
 
東マレーシアでLPG運搬船が海賊に2時間半尾行される
事件発生日時:2003年5月5日(月)午後10時頃
事件発生地点:東マレーシア サラワク・ビントゥル港沖
北緯3度37.34分 東経111度4.81分
被害船の詳細:LPG運搬船、Apollo Pacific号、シンガポール船籍
Odyssey Maritime(拠点:シンガポール)所有
状況:A号がシンガポールから東マレーシアのビントゥル港に向かって航行していたところ、約2時間半にわたって母船1隻、小型ボート7隻に尾行された。A号船長によると、小型ボートは14ノット以上の速度で様々な角度からA号に接近したとのこと。その間、母船は背後で不審な行動をとっていた。サーチライトを向けて、航行速度を上げたところ、不審船及びボートは逃走した。
 
インドネシア海域2ヶ所に航行警告
 国際海事局(IMB)は、5月7日付けデイリーレポートで、インドネシア海域の2ヶ所について航行警告を出した。警告が出された海域は以下のとおり。
インドネシア アンバス島付近 北緯1〜3度、東経105〜106度
インドネシア ギャスパー海峡(インドネシア名:クラサ海峡)南緯3度 東経107度
(2003年5月8日シッピングタイムズ、7・8日IMBデイリーレポート)
 
IMB 海賊事件が一週間で21件発生
 IMB(国際海事局)によると、4月28日から5月5日の一週間に全世界で21件の海賊事件が発生した。これは過去最多で、通常の3倍に上る。東南アジアとインドネシア海域が、最も事件の多い海域になっている。
 IMB海賊情報センターのチュン所長は、これが1回限りの動向であるのかまだ断定できないと述べ、今後数週間状況を監視していくと述べた。IMBは、インドネシア当局に対し、クラサ海峡、アンバス島、マラッカ海峡の3つの海域で海賊事件が多発していると警告を出した。その後、これらの海域で事件は報告されていないが、過去2日間には全世界で4件の海賊事件が発生し、そのうち2件はシンガポールに近いインドネシアのビンタン島沖で起こっている。
 4月28日に発生した2件の海賊事件の詳細は以下の通り。
事件発生地点:インドネシア クラサ海峡
被害船:コンテナ船
状況:ナイフで武装した海賊がスピードボートで接近し、コンテナ船を襲撃。船橋に侵入し、船長、当直の航海士のほか乗組員1名を縛った。その後海賊は船長室に押し入り、現金や船長の私物を奪った。
事件発生地点:マラッカ海峡
被害船:タンカー
状況:タンカーがマラッカ海峡北部入口付近を航行していたところ、スピードボートに乗った海賊がタンカーに乗り込もうとした。海賊に気がついた乗組員が火災用ホースで海賊に対抗したところ、海賊は逃走した。
 今年1月から3月に発生した海賊事件は103件、昨年同時期の87件を大きく上回る。
(2003年5月12日 マリタイムアジア)


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION