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シンガポール:マ・シ海峡の利用国の資金負担を支持
 資金の拠出方法が、海峡利用国と沿岸3ヵ国に合意されるかについては、暗礁に乗り上げている。
 シンガポールは、マラッカ・シンガポール海峡の航行安全確保のために、海峡利用国が協力する考えを支持している一方、資金拠出のメカ二ズムの創設については、いまだ多くの障害に直面している。
 海峡の航行安全を確保するための利用者負担についての現行の問題が、最近になって2つの有力関係者からの国際的な負担問題についての要請によって、再び、議論の焦点となっている。それらは、海峡の安全確保に資金を拠出している日本財団とマレーシアの海事局である。それぞれ、両海峡利用国に対して、安全確保のための資金負担の要請を呼び掛けている。
 シッピング・タイムズからの海峡の航行安全を確保するために、海峡利用国が協力する考えを支持するかどうかの質問に対して、シンガポール海事港湾庁(MPA)は電子メールで、次のように答えた。「シンガポールとしては、海峡の航行安全確保のための資金拠出のメカニズムについて、国際的なコンセンサスが確立されれば、同メカニズムに貢献する用意がある。」
 しかし、どのような資金拠出メカニズムも、包括的で公平であり、国連海洋法条約へ適合し、国際海事機関が関わるべきものと限定している。
 MPAが続けて言うには、「マラッカ・シンガポール海峡は、国連海洋法条約に定める国際航行に使用されている海峡であり、資金拠出のメカニズムの検討に際しては、海峡利用国と国際海事機関が関わった包括的かつ協議を通じてのアプローチが採用されるべきである。」
 シンガポールの無任所大使トミー・コーとシンガポール国立大学法学部准教授ロバート・ベックマンは、両海峡の利用国の資金負担問題については、過去5年間にわたって、多くの研究と議論がされてきていると述べた。2人の話によると、シンガポールで1996年と1999年に開催された国際会議では、はじめに沿岸3ヵ国と海峡利用国が安全確保のコストを分担する必要があるとの認識で一致したものの、その後の話し合いでは、国連海洋法条約43条をどうやって実行するかについて、コンセンサスが得られなかった。
 また、両海峡の「利用国」の定義や、コスト負担を自主的なものとするか、義務とするかなどをめぐり、合意が行き詰まっている状態が続いている。
 TTEG(三国技術専門家グループ)は、どのような形の協力も、安全確保のためのコストの分担も、コストの回収や両海峡の利用国による自主的な寄付に基づくべきであるという合意に達しており、少なくとも解決にむけて、一歩前進している。
 MPAの話によると、現在TTEGは、主要な海峡利用国や海峡利用者に対して、海峡の航行安全確保の努力をすることを広めるために、一連の周知会合を開催して働きかけている。
(2003年11月13日 シッピング・タイムズ)
 
海運業活性化に向け新大統領令を準備=インドネシア
 国内海運産業の活性化に向けて、政府は遅くとも年内に新たな大統領令を発布する方針。その大統領令案には、3年以内に政府国営企業の輸出貨物およびそのほかの輸出貨物はCIF/C&Fを条件に、輸入貨物はFOBを条件にすることが義務付けられる。さらに、これらの貨物運送にはインドネシアの海運会社の船を使うことが義務付けられる。
 この規則によって、これまで外国海運会社に流出していた年間110億〜120億ドルの外貨が節約されるほか、国内海運会社からの国家歳入が2兆ルピア増加するとみられる。
(2003年11月17日 時事速報シンガポール)
 
1−9月のシンガポール港の取扱量、前年同期比7.3%増=星海事港湾庁
 シンガポール海事港湾庁(MPA)の最新統計によると、今年1−9月の同国の港(ジュロン港を含む)のコンテナ取扱量が合計1360万TEU(20フィート標準コンテナ換算個数)と、前年同期比7.3%増加した。今年残り3カ月も順調に取扱量が推移すれば、今年通年の同国港の取扱量は、2000年に記録した史上最高の1709万TEUを突破する見通しだ。
 同国の港で、PSAコープが管理する港の1−9月のコンテナ取扱量は1338万TEU。一方、ジュロン港のコンテナ取扱量は22万TEUだった。PSAは、10月には同国内で158万TEUのコンテナを取り扱っており、前年同月比11.3%増を達成している。MPAの統計は、PSAの発表よりも1カ月遅れで発表されている。
(2003年11月21日 時事速報シンガポール)
 
国際海事機関が初のアジア事務所=比
 海運の監視に当たる国連機関である国際海事機関(IMO)は20日、アジア地域の公海で高まっている海賊やテロの脅威に対処するため、フィリピンの首都マニラにアジア初の事務所を開設した。同事務所は東南アジアのほか、日本、中国、韓国をカバーする。
 当局者によると、来年には南アジアを担当する事務所をインドに設置する予定という。
 アジア海域をめぐっては、最近、専門家の間から、ウサマ・ビンラディン氏率いるテロ組織アルカイダがアジアの重要な航路上で船へのテロを計画しているとの指摘がなされていた。
(2003年11月21日 時事速報シンガポール)
 
インドネシアで防災船を受注=約30億円で−トーメンと三井造船
 トーメンと三井造船は20日、インドネシア運輸省海運総局から防災船2隻を受注したと発表した。国際協力銀行による円借款プロジェクトで、受注金額は約30億円。
 これらの防災船は、タンカー事故の際に、油の拡散を防ぎ、回収する機能と、海上火災を消火する機能を備えている。1隻を日本で建造し、残る1隻は三井造船の指導で現地の造船所が担当する。契約発効から24カ月後までに納入する。
(2003年11月20日 時事速報シンガポール)
 
海運会社数社とターミナル株売却で交渉=港湾管理のPSA−シンガポール
 シンガポール政府系港湾管理会社PSAコープのスティーブン・リー会長は2日、同社が運営・管理する同国港のターミナルの権益取得に意欲を示す海運会社数社と交渉中であることを明らかにした。同会長は、海運会社との話し合いは初期の段階にあると指摘した。
 PSAは今年8月30日、中国政府系海運大手、中遠グループ(COSCO)傘下の投資会社COSCOパシフィックとの間で、シンガポール港のコンテナ・ターミナルの一部を運営する合弁会社「COSCO・PSAターミナル社」を設立することで暫定合意。両社は同日、同合弁会社の正式設立を発表した。PSAが国内港の運営で外国の海運会社と提携するのは今回が初めて。
 同合弁会社が運営するターミナルは、PSAのパシル・パンジャン・ターミナル内にある。同合弁会社の株式の51%はPSAが保有し、残りをCOSCOが保有する。リー会長は、上海郊外のヤンシャン島に開発中の港やその他の中国国内のプロジェクトで、COSCOと将来提携関係を結ぶことに前向きの姿勢を示した。一方、COSCOパシフィックの幹部も、さらなる提携関係の構築についてPSAと交渉中であることを認めたが、詳細については明らかにしなかった。
(2003年12月3日 時事速報シンガポール)
 
中国海運最大手COSCOとシンガポール政府系テマセク、提携関係を拡大へ
 中国政府系海運大手、中遠グループ(COSCO)のウェイ・チアフー社長はこのほどビジネス・タイムズ紙とのインタビューで、海運業界だけでなく、航空貨物など新たな分野においても、シンガポール政府系持ち株会社テマセク・ホールディングスとの長期的な提携関係を拡大する方針を明らかにした。同社長は、テマセクとの提携について、中国国内にとどまらず、世界全体を網羅することになると指摘した。COSCO傘下の投資会社COSCOパシフィックは3日、テマセク傘下の港湾管理会社PSAコープとのターミナル運営合弁会社「COSCO・PSAターミナル社」の正式設立を発表している。ウェイ社長は、COSCOパシフィックの会長を兼務する。
 ウェイ社長は、COSCOとPSAが、米国内のハブ港や地中海の港の管理で合弁会社を設立することも検討していると語り、PSAとは中国だけでなく、世界各地で積極的な提携関係を結びたいと意欲を示した。COSCOとPSAとの直近の共同プロジェクトは、上海郊外のヤンシャン港開発となる見通し。同社長は、PSAとの提携を通じて、港湾管理分野で世界第8位のCOSCOの地位を、4−5位に押し上げたいとの考えを示した。世界の港湾管理会社の規模では1位が香港のハチソン・ワンポア、2位がPSA。
 一方、航空貨物について同社長は、シンガポールの航空貨物部門の企業を中国および世界各地に誘致したいと述べ、それと同時に同社が「世界の航空貨物の主要なプレーヤーになりたい」と語った。
(2003年12月4日 時事速報シンガポール)
 
シンガポールでの貨物取り扱いを2倍に=中国海運大手COSCO
 中国政府系海運最大手、中遠グループ(COSCO)傘下のコンテナ船会社、COSCOコンテナ・ラインズのシュー・リロン社長はこのほど、シンガポールでのコンテナ取扱量を現在の年間約20万TEU(20フィート標準コンテナ換算個数)から、2006年には40万TEU以上へと2倍に増加させる計画を明らかにした。同じCOSCO傘下のCOSCOパシフィックは今年、シンガポール港のコンテナ・ターミナルの一部を運営する合弁会社を設立している。
 シュー社長は、シンガポール港により大型の船舶を寄港させるとともに、シンガポール経由した新しい欧州航路を導入する計画だと述べた。新しい航路は、香港、深セン、上海からシンガポールを経由して、ロッテルダム、ロンドン、ハンブルグを結ぶ予定。
(2003年12月4日 時事速報シンガポール)
 
1−10月のシンガポール港の取扱量、前年同月比7.8%増=海事港湾庁
 シンガポール海事港湾庁(MPA)の最新統計によると、今年1−10月のジュロン港を含む同国の港のコンテナ取扱量が、合計1520万TEU(20フィート標準コンテナ換算個数)となり、前年同期比7.8%増加した。10月の同国港の取扱量は162万9000TEUで、年内最高を記録した7月の取扱量に迫る水準を達成した。
 同国の港のうち、PSAコープが管理する港の1−10月のコンテナ取扱量は1496万TEUで、ジュロン港の取扱量は約24万TEUだった。10月に同国港を寄港した船舶数は、1万1502隻(タンカー1391隻、コンテナ船1363隻含む)と7カ月ぶりの高水準を記録した。
(2003年12月5日 時事速報シンガポール)
 
航行安全確保にMEH導入の必要高まる=マ海峡の混雑化で−IMO
 世界銀行や国際海事機関(IMO)の関係者は、混雑するシンガポール海峡およびマラッカ海峡の船舶の航行量が今後倍増する見通しであることから、IMOと両海峡沿岸国3カ国が進める海上電子ハイウエー(MEH)プロジェクトの導入の必要が高まっていると指摘している。
 IMOとシンガポール、マレーシア、インドネシアが推進するMEHプロジェクトは、電子海図などのシステムに、海流や潮流、天候などのリアルタイム情報を組み合わせるもので、船舶の衝突事故の回避などを目的としている。
 IMO海洋環境部門の関水(せきみず)局長はこのほどシッピング・タイムズ紙に対し、向こう20年間で両海峡の船舶航行量が2倍以上となることが見込まれるほか、船舶の規模が大きくなり、高速船の運航増加で、航行の安全確保には盤石な航行管理システムの導入が必要だと指摘した。
 来年9月には、MEHは両海峡内の通航分離方式(TSS)による約100キロの航路上で導入が部分的に開始される。これが成功すれば、両海峡沿岸3カ国の領海全体をカバーしたMEHが導入される計画で、長期的には世界各地の混雑する航路で導入されるものと期待されている。
(2003年12月24日 時事速報シンガポール)
 
03年のコンテナ取扱量が史上最高に=前年比7.8%増―シンガポール港
【シンガポール9日時事】シンガポール政府系港湾会社PSAコープは9日、同社が運営するシンガポール港での昨年のコンテナ取扱量が、前年比7.8%増の1810万TEU(20フィート標準コンテナ換算個数)に達し、史上最高を記録したと発表した。これまでの記録は2000年の1704万TEUだった。シンガポール港のコンテナ取扱量は、香港の港湾に次いで世界2位となっている。
 PSAはまた、取扱量の拡大傾向に対応して、新たに5つの大型バース(係船スペース)を設けることを明らかにした。PSAが保有するシンガポールのバースは現在37で、年間処理能力は2000万TEU。5つのバースの新設により、処理能力が20%、400万TEU分拡大するという。新バースの建設は段階的に進められ、最初の2つのバースが操業を開始するのは05年となる見込み。
(2003年1月12日 時事速報シンガポール)
 
インドネシア 自国籍船による主要物資の国内輸送を提案
 ジャカルタポストが伝えたところによると、インドネシア国家開発計画庁(バペナス)は海運総局に代わって、自国籍船による主要物資7品目(やし原油、肥料、米、ゴム、材木、石炭、油)の国内輸送を提案した。
 同紙によると、インドネシア海運のうち輸出入の96%、国内輸送の50%を外国籍船が担っている。
 国家開発庁からの提案は、JICA(日本国際協力機構)がインドネシア運輸省・通産省とともに進めている調査に基づき作成されたもの。この調査によると、インドネシアが国内のすべての海運を自国船で行う場合、4,600隻の船舶が必要になり、費用は2002年のインドネシア国内総生産(GDP)の8%に上る。
(2003年1月22日 シッピング・タイムズ)


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