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海洋ワークショップ、きょうから開催
 域内の海洋環境問題に取り組む「東南アジア地域特別敏感海域(PSSA)」のワークショップが、きょうから3日間の日程でマニラ市内のホテルで開催される。
 マラヤ紙によれば、参加国は、フィリピンをはじめブルネイ、カンボジア、中国、韓国、北朝鮮、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナムの11カ国。
 外務省傘下の海事・海洋センター(MOAC)のアルベルト・エンコミエンダ氏によれば、PSSAは、国際海事機構(IMO)の海事環境保護委員会が環境、社会経済、科学的な重要性を鑑み、域内での商業活動を禁じるなど保護対象とすべき海域として選定する。
 現在、特別海域に指定されてるのは、豪州のグレートバリアリーフなど世界で6カ所のみ。フィリピンで候補となっているのは、アポ・リーフ、トゥバタハ・リーフ、スルー海、バタネス海の4カ所とされる。
(2003年10月21日 NNA)
 
海事保安・船員政策など協力プロジェクト採択へ 日・アセアン交通大臣会合
 日本とASEAN(東南アジア諸国連合)10ヶ国は25日、「第一回 日・アセアン交通大臣会合」をミャンマー(ヤンゴン)で開催し、交通分野における日・アセアンの連携の基本枠組みと、交通分野の具体的な協力プロジェクトを決定する。海上交通セキュリティー協力や船員政策、日・アセアン物流ネットワーク協力などのプロジェクトが採択される予定。
 今会合で採択される予定の海上交通セキュリティー協力プロジェクトでは、来年7月に発効する海事保安対策の改正SOLAS(海上人命安全条約)に対応するための情報交換の場を設ける。途上国による改正SOLAS条約への対応が困難視されるなか、日本は改正SOLASに関するセミナーなどを開催して途上国の支援を行う方針。船員政策に関するプロジェクトでは、フィリピンなど世界的な船員供給国の多いアセアン諸国と海運国の日本との間で船員政策に関する情報交換の場を設置。アジアで船員政策に関する共通理解を形成し、国際海事機関(IMO)など国際会議の場に臨む体制を整えるのが目的。
 日・アセアン物流ネットワーク改善計画プロジェクトは、アジア域内での効率的な物流システムの構築を目指すもので、当面はアジア域内の物流効率化の阻害要因などを調査し、将来的に物流ネットワーク改善計画を策定する。
 大臣会合で採択される予定の協力プロジェクトにはそのほか、テクノ・スーパー・ライナー(TSL)、メガフロート(大型浮体式海洋構造物)の利用促進プロジェクトなどが候補に残っており、現在各国間で調整中。
 会合にはアセアン諸国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の交通大臣が参加。日本からは、国土交通省の鶴保政務官、中本大臣官房審議官らが出席する。
(2003年10月22日 日刊海事通信)
 
マラッカ海峡の利用国に資金負担要請へ=安全確保でマレーシアなど沿岸諸国
 マレーシア海事局のアハマド・オスマン副局長はこのほど、マラッカ海峡の利用国に同海峡の安全確保のための資金負担を求めるべきだとの考えを明らかにした。
 マラッカ海峡が事故で通航不能になった場合の対応に関して同副局長は「だれが復旧のための資金を負担するのか。沿岸国なのか、それとも利用国なのか」と指摘。その上で、「多くの先進国の船舶がマラッカ海峡を利用しており、これらの国が海峡の安全航行のために資金を拠出することがフェアな対応だ」と強調した。
 マラッカ海峡は、世界でも最も船舶通航量の多い海峡の1つで、毎日600前後の商業船舶が航行している。国連海洋法では、沿岸国と利用国の双方が合意に基づいて、海峡の安全確保、汚染防止などの面で協力すると定められている。
 しかし、現在はマレーシア、インドネシア、シンガポールの沿岸3カ国以外では、日本だけが日本財団を通じて資金を負担している。日本財団は過去35年間に1億米ドル以上を同海峡の安全確保のために拠出した。
 アハマド副局長は「海峡に灯台やブイを設置するなどの安全対策には費用と労力がかかる。日本以外の先進国からも支援が必要だ」と指摘。沿岸諸国が海峡利用国に対して複数の安全対策への資金協力を求めていることを明らかにした。
(2003年10月28日 時事速報シンガポール)
 
マレーシア マ・シ海峡の利用国に海峡利用料負担求める
 マレーシアは、シンガポール・マラッカ海峡の利用者負担制度に関する姿勢を明らかにした。マレーシア海事局のアーマド・オスマン副局長は、シンガポール・マラッカ海峡の航行安全を維持するために、海峡の利用国は、インドネシア、マレーシア、シンガポールの沿岸3ケ国を支援すべきであると述べた。
 少し前にも日本財団の長光常務理事が、同様のコメントを述べている。日本財団は、過去35年間に及んで、海峡内の灯台、航路標識、浮標を設置、整備するのに約2.3億シンガポールドルを寄付している。
 「我々は既に海峡内に最高の航行システムを設置する初期投資を負担したのだから、海峡の利用国は、少なくとも維持と運営に要する費用を負担するべきである。」とオスマン副局長は語った。
 ある情報筋によると、沿岸3ケ国は、「利用国へ資金負担の要請」について最終案をまとめられる段階にきており、国際海事機関(IMO)に提起する模様である。
 インタータンコ東南アジア支部マネージャーのジョン・フォーセット・エリス氏は、中東の航行援助サービスを引き合いに出した。その独立した、非営利団体がペルシャ湾での海峡利用料で運営される航行援助サービスを管理している。氏は、中東の航海サービスがマラッカ・シンガポール海峡での問題と似ていることを取り上げ、このような利用国の間で費用を分担するシステムは名案であり、インタータンコとしては、可能な限り最高の航行援助を受けたいのであると述べた。
 アセアン船主協会連合代表ダニエル・タン氏は次のように語った。「マラッカ海峡のような国際航路で海峡利用料を実施すると、他の船舶通航量の多い航路においても、類似した料金を実施することになりかねない。」
 海事弁護士のジュード・ベニーは、「問題解決の鍵は、油漏れの問題、航行の安全確保の問題、それとも海峡利用料の問題なのか、どの問題に焦点を絞ることになるかを見分けることである。」と述べた。
(2003年10月28日 ビジネス・タイムズ)
 
港湾公社、持ち株会社方式に移行
 コンテナ荷役会社のシンガポール港湾公社(PSAコープ)は10月31日、全部門を所有する持ち株会社のPSAインターナショナルを設立すると発表した。PSAコープはインターナショナルの子会社となる。海外業務重視の経営構造改革を反映させた組織再編。PSAコープは3月、業務部門をシンガポール、欧州、中国、アジア・中東の4地域に分け、それぞれ最高経営責任者(CEO)を置く方式に改めていた。海外業務の比重は増しており、今年の貨物扱い高のうち35%は海外部門だ。
 持ち株会社方式への移行は、何度か延期された新規株式公開(IPO)に備えた措置、との観測もあるが、これについて同社幹部は「IPOは株主が決める問題だが、当面IPOに乗り出す計画はない」と述べた。PSAコープは国営投資会社テマセク・ホールディングスの100%保有会社。組織再編による格付け(トリプルA)の変更はない。
(2003年11月3日 NNA)
 
船舶燃料事件、3年越しの捜査完了
 汚職調査局(CPIB)は3年前に発生した、船舶燃料の検査をめぐる汚職事件の捜査をほぼ終えた。燃料供給業者5社が事件に関係したとされたが、これまでのところタイソン・マリン・サービシズのみ起訴を免れている。
 検査官が、量目不足や指定外の化学物質を含む劣悪な燃料油の供給を黙認し、賄賂を受け取っていたこの事件では、62人の検査官が収賄で有罪判決を受け、供給業者4社の経営責任者が刑事責任を問われた。
 10月31日の裁判では、コースタル・バンカーリング・サービシズのリム・テクチャイ取締役が有罪判決を言い渡された。同取締役はマネジング・ダイレクターであるリム・リーリャン氏とは兄弟。リーリャン氏はシンガポール海運協会(SSA)の元評議員で、燃料供給国際基準作業委員会の開催責任者。同事件で失われた信用回復のため、海事港湾庁(MPA)は免許要件、監視を強化した。
(2003年11月5日 NNA)
 
ジュロン・シップ、最大コンテナ船完成
 セムコープ・マリンの完全子会社ジュロン・シップヤードは4日、最大規模のコンテナ船を完成させ、命名式を行った。このコンテナ船は積載量2,500TEU(20フィート標準コンテナ換算)の「トーマス・マン」で、パシフィック・キャリアーズから受注した2隻のうちの1隻。受注額はそれぞれ5,500万Sドルだった。ドイツの船舶所有会社に3,450万米ドルで売却される。
 ジュロンはこのほか、台湾の万海航運(Wan Hai Lines)から積載量2,600TEUのコンテナ船4隻(2億2,200万Sドル)の設計・造船を受注しており、2005年3月、7月、12月、2006年4月に引き渡す予定。
 ジュロンは、1997年にコンテナ船の受注を始めて以来、積載量830TEUクラスの船舶を4隻、1,078TEUクラスを6隻造船している。セムコープ・マリンは政府系大手コングロマリット、セムコープ・インダストリーズの海洋エンジニアリング子会社。
(2003年11月6日 NNA)
 
ジュロン島安全確保でハイテク検問所
 化学基地のジュロン島にテロ対策を目的としたハイテク機器完備の検問所が建設され、開所式が4日催された。
 整備費用は3,000万Sドル。同島を管理するジュロンタウン公社(JTC)が、国軍、市民防衛隊、警察の協力を得て検問システムを開発した。同検問所には、爆発物、武器、往来を認められていない人物を探知するエックス線スキャナーや、車両侵入防御システムなどが設置されており、1日に1万台の車両と2万5,000人の入島をチェックできる。防御システムは遠隔操作のタイヤ破裂スパイク、昇降式縁石・円柱で構成。監視カメラも年内に設置される。
 ジュロン島には日系を含む72の内外企業が進出しており、投資総額は200億Sドルに上る。米国同時テロを受け、2001年10月に保護地域に指定された。開所式でトニー・タン副首相は「安全な経済環境がなければ国の経済発展はない」と治安確保の重要性を指摘した。
(2003年11月6日 NNA)
 
PSA、釜山港への出資も視野に
 シンガポール港湾公社(PSAコープ)は、韓国・釜山港への投資を視野に入れているもようだ。昨年の韓国全体のコンテナ取扱量は前年比17%増の約1,200万TEU(20フィート標準コンテナ換算)。この大部分を占める釜山港では、中国北部の小規模港から韓国を経由して欧米へ向かう航路の需要拡大を受けて、停泊所(バース)17カ所の増設を検討しており、出資者を募っている。
 PSAはすでに仁川のコンテナ・ターミナルに出資している。PSAのスティーブン・リー会長は、「機会があれば釜山港への投資も検討したい。PSAは中国・大連にも出資しており、韓国と中国北部を含めひとつの物流エリアとして捉えることができる。仁川ターミナルのバース1カ所の建設に着手したところで、今後第2期、第3期の工事にも取りかかる。釜山港への投資を早急に進めるつもりはない」との見解を示した。
(2003年11月6日 NNA)
 
ばら積み貨物の海上輸送料金が過去10年ぶりの高水準に=シンガポール
 ばら積み貨物の海上輸送料金が過去10年間での最高の水準を記録しており、シンガポールに拠点を置く船会社の業績に大きな利益をもたらす一方、資材を海外からの輸入に依存する製造業者らが輸送コストの負担増に苦しむ可能性が指摘されている。
 ばら積み貨物の海上輸送価格の指標であるボルチック・ドライ・インデックス(BDI)は、9月以降上昇を続け、現在は1993年以来の高値を記録している。鉄鉱石などを海上輸送する場合の短期用船レートは、1日当たり最高8万米ドルへと高騰しているが、輸送への需要は供給を上回っている状態だ。Kライン・シンガポールの黒谷研一社長は、一部の海上輸送料金が上昇していることを認めた。同社長によると、7万5000DWT級の船舶を30日間用船する場合の料金は1日当たり6万−8万米ドルだという。
(2003年11月6日 時事速報シンガポール)
 
中国・洋山港の運営管理で香港のハチソンと提携か=シンガポールのPSA
 ホンコン・スタンダード紙は5日、消息筋の情報として、シンガポール政府系港湾管理会社PSAコープとホンコンのハチソン・ポート・ホールディングス(HPH)が、上海市南匯区沖に建設中の海上港、洋山深水港の運営・管理を行う合弁会社を設立する可能性があると伝えた。
 同紙によると、HPHのジョン・メレディス社長はこのほど、PSAのエディ・テー最高経営責任者(CEO)と会い、洋山港の開発について話し合った。テーCEOは、PSAに昨年末入社するまではHPHで海外港の買収業務を統括していた。メレディス社長とテーCEOはともに、中国政府幹部と会い、洋山港への投資について協議したもようだ。
 洋山港の第1期工事は2005年に完成の予定で、第2期工事では海外企業の参加も認められる。港湾管理各社は、来年中旬にも第2期工事の入札が始まるとみている。
(2003年11月7日 時事速報シンガポール)
 
PSA貨物取扱量、1〜10月期7%増
 シンガポール港湾公社(PSAコープ)がこのほど発表した1〜10月の国内貨物取扱量は、前年同期比7%増の1,496万TEU(20フィート標準コンテナ換算)となった。残り2カ月で208万TEUを達成すれば、2000年に記録した国内事業の通年取扱量1,704万TEUを上回ることになる。
 同社が海外で運営する港湾の取扱量は28.8%増の797万TEUを記録し、昨年通年の780万TEUを上回った。PSAは6カ国11カ所で港湾施設を運営している。海外事業が全体に占める割合は35%。特に中国の施設3カ所や、ベルギー子会社ヘッセ・ノールド・ナティ(HNN)が貢献した。10月の貨物取扱量は、国内が前年同月比11.3%増の158万TEU、海外は5.3%増の80万TEUだった。このほかPSAは先ごろ、海外事業を統括する持ち株会社、PSAインターナショナルを設立すると発表している。
(2003年11月10日 NNA)
 
クラン港、PTPに定期貨物航路=海運の伊ロイド、豪州などへは積み替え
 イタリアの海運会社「ロイド・トリエスティーノ」とフランスの「CMA・CGM」は、アドリア海からマレーシア・クラン港やタンジュン・プルパス港(PTP)などを経て中国に至る定期コンテナ航路を共同で就航した。東南アジア向けやオーストラリア向けコンテナはクランやPTPで積み替える計画で、このほどクラン港ウエストポートに初寄港した。
 このサービスは、20フィート標準コンテナで2400個搭載可能なコンテナ船7隻を利用する。5隻はロイドが、2隻はCMAが提供する。
(2003年11月11日 時事速報シンガポール)
 
自動操縦クレーン設置、PTP効率化
 ジョホール州のタンジュンプルパス港(PTP)はこのほど、荷役作業の省力化と効率化を目的に自動操縦のラバータイヤ式橋形クレーン(RTG)を67台設置した。クレーンは国際標準の測位システムGPS(全地球測位システム)の精度を高めたDGPSの技術を採用しており、貨物の位置などの情報管理も自動的に行うため、作業効率の向上が見込まれている。PTPの今年1〜9月のコンテナ取扱高は251万TEU(20フィートコンテナ換算)。通年では300万TEUを超える見通しになっている。来年7月には拡張工事が完了、年間取扱能力は600万TEUに拡大する予定だ。
(2003年11月11日 NNA)
 
中国蘇州の埠港に11億元投入へ=香港モダン・ターミナルズ
 香港総合大手、九竜倉集団(ワーフ〈ホールディングズ〉)傘下のコンテナ港運営会社である現代貨箱碼頭(モダン・ターミナルズ)は、中国江蘇省蘇州市の太倉港のコンテナターミナルに11億元を投じるもようだ。同市の楊衛沢市長が10日、投資商談会で訪れている香港で明らかにしたもので、順調にいけば今商談会中に契約が交わされるという。
 モダン・ターミナルズは太倉港の4バースの建設に投資する予定で、4バースの貨物処理量は年間100万TEU(20フィート標準コンテナ換算)になるとみられている。
 蘇州市の主要埠港は、太倉港のほか張家港、常熟港の3つ。今年の3埠頭の貨物処理量は40万TEU、6000万トンに上る見込み。特に太倉港は港湾線が長いなど、港湾条件が整っており、新バース完成後の太倉港の貨物処理量は年間700万TEU、1億トンに達すると推計される。
(2003年11月11日 時事速報シンガポール)


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