シンガポール港とジョホール港の合併には反対せず=マレーシア第2財務相
マレーシアのジャマルディン第2財務相は14日、最近報じられたジョホール州タンジョン・プルパス港(PTP)と、最大のライバルである隣国シンガポール港の提携の可能性について、政府としては提携の動きに反対しない考えを示した。同第2財務相は、世界の市場で競争していくには2つの港の戦略的な提携が重要だと指摘した。
シンガポール紙は最近、PTPと、シンガポール港を管理するPSAコープの親会社テマセク・ホールディングスが、同2港の提携または合併について交渉中だと伝えていた。
複数の消息筋は、マレーシア政府がPTPとシンガポール港の合併に反対しない理由について、シンガポール港から船会社を誘致するために大幅な割引を提供するというPTPの戦略を永久には続けられないとマレーシア政府も認識しているためと指摘している。大幅割引戦略によってPTPの港拡張計画も厳しい状況に追い込まれており、マレーシアの一部の閣僚も、将来2港の間で何らかの協力が必要になるとみているようだ。
(2003年8月15日 時事速報シンガポール)
中国海運大手COSCO、シンガポール港のコンテナふ頭の経営に参加
シンガポール港を運営・管理する政府系港湾管理会社PSAコープと中国政府系の大手海運会社、中遠グループ(COSCO)傘下の投資会社COSCOパシフィックは8月30日、シンガポール港のコンテナ・ターミナルの一部を運営する合弁会社を設立し、その株式の49%をCOSCOが取得するという内容の暫定合意書に署名した。同暫定合意書に基づき、COSCOとPSAは2008年までに、パシル・パンジャン・ターミナル内の2コンテナ船係船スペース(バース)を合弁で管理・運営することになる。
COSCOとPSAが共同運営する2つのバース(うち1つは未完成)の年間コンテナ取扱量は約100万TEU(20フィート標準コンテナ換算個数)となる見込みで、PSA管理のシンガポール港が昨年取り扱った合計取扱量の約6%に相当する。
PSAはこれまで、シンガポール港を利用する海運会社200社に対し同じ水準のサービスを提供する方針を貫いてきたことから、大手海運会社による同国港のターミナル株の取得は拒絶してきた。しかし、隣国マレーシアのタンジョン・プルパス港(PTP)に主要顧客2社を奪われたのを受け、大手海運会社にターミナル株の一部取得を認める方向へ方針を転換していた。ターミナル株の取得で海運会社側は、会社のニーズに合わせて港の運営スケジュールを調整することで、時間とコストを節約できるようになる。
(2003年9月1日 時事速報シンガポール)
シンガポール海事港湾庁(MPA)のCEOに就任したばかりのルイ・タックユー氏は4日、海運専門学校の卒業式での演説で、海運業界専門の法律や金融、保険サービスなどの分野を中心に、今後同業界での雇用拡大が期待できるとの考えを示した。
同長官は、MPAが現在、シンガポール国立大学(NUS)の調査部門NUSコンサルティングと共同で、向こう5−10年間の海運分野の雇用機会や、必要な人材に関する調査を行っていると述べた。同調査は、今年末までには完了する予定。
また、海運分野の専門サービスに必要な人材を育成するため、南洋工科大学(NTU)では、新しい学士コースと修士コースの開設準備が進められている。同コースは来年7月に開講の予定。
(2003年9月5日 時事速報シンガポール)
フィリピン−国際海事機関(IMO)は、9月9日(火)、正式にアジア太平洋地域事務所をマニラに開設した。IMOの新任の事務局長である元海軍少将エフシミオス-ミトロポロスが、事務所の開所式をとり行った。
フィリピンの外務大臣ブラス-オプレは、式の祝辞のなかで、次のように語った。「フィリピンがIMOの地域事務所として世話役を務めることは、フィリピンと地域諸国が技術協力と発展の活動のみならず、IMOの規制の枠組を促進させるのに大いに役立つであろう。これは、フィリピンにとって名誉であるだけでなく、フィリピンの海運業や船員の配乗産業を大きく後援するであろう。」。
フィリピンは、国際的な船舶社会に対して、世界最大の船員の供給地であるという重要で国際的な海事の役割を担っている。
(2003年9月9日 マリタイムアジア)
海運・造船業界のR&D促進に1億ドルの基金創設=海事港湾庁
シンガポール海事港湾庁(MPA)は10日、海運・造船業界および同業界の技術分野の研究・開発(R&D)を促進するために、1億シンガポールドル(Sドル)の基金「海事革新・技術基金(MINT)」を創設したことを明らかにした。同基金の創設は、同国向こう10年かけて海運業界の研究開発力を高める計画の一環。
MPAのピーター・オン議長は、同国で開催された港湾と海運・造船業界のR&Dとテクノロジーに関する国際会議で、同業界のR&Dと技術分野におけるビジネスチャンスは依然として大きいと指摘。効率性とセキュリティーの向上、人材育成などの需要が高まっており、R&Dとテクノロジーが果たす役割は大きいとの考えを示した。
MPAは昨年、産学協同で海運業界のR&D分野の育成を図るため、海運R&D顧問委員会を設置。同委員会は、運輸、物流、環境、資源、オフショア海洋エンジニアリングの5分野でR&Dとテクノロジーを発展させるロードマップを作成した。MINT基金は、同ロードマップの実現に貢献すると期待されている。MPAは経済開発局(EDB)と共同で、海運分野の革新的技術開発のための試験的なプログラムを実施している。
(2003年9月11日 時事速報シンガポール)
1−7月のシンガポール港のコンテナ取扱量、6.3%増=海事港湾庁
シンガポール海事港湾庁(MPA)の最新統計によると、今年1−7月の同国の港(ジュロン港を含む)のコンテナ取扱量が1040万TEU(20フィート標準コンテナ換算個数)と、前年同期比6.3%増加した。7月の同国港のコンテナ取扱量は、163万TEUと前年同月比8.8%増加。このうち、政府系港湾管理会社PSAコープが運営するシンガポール港のコンテナ取扱量は161万TEUだった。
一方、1−7月の船舶燃料売り上げは1186万トンと、前年同期比2.65%増加した。
(2003年9月16日 時事速報シンガポール)
シンガポール海事港湾庁(MPA)は商船法を改正する計画だ。来年7月までに施行する。国連機関の国際海事機関(IMO)は2001年9月11日の米同時多発テロを受けて、セキュリティ対策の強化を規定している。シンガポールは国際貿易手段として海上輸送に頼ることが多いため、同庁はIMOの安全対策条件に合うよう改正を進めている。
同庁のチーフ・エグゼクティブ、ルイ・タックユー氏は「商船会社はセキュリティー要員を置き、各船にはセキュリティーが乗り合わせるべきだ。安全対策を講じ、乗船者のチェックも怠るべきではない。来年7月と言わずに、すぐにでも実行していきたい。」と述べた。
商船会社や港湾事業者は改正法に沿った対応を進めており、同庁でも訓練を施す業者などを紹介しているという。
(2003年9月11日 NNA)
国際協力事業団(JICA)は、インドネシアの内航海運と海事産業の振興に向け、2024年の実現を目指す基本計画を作成する。調査期間は昨年11月から来年1月までで、実施経費は170万米ドル。インドネシア側の実施機関は運輸省海運総局と商工省金属機械電子産業総局となる。なお、同調査は内航海運の振興に必要となる造船修理業など支援産業の振興についても調査対象としている。インベストール・インドネシアが伝えたところでは、商工省金属機械電子産業局のヌグラハ局長は、国内250のドックに関し、人材育成が進んでいないため十分に機能を発揮できていないが、同分野に対する内外からの潜在需要は高いと述べている。また、インドネシア造船業協会(Iperindo)のユスワント会長は、国内海上輸送貨物の55%、年間3億5,000万立方トンに及ぶ対外貿易の97%が外国籍船舶に依存しているとして、基本計画を通じた国内産業振興に期待を示している。
(2003年9月18日 NNA)
統計によると、約8,000TEUのコンテナ船の注文が100隻を上回った。
7,400TEUから、8,400TEUまでの範囲の通常の容積のコンテナ船の注文は、現在100隻であるとビーアールエス・アルファライナーは、見積もっている。さらには、船舶ブローカーのバリー・ログリアノ・サリーの傘下であるフランスの会社は、コンテナ船が15,000TEUのコンテナ取扱量をこなせる収容能力をもてるには、単に時間の問題であると信じている。
通常の容積の範囲内の44隻のコンテナ船が完成する2006年には、コンテナ船の引渡しは、ピークに達するだろう。
他の33隻のコンテナ船は、2005年に完成することになっており、一方6隻のコンテナ船は今のところ2007年の引渡しに向けて、製造の予約が入っている。デンマークの船会社マースク・シーランドは、すでに少なくとも8,000TEUの大きさと思われる22隻のSクラスのコンテナ船を運航しており、またデンマークのエイピィー・モラー・オデンス造船所において、さらにたくさんのコンテナ船を製造中である。
(2003年9月18日 ロイズリスト)
シンガポール港の今年のコンテナ取扱量、前年比6%増に=PSA
シンガポール政府系港湾管理会社PSAコープの国内部門のウン・チーケオン最高経営責任者(CEO)は18日、同社が運営する同国内の港のコンテナ取扱量が今年、前年比で少なくとも6%増加するとの見通しを示した。PSAの国内港の昨年のコンテナ取扱量は1680万TEU(20フィート標準コンテナ換算個数)と、同8%の伸びを達成していた。今年の取扱量が6%増を達成すると、通年の取扱量は1780万TEUとなり、これまでの最高記録だった2000年の1704万TEUを上回ることになる。
ウンCEOは、国内港の取扱量が1−5月に5%増加し、6−8月には9%の伸びを達成したと指摘。船会社の経営環境が好転し、輸送量が増えてきたことから、今年通年では取扱量の伸びが6%を上回るとの見通しを示した。国内港のコンテナ取り扱いが好調な理由について同CEOは、中国経済の躍進で中国向けの貨物が大きく伸びたほか、アフリカやベトナムなど新たな市場への貨物が増えつつあると指摘した。
(2003年9月19日 時事速報シンガポール)
英国・カーディフ大学国際船員調査センター(SIRC)のまとめによると、フィリピン人船員が世界の船員市場で占める割合は28.0%となり、2位のロシア(6.8%)を大きく引き離しての首位だった。これにウクライナ(6.3%)、中国(6.2%)、インド(5.0%)、インドネシア(4.0%)、ポーランド(3.5%)、ギリシャ(2.8%)、トルコ(2.5%)、ミャンマー(2.3%)が続いた。残りの32.4%はクロアチアやラトビアなどの東欧諸国が占める。フィリピン人船員の内訳を見ると、8.7%が上級幹部として働いているのをはじめ、19.1%が下級幹部、それ以外の72.2%も何らかの階級で雇用されているという。マラヤ紙によると、SIRCのマラグタス・アマンテ博士は、フィリピン人船員の特徴として、訓練が行き届いていることや船員養成学校が少数精鋭での人材輩出を行っていることを指摘。養成学校の2001年の卒業生数が1997年の3分の2に減少したのは、学校側が優秀な生徒だけを卒業させたためと説明した。
(2003年10月7日 NNA)
日本財団は10日、マラッカ海峡に標識を設置するための船舶(設標船)「KNジャダヤット号」(858トン)をインドネシア政府に寄贈した。電子海図表示システム(ECDIS)を装備した最新鋭の船舶で、建造費用は7億3,000万円。
日本財団が資金を拠出。関連機関のマラッカ海峡協議会が新潟造船に建造を委託した。新潟造船は4月に起工、6月に進水式を行い、9月12日に同協議会に引き渡した。
ジャダヤットはインドネシア語で「南回帰線」を指す。所属港はシンガポールに近いインドネシア・ビンタン島キジャン港。通信省海事通信局が実際の運営を手掛ける。
8月末から約1カ月の研修が日本で行われ、インドネシア側は研修費用のほぼ全額を負担した。研修を終えたインドネシアの船員が同船をえい航した。
この日は、同じくシンガポールに近いインドネシア・バタム島のホテル「ノボテル・バタム」で引き渡し式が行われた。日本財団の曽野綾子会長が式典であいさつに立ち、「娘を嫁にやるような心境。ジャダヤット号をもらう人に、きれいに使ってくださいとお願いしたい。そうすれば健康な嫁は良く働くでしょう」と話し、インドネシア側の参加者から拍手を浴びた。
日本財団は昨年6月、同協議会を通じてぺドマン号(マレー語でコンパスの意)をマレーシア政府に寄贈している。
全長1,000キロメートルにわたるマラッカ海峡の東側半分は水深が浅く、航海の難所となっている。安全な航行のため、この区間には50カ所以上に航路標識が設置されている。マラッカ海峡協議会は、30カ所(45基)の標識をマレーシア、インドネシア両国に寄贈。現在でも両国と共同で維持管理を行っている。
同海峡は国際法上「国際航行に資する海峡」と定められており、国家主権が介在する。このため国境を挟んでマレーシアとインドネシアが、それぞれ標識メンテナンス作業を行っている。
(2003年10月13日 NNA)
インドネシア海域に、建造費8億5000万円の設標船が配置されたことによって、船舶の行き来の多いマラッカ海峡における航海上の安全が高められた。
この設標船はマラッカ海峡協議会から、インドネシア政府へ寄贈され、ビンタン島のキジャン港に配置される予定である。
設標船の主な作業は、航路標識を含む視覚標識の継続的な設置・補修作業である。
マラッカ海峡協議会のオペレーションマネジャーの佐々木氏は、次のように説明した。「海峡に設置されている典型的な浮標は、楽々と2階建てのビルよりはるかに高いです。補修作業では、オーバーホールのため、浮標をジャダヤ号に乗せます。三角波の立つ海の状況下での補修作業は難しいです。」
設標船は、広範囲の作業場を備え付けており、ほとんどの補修作業は海上で行うことができるのである。総重量858トン、全長58メートルの設標船は、最大速力10.5ノットで、日本財団が資金を拠出したのである。
マラッカ海峡協議会によって設標船が寄贈されたのは今回で二度目になる。昨年、同様の設標船がマレーシア政府へ寄贈されている。
この2隻の設標船を配置することによって、海峡を航行するすべての船舶の航海の安全を改善する効果が期待できるのである。
日本財団の長光常務は次のように語った。「マラッカ海峡域内の国々がそのような連携の提唱をしなければいけないし、国際連携の枠組みを公式に作成するために、マラッカ海峡域内の国々と喜んで密接に働きます。」
過去35年間に渡って、日本はシンガポールとマラッカの海峡において、航海の視覚標識として、灯台、航路標識、浮標を設置したのである。これまでに120億円以上が費やされている。30ヶ所の標識を設置し、日本財団は、3分の2を占める主な灯標を供給している。
マラッカとシンガポール海峡は、世界で最も船舶の行き来の激しい水路であり、2つの大海につながっている。航海の安全の問題は、最新の話題であり、海峡を通過するうえでの危険の事由の一つとして、海峡の水深が浅く、潮流が速いことがあげられるのである。
(2003年10月13日 スター)
設標船「ジャダヤ号」が10月10日金曜日に、インドネシアのバタム島で、マラッカ海峡協議会から、インドネシア政府を代表して運輸大臣アグム・グメラ氏へ正式に寄贈されました。
「海上での補修作業場であるジャダヤ号は、日本とインドネシアとの間で、海上での協力がいっそう強化されたことを象徴しているのです。」とシンガポールに拠点を置くニッポン・マリタイム・センターの話です。
マラッカとシンガポール海峡は、船舶の行き来の激しい航路で日本向けに80%以上もの油を輸送する重要な貿易の航路である。
設標船「ジャダヤ号」の寄贈式典で、インドネシアの運輸大臣グメラ氏は次のように語ったのである。「インドネシア政府は、海峡での安全確保について、大いに憂慮していたが、インドネシアの経済状況は困難な中にあったのです。」
その後、報道陣からのインドネシア領海での海賊行為の問題についての質問に対して、運輸大臣は「その件については、マレーシア、インドネシア、シンガポールの3国の巧みな協力が必要だと思います。」と答えました。
(2003年10月14日 ロイズ・リスト)
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