シンガポールからの船舶燃料ハブの地位奪取計画は継続か=馬ジョホール港
消息筋によると、マレーシア・南部ジョホール州に船舶燃料補給港を建設し、シンガポール港から船舶燃料ハブ(中枢)の地位を奪取するという目標に向け、関係者の間では現在も交渉が続けられているもようだ。
シンガポールのビジネス・タイムズ紙は最近、タンジョン・プルパス港(PTP)の経営権を握る実業界サイド・モクタル氏のシーポート・ターミナル社と、石油・ガス専門会社ダイアログ・グループと共同で、PTP内の船舶燃料供給施設の建設についての予備調査を行った結果、計画に実効性がないと結論付けられ、計画を断念したと報じていた。しかし、消息筋によると、サイド氏と国営石油会社ペトロナスは現在も、船舶燃料補給港の建設について話し合いを行っているという。
同消息筋は、PTP内に建設が計画される船舶燃料補給施設は、ペトロナスがスランゴール州のクラン港に保有する船舶燃料補給施設よりも大規模なものになると指摘した。PTP内の同施設は、ジョホール州をシンガポールに対抗する東南アジアの物流・輸送ハブとする大規模な構想の一環として計画されている。
サイド氏は、同州のセナイ空港をチャンギ空港に匹敵する航空ハブとするために拡張工事を計画するほか、PTPに近接する土地に石油化学プラントを建設することも検討している。
(2003年6月18日 時事速報シンガポール)
マレーシア海事局は、遠隔監視システムを通じて半島の全灯台11基と同局本部を連結する予定である。現在、すでに6基の灯台がシステムにリンクされており、8月には残りの5基(ペナン州のMuka HeadとPulau Rimau、セランゴール州のPulau AngsaとKuala Selangor、パハン州のTanjung Gelang)のほか、灯標7基がリンクされる予定。
海事局航行安全課のZulkurnain Ayub氏は、システム導入により航路標識は24時間体制で監視されることになり、故障の調整が迅速に行われ、中断時間が短縮されると述べた。
同氏によると、システムはクラン港にある海事局本部から24時間体制で監視・制御されるほか、ペナン、クラン港、ジョホール・バル、クアラ・トレンガヌの支局からも監視できるとのこと。
灯標については、陸地のもの以外には船舶や波やほかの外部からの力が原因の衝突などの衝撃を検出するセンサーが付けられる。
「これらの事故の情報はクラン港本部に伝えられ、海事局職員が対応に派遣される。灯台及び灯標からの全ての情報はまず本部に伝えられ、その後航路標識を管轄する支局に転送される。例えば、クラン港本部からペナン州にある灯台の発電機を作動させることもできる」と同氏は述べた。
今回使われた技術は、ISDNとVSAT衛星通信リンク。
(2003年6月18日 ストレート・タイムズ)
当事務所注:マレーシア海事局の資料によれば、灯台は14基(うち3基は東マレーシア)、灯標は233基、浮標は190基である。
(注:本項は英国海上保安庁の設置についてコメントしたものであり、その内でMPAに関する部分を抄訳した)
元シンガポール海軍トップのリュー・タックヨー少将が、チェン・ツーペン長官に代わり、シンガポール海事港湾庁(MPA)の新最高責任者に就任することになった。
チェン氏は、1996年に当時のシンガポール港湾庁(PSA)が法人化することを受け、統制機能を監督する行政機関としてMPAが設置された時から長官を務めてきた。
チェン氏は国際海事機関(IMO)理事会の議長を務めているため、議長の任期が終了する今年後半まで長官の職を継続する。しばらくの間、MPAには最高責任者と長官が同時に存在することになる。
チェン氏が辞任した時点で、MPA長官という役職は歴史の中に封印される。
役職名は重要ではなく、よい仕事をしたかどうかということが重要であり、シンガポール港湾庁(PSA・当時)から駆け出したMPAをうまく導いたチェン氏には祝辞が送られるべきであろう。
しかし、現在、MPAはおそらく代表の役職名のみならず、重要機関としてのさまざまな役割に目を向ける時に至っている。MPAは海事監督機関であり、商業的な港湾の促進、緊急事態の対応、事故の調査も手掛けている。
(2003年6月18日 シッピング・タイムズ)
スーパースター・ヴァーゴ号の運転拠点、再びシンガポールに
マレーシアの客船運航会社スター・クルーズは、豪華客船「スーパースター・ヴァーゴ」の運行拠点を来月20日にオーストラリアのパースからシンガポールに戻すことを明らかにした。同社は、新型肺炎(SARS)によるクルーズ客減少で、4月から運行拠点をシンガポールからパースに移転していた。同社は、同時期に運行拠点を香港からオーストラリアのシドニーに移転していたスーパースター・レオ号についても、来月20日から香港に戻す予定だ。
業界関係者によると、クルーズ業界ではSARS流行で、売り上げが70−80%落ち込んだという。スター・クルーズは今年4月、スーパースター・ヴァーゴの乗員2人がSARSに感染した疑いで病院に収容されたのを受け、同船とスーパースター・レオの運航を一時的に停止。その後2人がSARSに感染していなかったことが判明したが、相次ぐキャンセルとイラク戦争による燃料費の高騰で、今年第1・四半期に220万米ドルの損失を計上した。
(2003年6月20日 時事速報シンガポール)
船舶燃料業者に2年以内の新規制順守求める=海事港湾庁
シンガポール海事港湾庁(MPA)はこのほど、検査のごまかしなど船舶燃料業界での一連のスキャンダルを受け、同国の船舶燃料供給会社と検査会社に対し、2005年6月までに新しく設定した「船舶燃料サプライ・チェーン品質管理基準(QMBS)」の順守を求めることを決めた。同国の船舶燃料業界では2001年から02年にかけ、燃料供給の際の検査のごまかしや、燃料への危険な不純物の混入といった不祥事が相次いで発覚していた。船舶燃料関連会社が今後、燃料供給などのライセンスを維持するには、QMBSの基準をクリアする必要がある。QMBSの詳細については、船舶燃料業者らが出席する20日のセミナーで明らかにされる。
MPAは、船舶燃料の一連のスキャンダルが発覚して以来、問題のある業者に対して告訴など厳しい措置を適用。この結果、同国は年間2000万トン以上の船舶燃料売り上げを回復し、世界最大級の船舶燃料補給港としての地位を維持することに成功した。
(2003年6月20日 時事速報シンガポール)
日本船主協会の新会長に草刈隆郎氏が就任した。同新会長は、就任と同時に多くの要求、意見、対応への取り組みに追われている。草刈氏は日本最大の海運会社である日本郵船の社長で、同社のプレスリリースによると、早くもトン数標準税制対策委員会を発足させる予定。また、草刈氏はコストの高い日本国内の港湾現場に対する取り組みに意欲を見せており、ノルウェーや韓国のような第二船籍制度の導入にも注目しているほか、協会内に労政委員会を新設し、外国人船員の待遇改善などに取り組む方針を示した。
(2003年6月20日 マリタイムアジア)
インタータンコ:EUのタンカー船齢制限、質の低下招きかねない
シンガポールで開催されたプレステージ号事故の影響に関するセミナーにおいて、インタータンコのジョン・フォーセットエリスアジア太平洋局長は、タンカーを船齢だけで制限することは将来的に質の向上でなく低下を招きかねないとした。同氏は、船齢のみではタンカーの質は測れないとし、船齢だけでタンカーを制限すれば、船主は新しい船を注文する時に品質や強度に投資するのを思いとどまるだろうと述べた。同時に、メンテナンスへの投資も縮小が予想される。「船齢が高くなれば、メンテナンスをする意欲がなくなるだろう」と同氏は述べた。
フランスとスペインが両国の排他的経済水域からの船舶を追放した際、ほとんどの旗国から反応がみられなかったことが、今回のセミナーで大きく取り上げられた。セミナーは、シンガポール海運協会とノルウェー船級協会の主催で行われた。
2002年12月から2003年5月初めまでに約80隻の船舶が退去を求められたと伝えられおり、少なくとも旗国12カ国が関与していたが、これに抗議したのはノルウェーだけであった。これについて、ワールドワイド・シッピング代理店のスティーブン・パン氏は、ノルウェーでは海運が重視されており、同国の状況は特殊だと述べた。
一方では、船主にも非があるとする意見もある。シンガポール国立大学法学部助教授のロバート・ベックマン氏は、船主が便宜置籍(FOC)に船舶を登録するのなら、保護されないこともいとわない覚悟が必要だと述べた。
(2003年6月23日 マリタイムアジア)
PSAの料金引き下げパッケージの延長望む=シンガポール港利用の海運会社
シンガポール港を管理・運営する港湾管理会社PSAコープが昨年導入したコンテナ取扱料金の引き下げパッケージが先月30日で期限を迎えたが、同港を利用する海運会社の多くは、同パッケージが何らかの形で延長されることを望んでいる。
隣国マレーシアのタンジョン・プルパス港(PTP)など近隣諸国港との競争激化を受けPSAは昨年、取扱料金全般にわたる10%のリベートや、空のコンテナの取扱料金50%引きなど1年間の引き下げパッケージを導入していた。海運各社は、この引き下げパッケージについて、海上輸送料金が大きく落ち込んだ時期に導入されたことから、大きな効果があったと評価している。
海上輸送料金はその後、主要航路で最大30%、アジア・欧州航路で20%上昇したが、海運各社は海上輸送料金がまだ回復初期段階にあるとしてPSAの引き下げパッケージの延長を求めている。コスコ・ホールディングス・シンガポールのチー・ハイシェン社長は、海運業界を取り巻く環境が依然厳しいとして、パッケージの延長が必要との考えを示した。
こうした海運会社の意向に対しPSA側は、個々の船会社と交渉して、それぞれの船会社の競争力向上につながるような個別の条件交渉を進める方針だ。
(2003年7月3日 シッピング・タイムズ)
PTP、シンガポール経由輸出貨物の半分を奪回=マレーシア
マレーシア・ジョホール州の新興コンテナ港タンジュン・プルパス港(PTP)は、シンガポール港経由で輸出されていたマレーシア貨物コンテナの約半分をPTPが取り戻したことを明らかにした。PTP運営会社のモハマド・シディック・シャリック・オスマン最高経営責任者(CEO)は「2000年3月の開港以来、海運の世界的大手2社が東南アジア拠点をシンガポールからPTPに移転した。20フィート標準コンテナ換算で30万−40万個の貨物がPTPから直接海外に運ばれるようになった」としている。
PTPは、建設を進めている8埠頭のうち2埠頭を来年初めに稼働させ、取り扱い能力を現在の380万個から75万−100万個増加させる計画。同CEOは「新たな海運会社の誘致活動を活発に展開している」と強調した。
同社の昨年のコンテナ取り扱い実績は前年比約30%増の266万個。今年は350万個を目指している。
(2003年7月8日 時事速報シンガポール)
ジョホールにLME認定倉庫を建設へ=英ギアバルク―マレーシア
英海運会社ギアバルク幹部は、マレーシア・ジョホール港にロンドン金属取引所(LME)の認定倉庫を設置する計画を明らかにした。マレーシアを拠点に域内での金属輸送事業を拡大したい考えで、実現すれば国内初のLME認定倉庫になる。同社が現在東南アジアで扱うばら積み貨物は年間40万−50万トン。
ギアバルクは、東南アジアの拠点をシンガポールからジョホール港に移転したばかり。3日には同社保有の金属運搬船が同港に初寄港した。
同社は、商船三井が40%、英国を拠点とするジェファーソン・カンパニーが60%を出資する合弁会社。中国やブラジルなどにも拠点を置いており、保有船舶は50隻以上、取り扱い貨物は年間約1200万トンに上る。
(2003年7月8日 時事速報シンガポール)
IMOの航行安全小委員会は、シンガポール海峡の分離通航方式から錨地スペースを解き放すという改正について承認するとした。インドネシア国営港湾会社Pelabuhan Indonesia Iと合併して錨地の運営にあたるPT Maxsteerのジェームス・フォン社長によると、海上安全委員会の元にある同小委員会が改正を承認したとのことである。
改正されれば、インドネシアは錨地を含め、その海域を自由な目的に使うことができる。改正は海上安全委員会で承認される必要があるが、フォン氏は問題ないだろうとしている。トランジット・アンカレッジはシンガポール海峡西端のインドネシア海域に位置し、分離通行帯の西航・東航レーンの間にあたる。この海域をシンガポール海峡における緊急時の避難海域にしようと働きかけられていた。錨地の運営はすでに始まっているが、分離通行帯の真中に位置するため、大手船主は使用を躊躇しており、IMOの承認が重要な前進になる。
(2003年7月10日 マリタイムアジア)
中国、タイ地峡建設計画に関する話し合いのスピードアップを求められる
中国経済日報が発行している経済月刊7月号に、「マラッカ海峡の回避」(筆者:Hu Runfeng)というレポートが掲載された。クラ地峡はタイ南部を東西に切り拓くウォーターウェーで、建設費は250億米ドルといわれる。レポートは、今こそクラ地峡の建設を開始すべきで、中国はタイと迅速に話を進めるべきだとしている。クラ地峡が完成すれば、マラッカ海峡を通航する必要がなくなり、シンガポールの貿易にも影響が出るとみられる。
クラ地峡の建設は、400年前から提案されているもので、数年に一度、投資家が建設計画を再興するが、結局建設費用が高すぎるため断念するということが繰り返されている。
東南アジアにおけるイスラム原理主義者の存在を恐れ、ブッシュ政権はマラッカ海峡に代わる石油輸送代替ルートとして、クラ地峡プロジェクトに注目している。
Hu氏は、中国はマラッカ海峡を通航する石油輸送に依存しすぎているとし、同地域におけるアメリカの存在は大きく、戦略ミスだと批判している。中国は約8000万トンの石油(国内消費量の32%)を輸入に頼っており、このうち70%がアフリカや中東からマラッカ海峡を通じて輸入されている。
またHu氏は、マラッカ海峡は海賊が蔓延し、航行安全の取締りがずさんだと述べている。
経済月刊の読者数は把握されていないが、中国経済日報の読者は90万人に及ぶ。中国経済日報は、中国国務院と国会が運営、中国共産党が直接監修している。経済月刊は通常中国が抱えている問題を取り上げているが、今回のレポートについては閣僚幹部から歪曲していると不満の声が上がっている。本紙が連絡を試みたが、Hu氏はコメントを避けた。
(2003年7月14日 ストレート・タイムズ)
ジュロン港とPSA、海上貨物管理システムをリンクへ
シンガポール港を管理する政府系港湾管理会社PSAコープとジュロン港は来月8日、海上貨物の動きを管理するそれぞれのオンライン・システムをリンクさせる。これまで煩雑な書類手続きなどが障害となってシンガポール港とジュロン港間の貨物移動が難しかったことから、ジュロン港の貨物取扱量は伸び悩んでいたが、両システムのリンクが確立することでジュロン港の取扱量が増加すると期待されている。
PSAの「ポートネット」とジュロン港の「JPオンライン」のリンクは、近隣諸国港との競争激化に対応するためにシンガポールの海上貨物積み替えハブ(中枢)としての地位強化を目指す政府のイニシアティブにより実現した。ジュロン港のマシュー・チャン最高経営責任者(CEO)は、両システムのリンクにより両港の貨物移動がスムーズになり、貨物積み替えの情報などがJPオンラインでもポートネットでも閲覧可能になると指摘した。
(2003年7月23日 シッピング・タイムズ)
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