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8月12日(木)
本日のスケジュール
1)保健省公衆衛生プロジェクト見学
−Moncada Rural Health Unit
−Victoria Rural Health Unit
2)Barangay Health Station
3)移動 ターラック→マニラ
4)海の上のレストランで夕食
5)最後の夜のミーティング
 
1)保健省公衆衛生プロジェクト見学
−Moncada Rural Health Unit
−Victoria Rural Health Unit
 昨日とは異なる2市の保健所(RHU)を訪れた。San-Clementeと同じくJICAの援助によって建てられたもので、建物の作りも活動内容もほぼ同じであった。
 異なると感じたのは、1箇所目のMoncadaが他の2つよりも活動的であったことである。1日の平均来院患者数が、他の2ヶ所が20〜30人であるのに対して、ここでは60人である。歯医者診療日も、他の2ヶ所が週1日であるのに対して、ここでは週5日である。また、私たちが訪れたのが午前中でかつ予防接種の日であったせいもあるかもしれないが、既に子供を抱えた若いお母さん方がたくさんいて、3人の看護師が子供達にワクチンを打っていた。活動的である理由を尋ねると、Moncada市の市長さんが保健医療活動に理解のある女性の方で、市の資金の多くをその活動に使ってくれるからだという。市長の意向で住民の健康に関することまで変わってしまうということには疑問が残る。
 おやつに生ココナッツジュース、ココナッツ餅、茹でた有精卵(鶏の胎児)を、昼食として市長さんもてなしのフィリピン料理をいただいた。日本では馴染みのない有精卵は、見た目で躊躇する人も多かったが、味は茶碗蒸の様であった。
 
予防接種の日
 
 2ヶ所目のRHU、Victoriaが他の2ヶ所と異なることは、ハーブ園を管理しているおばさんがいたことである。薬不足が深刻な問題であるかららしい。「薬に一番RHUのお金をかけているけれど、それでも全然足りないのよ」と言っていた。実際、DRUGと書かれた大きな棚には何かの薬と思われるビンが5本ほど入っていただけだった。
 
2)Barangay Health Station
 Moncadaの下に20ヶ所ある村落保健所(Barangay Health Station; BHS)のうちの一つを訪問した。建物や設備はRHUに比べて劣るが、保健医療活動としてはRHUとほぼ同じような予防接種やFamily Planningなどの基本的なサービスがなされている。この日はちょうどBHS内ではなく、少し離れたフィールドで保健師が予防接種と新生児健康診断を行っているところであった。思ったほど不衛生な感じではなかった。
 この傍にbarangayの薬局があった。コミュニティボランティアワーカーの家に併設された小さなスペースに基本的に使われる薬(以下参照)のビンや箱がいくつか並べられてある状態だった。保健省から配布されるものであるため、薬1錠が、町では9ペソのところ2ペソで売っているのだという。薬を2錠だけ丁寧にビンから取り出し小袋に入れ、それを買いに来たおばあちゃんに手渡していた姿が印象的だった。薬の価値を再認識した時であった。
 
Core Essential Drugs
1. Oral Rehydration Salts(sachet)
2. Co-trinmoxazole(tablet)
3. Vitamin A(capsule)
4. Ferrous sulfate(tablet)
5. TB SCC(blister pack)
6. TB SCC 44(blister pack)
7. Ethambutol(tablet)
8. Streptomycin(vial)
9. Chloroquine Phosphate(tablet)
10. Primaquine(tablet)
 
 
3)移動 ターラック→マニラ
 ターラックでの1泊2日もあっという間に過ぎ、バスでマニラへ移動。旅も終盤に近づいてみんな少し疲れ気味の様子で、マニラまでの3時間は、ほとんどの人が夢の中にいた。
 
4)海の上のレストランで夕食
 フィリピン最後の夜は、Dr. Sato、Dr. Barua、Dr. Hiraokaのご好意もあって、海上レストランで先生方のお話を聞きながら夕食をとることになった。一人一人が自分の将来についての相談をしたり、先生方に今までの生い立ちを伺ったり、このフェローシップで疑問に感じたことをぶつけてみたりと、最後の夜にふさわしい夕食の時間を過ごすことができた。
 
海上レストランにて
 
 
 
5)最後の夜のミーティング
 ミーティングでは、今日の振り返りとしてターラックでの保健省公衆衛生プロジェクト見学について話し合った。話題に上がったのは、どうして同じようにJICAの援助によって建てられたRHUでも違いができてしまうのかということであった。その理由の1つとして、フィリピンでは大統領制を取っているので、大統領が代わるとその下の役人も全て代わってしまうために、継続する政策がとりにくいのではないかという意見もあがった。また、JICAやNGOの援助の現状をふまえながら、援助は本当に必要なことなのかというところまで話が進んだ。 (文責:石井/横田)
 
最終ミーティング
 
8月12日 今日の一言
 
石井:WHOのバルア先生・佐藤先生・平岡先生と夕食を食べ、長時間話しをした。こんな経験はフェローシップ以外では絶対できないと思う。やっぱりフェローシップはすごい。
稲田:ターラックには、健全なフィリピンの農村の姿があった。マニラに戻ると、林立する超高層ビルに畏敬の念を覚えた。
上原:いよいよlast night。悔いが残らないようにいっぱい語ろう!
遠藤:WHOの先生方と夕食を共にし、沢山のお話を聞かせていただいた。人生とは毎日が訓練である。わたくし自身の訓練の場である。失敗もできる訓練の場である。生きていることを喜ぶ訓練の場である。今、この幸せを喜ぶこともなく、いつ幸せになれるか、この喜びをもとに全力で進めよう。
大渕:BHSの見学は印象的だった。バランガイからのボランティアとmidwifeの連係など学ぶことがたくさんあった。何より、バランガイに入っていけたのがよかった。
坂上:バランガイすごかった。こんなとこに来るとpublic healthの重要性を改めて実感する。子供たちの笑顔が輝いてた。
坂口:マニラに帰ってきた。ターラックでの2日間は支援の形を、その一例ではあるけど、この目で見て、また、いろいろ思考することができた。
佐野:昨日に引き続き、RHU、バランガイ訪問。何とかこの国も医療資源が均等に行き渡るようにならぬか。どうやら、マルコス政権崩壊もあまり大きな変化はなさそうだ。
田名:夕食時に佐藤先生から自身の将来についてアドバイスを頂き、考えさせられました。気持ちは常に貪欲なのに有限な私。残り時間はどんどん減っていく...。
土居:テーブル上で生海老に熱湯をかける料理はどうかと思います。ぴょンぴょン跳ねてる...。美味しかったけど。たくさん素晴らしい話をする事が出来ました。
名倉:今日は天気も良く、楽しい一日でした。embryoは見た目は良くないけど味は普通でした。
野中:ターラックの空気や時間、一面に広がるさとうきび畑や稲作の風景、そして子どもたちのはしゃぐ姿...国際協力を考えた原点を思い出しました。RHUで頂いたバナナの葉でくるんだもち米はベストフィリピン料理でした。最後の夜にさみしさが募ります。
山道:そっか、JICAの名前で見学してるからこんなに接待してもらえるんだ。僕ら自身が援助活動の渦の中にいるとは気づかなかった...
横田:海上レストランで綺麗な夜景を見ながらWPROの先生方のいろんな話を聞けるなんて、フィリピンでの最後の夜にふさわしい夜になりました!


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