日本財団 図書館


8月5日(木)
本日のスケジュール・内容
1)日本出国・セブへ
2)ミーティング
 
1)日本出国・セブへ
 午前8時、2日間お世話になった多磨全生園の掃除を済ませ、バスで成田空港へ向かった。今日からいよいよ国外研修が始まる。バスの中、私たちが現地で主催することになっているレセプションで披露する予定の「安里屋ユンタ」を田名さんの三線に合わせ練習した。成田空港では現地でお世話になる方々へのお土産を購入した。
 飛行機のエンジントラブルで離陸が1時間遅れ、セブに到着したのは午後8時だった。空港ではセブでの受け入れをコディネートして下さったLeonard Wood Memorial LaboratoryのMrs. Guillerma Limが出迎えて下さり、一同バスでホテルへ向かった。窓の外は暗く、ポツポツと見える屋台の明かりも多くが店じまいの準備を始めているように思った。道端のゴミの溜まり場では野犬がせっせと食事をしていた。飲み物が出てくるまで30分、妙飯やスープ、野菜炒めなどの料理が出てくるまで30分、と早速セブ時間を体験することになった。 (文責:野中)
 
Mrs. Limとフィリピン初ショット
 
遅い夕食はホテルのバーで・・・
 
2)ミーティング
 今日のミーティングでは、明日から学ぶこととなるフィリピンでのハンセン病事情に備えて、国内研修で見てきた日本でのハンセン病の歴史と現状、問題点についてもう一度話し合うこととなった。西村先生の助言のもと主に話し合った内容は以下の様である。
a)多磨全生園の感想
 多くの人が感じていたのは「違和感」だった。それは、入居者は400名もいるはずなのに人気がなかったり、全生園が一つの小さなコミュニティの完全体であり、生活に必要とされる施設が全て整っていることに対する「違和感」なのだろう。また、入居者の高齢化もあり、今後入居者が居なくなった後のことも話題に上がり、どうにかして全生園を閉鎖せずに活用しつつ残していく方法はないかという意見もあった。
b)国のハンセン病対策の誤りが明らかになった後も問題解決へと動かなかったのはなぜか。
 過去の過ちを認めることは責任をとることにつながるという恐れがあったのではないか。組織は一旦できてしまうと維持しようとする方向に進んでしまうように、療養所という組織も、雇用された労働力をどうすればよいのかという問題もあり、維持する方向へと進み続けたのではないのか。というような意見が上がった。
c)ハンセン病に対する差別はどのようにして生まれたのか。
 西洋に追いつきたいという時代背景から、deformityのある患者をさらすことを恥と考えたのではないか。「くさいものに蓋」の意識ではないのか。ハンセン病に限らず、病気に対する偏見や差別は自然に発生してしまうものではないのか。というような意見が上がった。
d)これからハンセン病に対する差別をどのようになくしていけばよいか。
 まず社会全体としてできることとして上げられたのが、道徳観念を高める教育、差別がないかをみるチェック機構だ。また、医療者側にできることとして、差別に気づく力、患者や一般人に対して的確に情報を伝えられる能力を備えることが上げられた。
 
 以上のような話し合いを踏まえて、明日知りたいこととして、フィリピンでのハンセン病に対する差別の現状や患者と医者との関係などが上がった。
(文責:横田)
 
8月5日 今日の一言
 
石井:移動日。降り立ったフィリピンは思ったより暑くない。夜のミーティングで、ハンセン病のさまざまな問題についてみんなの意見を聞けて勉強になった。
稲田:セブへの飛行機の中で“salamat=ありがとう”最初に覚えたタガログ語だった。
上原:エンジンの故障にはビックリ!恒例の夜のディスカッションは本当に勉強になるのと同時にみんなの考えの深さに驚きです。(本日の名言:歌は魂で歌おう!)
遠藤:This fellowship program is like a blueberry pie. Sometimes it's sour, but most of the time, It's sweet. it's always sweet if I eat it with the members I like.
大渕:出発前に飛行機のエンジントラブルで少し怯えた。夜のディスカッションはみんなの意見が聞けてとても面白い。
坂上:フィリピン上陸!初の東南アジアだ。南国って感じ。
坂口:出国の日。成田に向かうバスの中で唄った「安里屋ユンタ」は知ってる曲だった。どこか懐かしく優しい旋律が心に染みた。大勢で歌を唄うなんていつ以来だろう。
佐野:本日は移動のみ。明日からが楽しみである。
田名:とうとうフィリピンに到着!離陸の際はエンジントラブルもあり心配しましたが、無事セブの地を踏むことができ感無量です。夜のハンセン病に関したディスカッションでは、1人1人の見解に、はっと思わされることが多々あり、学ぶことが多く嬉しいです。
土居:成田行きのバスの中で歌の練習。本番で上手くハモれますように!離陸はかなり遅れました。夜、会話の中で改めてみんなのすごさを確認。日本教。
名倉:生まれて初めて国外に出ました!感動してます!同じアジアだから少し似たところはあるけど、立ち並ぶ屋台や扉のない家、ジプニーに乗る人々など初めて目にするものがたくさんありました。明日からの研修が楽しみです。
野中:良く寝ました。そして初めてのフィリピン!!!夜は、ナマ先生がミーティングに参加して下さったことで、また1つ新しい視点が加わり充実した時間を過ごせました。先生方や皆から学ぶことの多い毎日です。
山道:ついに来た、セブだ!機内でおぼえたタガログ語の挨拶がMrs. Limに通じなかった(涙)
横田:初めての東南アジア、初めてのフィリピンで、何もかも新鮮!多くの刺激を受けられると思うと楽しみです。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION