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2 実験の結果
(1)油分濃度
 実験開始時(0 DAY)における油分濃度の理論値は、約0.6%である。この時点では、吸着マットは原形を保っており、油はその中に含まれているので、パイル内の油分濃度は均一になりようがない。従って、測定も不可能である。
 1回目のサンプリングは最初の攪拌が行われた開始後2週間時点に行った。既に吸着マットの原形は留めておらず、これまでの実験同様、マット内に含まれるパーライトの存在により、原位置が判明する状況であった。
 この後、約2週間ごとに行う攪拌時にサンプルを採取し、それぞれの油分濃度を測定した。油分濃度の変化を図−II.2.3および4に表す。
 図−II.2.3は、油分濃度の推定値、すなわちオリジナルの測定値からバーク堆肥がもともと有しているn-ヘキサン可溶分(0.03%)を減じ、溶媒抽出力による誤差の係数(0.75)で除する補正を行った数値の、時系列変化を表したものである。一方、図−II.2.4は、以上の補正に加え、サンプリングの際の誤差を加味した補正を行った参考値である(誤差補正の詳細はII-1参照のこと)。
 これら2つの図によると、開始直後の油分濃度は60日後に約1/2程度に、120日後に約1/5〜1/6に低下していることが判明した。一方、120日後以降には油分濃度に大きな変化は見られなかった。これは従来の実験(36m3パイルなど)と共通する結果である。また、開始から30日後までは値が大きく外れたものが見られるが、それ以降はほぼ安定した値となった。
 また、昨15年度の36m3のパイルによる実験と、今回の実験(100m3パイル)による実験において、平均油分濃度(誤差補正済)を比較した(図−II.2.5)。開始時の油分濃度の理論値は今回の実験(100m3パイル)で約0.6%、昨15年度の実験(36m3パイル)で約1.0%であり、いずれも時間経過とともに油分が減少する様子が明らかである。より大規模に行った100m3パイル(16年度)による分解の方が、36m3パイル(15年度)に比して、より安定に減少する傾向が見られる。あわせて、図−II.2.3と図−II.2.6を比較してみると、各時点における油分濃度測定値のバラつきは100m3パイルでの実験の方が小さいことがわかる。
 
図−II.2.3 油分濃度の変化(100m3;誤差補正済)
 
図−II.2.4 油分濃度の変化
(100m3;誤差補正・サンプリング補正済)
 
図−II.2.5 平均油分濃度(誤差補正済)推移の比較
 
<参考>
 
図−II.2.6 油分濃度の変化(36m3;誤差補正済)
(図−II.1.3の再掲)


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