(2)油種の調査
投入したC重油が微生物分解によりどのように変化するかを、ガスクロマトグラフィー(GC)による定性分析により調査した。
図−II.2.7に今回実験に使用したC重油(100ppm相当)のクロマトグラムを、図−II.2.8に代表的な炭化水素(100ppm相当)のクロマトグラムを示す。C重油のピーク分布は、代表的な炭化水素のピーク位置から判断されるように、C17付近を中心とした分布となっている。規則性のあるシャープなピークは直鎖の炭化水素とみられる。ピーク分布の中央付近でベースラインが山のように盛り上がっているが、これは枝分かれした炭化水素などの成分ピークが重なりあって形成したものと考えられる。
以下、バーク堆肥パイルの残留油分の定性分析結果を示す。いずれも1000ppm相当にして分析を行っている。図−II.2.9に58日経過時点、図−II.2.10に115日経過時点、図−II.2.11に169日経過時点における残留油分のクロマトグラムをそれぞれ示す。また、油を投入する前のバーク堆肥そのもののクロマトグラムを図−II.2.12に示す。
図−II.2.7 C重油(100ppm相当)
図−II.2.8 代表的な炭素(100ppm相当)
図−II.2.9 58日経過時点(1000ppm相当)
図−II.2.10 115日経過時点(1000ppm相当)
図−II.2.11 169日経過時点(1000ppm相当)
図−II.2.12 油投入前のバーク堆肥(1000ppm)
図−II.2.9〜11の、油分解が進行している過程のクロマトグラムを見ると、投入したC重油そのもの(図−II.2.7)のピーク分布とほぼ一致するものの、いずれもC重油の組成成分炭化水素のピーク強度は減少していることが確認される。
図−II.2.10〜11の、115日および169日経過時点におけるクロマトグラムを見ると、C28検出部位以降にベースラインの盛り上がりが確認できる。これは投入C重油そのものとは差異のある結果であり、堆肥のブランク物質やC重油分解過程の副生成物などの影響が可能性として考えられる。
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