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環境教育テキスト 瀬戸内海?里海学入門

 事業名 瀬戸内海沿岸域における浜辺の観察教室による実践環境教育
 団体名 瀬戸内海環境保全協会  


6. 瀬戸内海の水質と底質
6.1 水質 ―瀬戸内海の水の性質は変わってきている―
 水質(すいしつ)とは水がどのような性質を持っているかを表すことばです。水が汚れているかいないかは水質で表されます。水質を表す指標としては透明度(とうめいど)や物質濃度などがあります。
 瀬戸内海の海水はかつてはきれいでした。ところが、沿岸の住民の数が増え、大量の生活排水が流入するようになり、さらに沿岸に立地した様々な工場から工場排水が流れ込んできて、瀬戸内海の海水は汚れてきました。
 海水の汚れはいろいろな指標で表されます。例えばCOD(Chemical Oxygen Demand: 化学的酸素要求量)は海水中の有機物を酸化するために必要な酸化剤の量を表しますが、COD値が高いほど、有機物の多い汚れた水ということになります。瀬戸内海の平均COD値の変化は下図に示すように、近年ほぼ横ばいの値となっていて、汚れの進行は止まっていることを示しています。
 
瀬戸内海におけるCODの変化(せとうちネットより)
 
 1960年代後半(昭和40〜45年)、瀬戸内海のCODの平均値は3.0mg/lを超えていたので、瀬戸内海の水質を改善するため、瀬戸内法(6.8節参照)を初め、これまで様々な対策が実施されてきました。
 その結果、汚濁物質等が海に流れ込む量を表すCOD負荷量(ふかりょう)に関して、産業由来のものは半分以下になり、私たちの生活排水由来のものについても下水道の整備により減少しつつあります。
 
瀬戸内海へのCOD負荷量(せとうちネットより)
 
 国は海域の水質を保全するために、以下のような環境基準を定めています。瀬戸内海において負荷量の総量規制が実施されているCODについて、環境基準の達成状況(環境基準類型あてはめの水域数に対する目標達成水域の割合)は、2000(平成12)年度には、瀬戸内海で76%とかなり改善されてきましたが、その後は横這い(よこばい)状態で、顕著な改善は見られていません。
 また、もっともレベルの高いA類型水域での達成率は低い(全国:58%、瀬戸内海:40%)状況にあり、多量の栄養塩類等の流入に伴って、栄養塩濃度が高い、いわゆる富栄養化(ふえいようか)の状態を呈しています。
 
生活環境の保全に関する環境基準
類型 A B C
項目 利用目的の適応性 水産1級
水浴
自然環境保全及びB以下の欄に掲げるもの
水産2級
工業用水及びC以下の欄に掲げるもの
環境保全
水素イオン濃度
(pH)
7.8以上
8.3以下
7.8以上
8.3以下
7.0以上
8.3以下
化学的酸素要求量
(COD)
2mg/l以下 3mg/l以下 8mg/l以下
溶存酸素量
(DO)
7.5mg/l以上 5mg/l以上 2mg/l以上
大腸菌群数 1,000MPN/100ml以下 - -
n-ヘキサン抽出物質
(油分等)
検出されないこと。 検出されないこと。 -
備考)1. 基準値は、日間平均値とする。
 2. 水産1級のうち、生食用原料カキの養殖の利水点については、大腸菌群数70MPN/100ml以下とする。
 注)1. 自然環境保全:自然探勝等の環境保全
2. 水産1級:マダイ、ブリ、ワカメ等の水産生物用及び水産2級の水産生物用
水産2級:ボラ、ノリ等の水産生物用
3. 環境保全:国民の日常生活(沿岸の遊歩等を含む。)において不快感を生じない限度
 MPN: Most Probable Numberのことで、細菌の数の数え方による最確数を示す。
 
瀬戸内海のCOD環境基準(せとうちネットより)
(拡大画面:52KB)
 
瀬戸内海における環境基準あてはめ水域の環境基準達成状況の推移
(せとうちネットより)
注)達成率(%)=(環境基準達成水域数/環境基準あてはめ水域数)×100
出典:「公共用水域水質測定結果」(環境省、平成14年12月)
 
6.2 富栄養化問題 ―赤潮や貧酸素水塊の発生―
 瀬戸内海へのCOD負荷量が減少しているにもかかわらず、瀬戸内海のCOD値が環境基準を満たさない原因のひとつに、「CODの内部生産(ないぶせいさん)」と呼ばれるものがあります。
 
 陸上から海に負荷される時は無機物でCOD負荷量に含まれない窒素やリンが海に入ると、植物プランクトンに取り込まれて有機物に変化し、COD値を上昇させることをCODの内部生産と言います。
 
 海水中の窒素やリンの濃度が高い(富栄養化している)と植物プランクトンの増殖が盛んになり、時には赤潮(6.3節参照)となります。そこで、2000(平成12)年度からはCODに加えて、瀬戸内海で窒素とリンの負荷量の総量規制も始まりました。現在までの瀬戸内海の平均窒素・リン濃度の経年変動は下図に示すとおりです。全窒素とは有機懸濁態、有機溶存態、無機溶存態、の3態窒素の総量を表します。全リンも同様です。
 
瀬戸内海の全窒素濃度の変化(せとうちネットより)
 
瀬戸内海の全リン濃度の変化(せとうちネットより)
 
 窒素・リン濃度の環境基準は以下のとおりです。この環境基準のIV類型は貧酸素水塊(6.4節参照)の発生しない全窒素・全リン濃度として決められています。
類型 I II III IV
項目 利用目的の適応性 自然環境保全及びII以下の欄に掲げるもの(水産2種及び3種を除く。) 水産1種
水浴及びIII以下の欄に掲げるもの(水産2種及び3種を除く。)
水産2種及びIVの欄に掲げるもの(水産3種を除く。) 水産3種
工業用水生物生息環境保全
全窒素 0.2mg/l以下 0.3mg/l以下 0.6mg/l以下 1mg/l以下
全燐 0.02mg/l以下 0.03mg/l以下 0.05mg/l以下 0.09mg/l以下
備考)1. 基準値は、年間平均値とする。
 2. 水域類型の指定は、海洋植物プランクトンの著しい増殖を生ずるおそれがある海域について行うものとする。
 注)1. 自然環境保全:自然探勝等の環境保全
2. 水産1種:底生魚介類を含め多様な水産生物がバランス良く、かつ、安定して漁獲される
水産2種:一部の底生魚介類を除き、魚類を中心とした水産生物が多く獲れる
水産3種:汚濁に強い特定の水産生物が主に漁獲される
3. 生物生息環境保全:年間を通して底生生物が生息できる限度
 
 また、瀬戸内海における全窒素・全リン濃度の環境基準あてはめ海域分布は以下のようです。
 
瀬戸内海の全リン・全窒素濃度環境基準(せとうちネットより)
(拡大画面:65KB)


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