BLG製品データ報告書式記入に関する指針
(GUIDELINE ON THE COMPLETION OF THE BLG PRODUCT DATA REPORTING FORM)
1. 全節にあてはまる全般的コメント
1.1 ほとんどの特性にはそれに関する下記のようなボックスが4個備えられている。
.1 量(Qual):これは、報告された数値に関する追加情報が求められる場合にこれを提供するのに用いられる。本ボックス記入に用いられるデータは下記より選択しなければならない。
[ブランク 条件は必要でないか、または該当しない
> それより大きい
< それより小さい
〜 おおよそ
E 推定(その他の条件のいずれかと同時に用いることが可能である)]
SVC 飽和蒸気濃度(吸入毒性について、毒性が>SVCである、従って有害でないことを示すのに用いられる)
NF 難燃性(引火点、自己発火温度および爆発限界に関して、その製品が有害でないことを示 すのに用いられる)
.2 下限(Lower Value):数値が1種類しかない場合にはこのボックスに記入すること。数値範囲として入手されているならば、低い方の数値をこのボックス内に記入すること。たとえば混合物または不純物を含む製品は沸点より沸点温度範囲となるため、初期沸点をLower Valueに、乾点をUpper Valueに記入する。ほとんどの場合このLower Valueが採用されることになり、通常はこれだけが記入すべき数値であるのだが、Explosion Limits(暴露限界)の場合には Lower ValueとUpper Valueの両方が必要である。
.3 上限(Upper Value):暴露限界位牌にはこのボックスに記入する必要はないが、有用な情報となることもあるので、情報が入手されているならば記入すべきである。
.4 参照とコメント(Reference and Comments):データの出所を追跡できるよう記入すべきである。企業情報の参照、公開されている文献、または類似化学物質を参考とするなどによる推定の正当性の根拠でもよい。
1.2 たとえば吸入毒性のように、特性によっては、測定することが適切であるとの指摘がない限り測定されていないものもあることが認められている。それでもなお、これらのボックスに推定値を記入し、Reference(参照)ボックスにその推定の根拠を述べておくことが不可欠である。
2. 第1部:製品名
2.1 この部分はその製品の本質に関してできるだけ多くのことを示すのに用いられる。
直接関連性のないボックスもある。たとえばChemical Abstract Services番号(CAS No.)は通常は、技術的に純粋な製品またはプロセスだけに適用される。
しかしながら分類プロセスを推進し、その製品が別の名称のもとで処理されていないことを確認するための機構となるので、この部分はできるだけ記入するようにすることが望ましい。
2.2 EHS番号:
GESAMP EHSWGで使用する番号
2.3 BMR番号:これはIMOが使用する参照番号で、IBC CodeおよびMEPC.2/Circsに記載されている三国間合意におけるすべての化学物質を識別するものである。
製品名は国内法および輸出入の場合は英語名がIBC codeに登録され、輸送書類に書かれる。
2.4 別名(Synonyms):これらは海上輸送商品名、主な化学物質名および発送品名のボックスに見られる名称以外の製品名である。従って、それほど知られていない名称であることもあり、以下のいずれかによりタイプ(Type)の部分に記載する必要がある。
.1 化学名
.2 ISO名
.3 種名
.4 商品名
.5 EHS名
.6 IUPAC名
.7 CAS名
2.5 組成(Composition):この部分は、混合物の成分およびいかなる製品であってもその不純物を包含する場合に用いること。この部分の各記入事項には、百分率およびタイプ(成分 C または不純物 I のいずれかとして表示する)を含むこと。この情報が秘密事項であるような状況では、報告状況にそのことを別途記し、各成分に対する検査を可能として、すべてのハザードが考慮されるようにすること。
3. 第2部 物理的特性
3.1 本部分に照会される製品の物理的性質をすべて記入して、適正な輸送要件が指定できるようにすることが重要である。
3.2 物理的性質に関する本部分記入の場合には、本草稿の第1.1節および1.2節に特に注意を払うこと。
3.3 下記の製品に関しては、物理的性質の部分に製品別の追加注記が該当する。
.1 その製品が可燃性でないならば、引火点、自己発火温度、爆発限界および最大実験安全ギャップ(MESG)のQualボックスに‘NF’を記入する。
.2 引火点が>200℃であり、かつ自然発火温度がまだ測定されていないならば、これを>200℃と推定することが安全である。この温度は製品をIBC Code第17章の対象であるとして特定するカットオフ値である。
.3 融点が明らかに測定できない製品に関しては、流動点を融点と同等であると見なす。このような場合には、参照資料に‘(流動点)’という用語を記載すること。危険物輸送における国連勧告の液体の定義を参照すること。
4. 第3部 化学的特性
4.1 水反応性指数
このパラメータはその製品の水との反応性(ハザードが生じることになる)を示す指数である。この性質に関しては定量的な定義がないため、下記のような事例を伴った指針が与えられている。ただし比較の目的に用いることが前提である。
.1 WRI=2 水と接触して発熱し、毒性、可燃性または腐食性の気体あるいはエーロゾルを生じるあらゆる化学物質に適用される。
.2 WRI=1 水と接触して発熱し、非毒性、非可燃性、または非腐食性の気体を生じるあらゆる化学物質に適用される。
.3 WRI=0 水と接触しても上記1または2の評価を理由づけるような反応を生じないあらゆる化学物質に適用される。
5. 第4部 :哺乳類に対する毒性
5.1 急性吸入毒性
5.1.1 吸入データよりも経口および皮膚毒性データの方がより広い範囲で利用可能であることは認められている。吸入データは作成に経費がかかること、およびその製品が揮発性でない限り、またはその他の暴露経路によって有害作用が生じていない限りは、通常は吸入データ測定の根拠が理由づけられない。それでもなお、これらのボックスに記入する事が必要であり、データが直接作成されてないならば、他の製品との比較によるデータでもよい。
5.1.2 この性質の記入の手助けとなるよう、下記の指導案が与えられている。
.1 測定データが利用可能であれば報告すること。
.2 このLC50値がSVC以下であるならば、これを用いて輸送要件を指定する。それ以外にはLC50は>SVC(有害でない)と考えられる。
.3 吸入毒性が室温では標準蒸気濃度より高い場合には、これをQualボックス内に‘>SVC’と報告すること。
.4 吸入毒性が測定されていないならば、Qualボックスに‘E’と記入して、その数値が推定値であることを示し、またReferenceボックスにその推定の根拠を示すこと。
4.3.2 各項目の記入要領と船型要件との対応
内容はESPH9/WP1 ANNEXのCRITERIA FOR ASSINING CARRIGAGE REQUIREMENTS FROM PRODUCTS SUBJECT TO THE IBC CODEをもとに物質データからIBC codeを作成しやすいように構成しなおしたものである。
今回改訂では国際的な動向である「危険有害性の分類調和」が背景にありデータとして必要な物理危険性については国連試験法(国連分類調和・危険物輸送専門家委員会で作成している国連勧告にもとづく)による基準との整合性を考慮しているので同委員会の動向に関する情報収集を行った。
船型要件の基準の明確化、変更については健康毒性も含めTest and Criteria manual(試験法と基準、国連勧告の付属書)を参考にしている。
1. IBC code 17章の規制を受ける安全、環境上の最低基準
1)〜11)に該当する場合S、12)に該当する場合PとIBCコードのd欄に記載する
1)LC50(吸入、ラット、1時間)の値が20mg/1/4hr 以下。
2)LD50(経口、ラット)の値が 2,000mg/kg以下。
3)LD50(経皮、ウサギ)の値が 2,000mg/kg以下(皮ふ吸収性物質)。
4)長期間暴露されるとほ乳類への毒性
5)皮膚の感作性をおこす
6)呼吸器の感作性を起こす
7)皮膚への腐食性がある
8)水反応性指数(WRI)が1以上
9)危険な反応を防止するため不活性化、重合禁止、安定化、温度制御又はタンクの環境制御が必要。
10.1)引火点が23℃(密閉式)以下
10.2)爆発限界の上下の差が20%を超える
11)自然発火温度が200℃以下
12)GESAMP ハザードプロファイルにより船型1、2、3が要求されるもの(第8部 参照)
2. データ様式の各項目とIBC code各欄の対応
第1部 製品名
IUPAC名が望ましいが複雑になる場合は技術的に正確な名称でもかまわない。
製品名は国内法および輸出入の場合は英語名がIBC codeに登録され、輸送書類に書かれる。
a欄−品名
名称を記載する
o欄−特別要件
第15.1節から第15.10節に名称が記載されているものはそれぞれの節が適用される
第2部 特定する番号
従来の国連番号は参考事項となりIndexにのみ記述される。
UN番号については n.o.s に該当する場合は記入しない。
B欄−ばら積み貨物海上参照番号(BMRN)
可能な場合番号を記載する
第3部 製品の化学的特定
3.1 化学式:製品の化学式を記入
3.2 化学的種類:製品の化学的特性がわかる種類名とする
3.3 輸送中の状態:これについては液体、溶液(%)、溶融いずれの状態で輸送するか記述すること。水溶液は慣習上溶液(solution)と表現される。
品名に反映される場合がある(「溶融状のもの」、「XX%以下の溶液」等)
3.4 構造式:なるべく分かりやすい構造式を記入する
特に該当する欄はないが危険有害性の確認のため必要。
酸類については
o欄−特別要件
第15.11節は下記以外のすべての酸に適用される。
.1 有機酸である−15.11.2-15.11.4および15.11.6-15.11.8が適用される、または
.2 水素を発生しない−15.11.5を適用する必要がない
第4部 組成
特に該当する欄はないが危険有害性の確認のため必要
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