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第5部 物理的特性
 分子量、密度、引火点、融点、水溶性、粘度、蒸気圧、自然発火温度、爆発限界、輸送・陸揚温度を記入。
 引火点、自然発火温度、爆発限界、蒸気圧、輸送・陸揚温度は引火性の判断に必要。
 密度、水溶性、融点、粘度(危険物輸送における国連勧告の液体の定義を参照すること)はo欄やGESAMPハザードプロファイルの決定に必要である。
5.1 引火性
 貨物は下記のクライテリアに従って可燃性であると分類される。
 
.1 引火点および爆発限界
IBC Code記述子 引火点(摂氏温度)
高度に引火性 ≦23
引火性 ≦60ただし>23
 
d欄−危険性 引火点23℃以下(及び輸送温度が引火点より15℃以内)で爆発性/可燃性範囲(空気中の百分率(体積)表示が20%を越える場合 S
e欄−船型(シップタイプ)
 船型は下記のクライテリアにより指定される。
船型1 引火点23℃未満で爆発範囲>空気中50%(v/v)の場合該当する。
船型2 引火点23℃未満で爆発範囲>空気中40%(v/v)の場合該当する。
船型3 引火点23℃未満で爆発範囲>空気中20%(v/v)の場合該当する。
 
F欄− タンクタイプ
 タンクタイプは下記のクライテリアに従って指定される。
.1 タンクタイプ1G、
 引火点23℃未満で爆発範囲>空気中40%(v/v)の場合該当する。
 
g欄−タンクベント
 タンクベントの取り決めは下記のクライテリアに従って指定される。
.1 制御:
 引火点<60℃の場合該当する
 
h欄−タンク環境制御
 タンク環境制御条件は下記のクライテリアに従って指定される。
 不活性:引火点23℃未満で可燃性限界値>40%の場合該当する。
 
i欄−電気機器
 製品の引火点が≦60℃である、または製品がその引火点から15℃以内に加熱される場合には、電気機器により火花が生じて大気を通して伝達されるリスクが増加する。このため下記クライテリアで引火点の欄に記入する。
 
i'''欄 引火点>60: 引火点>60℃であれば Yes
引火点60℃以下の場合は No (i' i'' の欄も記入する)
引火性でない場合 NF
 制限:可燃性(引火点≦60℃)の場合該当する。
 
j欄−計測
 制限:可燃性(引火点≦60℃)の場合該当する
k欄−蒸気の検出
 可燃性(F):(引火点≦60℃)場合該当する。
o欄−15.19 引火点23℃未満で可燃性限界値>40%場合該当する。
 15.19.6 可燃性の(引火点≦60℃)場合該当する。
 
.2 自然発火温度
d欄−危険性 <200℃の場合はS
 
e欄−船型(シップタイプ)
船型1: 自然発火温度<65℃の場合該当する。
船型2: 自然発火温度<200℃の場合該当する。
船型3: 自然発火温度<200℃の場合該当する。
f欄−タンクタイプ
 タンクタイプは下記のクライテリアに従って指定される。
 タンクタイプ1G: 自然発火温度<65℃の場合該当する。
h欄−タンク環境制御
 タンク環境制御条件は下記のクライテリアに従って指定される。
 不活性:自然発火温度<200℃の場合該当する。
i'欄
 下記の表では温度クラスを上記に定義した最高表面温度と関連づけている。
 
クラス 最高表面温度(℃)
T1 450
T2 300
T3 200
T4 135
T5 100
T6 85
 
 電気設備の温度クラスは、その製品の自然発火温度に近いがそれより低い
 最高表面温度を選択することにより指定される
 
o欄 自然発火温度<200℃の場合15.19が適用される
 
5.2 MESG(最大実験安全ギャップ)
 国際電気技術委員会(IEC)により以下のように定義されている。
 その設備のあらゆる表面のあらゆる部分における、その設備の定格内での実質的操作条件のもとで(およびこれに加えて過負荷が認められる場合には過負荷の際に)到達される最高温度で、これが爆発性雰囲気に暴露されるとリスクが拘わる可能性がある。(引火点が60℃以下の場合のみ)
 
 下記クライテリアによりi''欄が決まる。
 
  20℃におけるMESG MIC比
i''欄 IIA ≧0.9 >0.8
IIB ≧0.5 <0.9 ≧0.45 ≦0.8
IIC <0.5 <0.45
 
5.3 その他の物理的性質
密度  GESAMP HP Colum E2 F/S
蒸気圧  IBC codeの対象となるかIGC codeの対象か判断する
 
沸点  o欄 特別要件
37.8℃以下なら15.14が適用される
GESAMP HP Colum E2 E
融点  o欄 特別要件
融点が0℃以上のものに16.2.9が適用される
融点が15℃以上のものに16A.2.2が適用される
GESAMP HP Colum E2 F
粘度  o欄 特別要件
汚染分類がYで粘度が50mPa.s(20℃)以上の場合16.2.6が適用される
GESAMP HP Colum E2 Fp
水溶性  l欄 消火器
10%以下ならA(耐アルコール性泡消火器)
10%以上ならAまたはB(通常泡消火器)
GESAMP HP Colum E2 D
熱安定性  o欄 特別要件
熱安定性が悪い場合15.21が適用される
 
第6部:化学的特性
6.1 水と反応する物質
1 これらは下記のような3種類の群に分類される。
 
水反応性指数
(WRI)
定義
2 水との接触時に発熱し、毒性、可燃性または腐食性の気体あるいはエアロゾルを生じる化学物質
1 水との接触時に発熱し、毒性、可燃性または腐食性のない気体を生じる化学物質
0 水との接触時に、1または2の等級の根拠となる反応を生じない化学物質
 
d欄−危険性 WRI>0場合はSを記載
e欄−船型(シップタイプ)
船型2 WRI=2の場合該当する。
船型3 WRI=1の場合該当する。
f欄 タンクタイプ
1G WRI=2
h欄−タンク環境制御
 タンク環境制御条件は下記のクライテリアに従って指定される。
 乾燥 WRI=1、2の場合該当する。
l欄 WRI=0なら C(水噴霧消火器)
WRIが1以上なら D(ドライ粉末消火器)
o欄 特別要件
WRI=1の場合15.16.2が適用される
 
6.2 空気との反応性、危険な反応防止(重合禁止又は安定化)の必要性
 これは、有害反応防止または貨物が曝気されないようにするために講じる必要のある特殊措置をいう。下記の事項が含まれる。
.1 禁止剤:腐食、酸化または重合等の望ましくない化学反応を遅らせる、または停止させる化合物(通常は有機化合物)を添加すること。
.2 安定化:化合物、混合物または溶液をその本来の形態あるいは化学的性質から変化しないようにする物質(安定化剤)を添加すること。
.3 不活性化:タンク内のアレージ空間に気体(通常は窒素)を添加して、可燃性の積み荷/空気混合体の形成を予防すること。
.4 温度制御:有害反応を防止し、または粘度を低く保って製品が十分ポンプアップされるようにしておくために、貨物の温度を特定範囲内に維持すること。
.5 封入・通風:製品毎に必要な場合適用
(なお以前の酸とアルカのコンタミネーションに関する15.16.1は削除された。)
 
d欄−危険性 該当する場合は S
h欄−タンク 環境制御
 タンク環境制御条件は下記のクライテリアに従って指定される。
.1 不活性: 空気と反応して危険性を生じる
.2 乾燥 WRI≧1
.3 パッド:製品毎に必要な場合適用
.4 ベント:製品毎に必要な場合適用
o欄−特別要件
禁止剤を必要とする場合15.13が適用される
輸送時に温度制御の必要な場合16.6.2・.4が適用される







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