3. 分類調和危険物輸送委員会の検討状況調査
3.1 危険有害性の国際的分類調和(GHS)について
1952年にILOで化学危険物の分類表示システムに関わり始め、89年から同機関は既存システムの調和活動に着手した。
92年にはリオデジャネイロで開催の国連環境開発会議でも調和活動は議題にのぼり、アジェンダ21のもとで採択され、検討が開始された。
オタワ会議では主に米国・カナダの政府および業界関係者、組合代表者が出席、また欧州委員会、欧州各国、国際海事機構も出席して以下の4つの分類システムが主たるシステムとして検討された。
・危険物輸送に関する国連勧告(UNRTDG)
・欧州のサプライ・システム(EU)
・米国の現場規制(OSHA)
・カナダの現場規制(WHMIS)
オタワ会議は調和活動を次のように定義した。
「化学品の分類および関連情報を伝達する上での、共通性かつ整合性のあるシステムを構築する活動。また、その活動から輸送時の安全性、消費者および自然環境の保護を可能にする適切な方法が導かれる。」
また、一般的原則として下記項目が採択された。
・活動の対象範囲は危険物の分類および関連情報の伝達。
・危険性とは化学物質および混合物の固有物性をさす。
・関心のある機関は活動に積極的に参加するべき。
・新システムへの移行措置として臨時措置の構築も検討するべき。
・化学危険物の情報を伝達する手段は包括的であるべき。
・既存のテスト・データを利用するべき。
以上の方針に基づき2002年には、物理危険性については従来の国連危険物輸送専家委員会の勧告、試験クライテリアマニュアルを取り入れた(容器輸送)。
一方、健康有害性・環境有害性についてはOECDwg/IOMCを中心に検討された分類が採用されたが船舶によるばら積み輸送では海洋汚染性等環境・健康有害性が考慮されるので影響を受けることとなる。表示等も含めてILOで検討された最終案が完成したので2003年にGHSに関する勧告書として「Globally Harmonized System of Classification and Labeling of Chemicals」が発刊された。
GESAMPのハザードプロファイルの見直しにより汚染分類が変更されるがIBCコードについても物理危険性のクライテリア見直しが国際的分類調和に基づいて行われている。GHSにおいては、物理危険性として
引火点
自然発火性
禁水性
反応性
腐食性
等が対象となっている。
このため国連分類調和・危険物輸送委員会で情報収集を行い次のようなGESAMPハザードプロファイルとGHSの危険有害性の比較を行った。
これにより今後もGHSとGESAMPの整合性の問題は残っていると考えられる。
4.1 目的
IMO BLGではIBCコードの見直しがクライテリアの明確化と分類調和への対応とを考慮して行われている。またこの見直しにより申請者が必要なデータやそれに基づく船型要件を容易に理解できるよう改訂される予定である。
本調査ではIBCコードの改訂により船型要件基準がどう変わるのかその影響を調査している。 またIBCコードのデータ様式は国内の船舶安全法危規則に基づく海査407号にも取り入れられておりその改訂案についても準備している。容器輸送と同じく、申請者が理解しやすい様式・記入要領を含めて改定案を作成する予定である。
本年度はESPH10/WP1 ANNEXのIBCコード見直し案をチェックするとともに国内法規制への対応案を作成した。MEPC52/WP.11/Add.1のANNEX2においてはIBC Codeの21章として改訂されている。
ESPH10において事務局から提案された文書(ESPH10/WP1 ANNEX)をもとにデータ項目、記入要領の修正をチェックした。改訂内容では基準を明確化することの他大きな点は従来の材質指定(Column m)の項がなくなったこと、Column bの国連番号が削除されIndexの参照事項となったこと等である。
また国内の海査407号改訂案についても様式の改訂とともに申請者が記入しやすいよう参考となる判定基準、試験法等を取り入れる方向で全体構成を検討した
4.3.1 製品データ報告書式
ESPH10/WP1 ANNEXにあるデータ様式を翻訳し、各項目の内容をチェックした。
現行の項目に比較して船型要件の基準に関連する項目に絞られているので船型要件との関連がわかりやすくなっている。
各項目についても危険有害性の分類調和(GHS)を意識して可能な限り国連勧告/試験法対応する名称であり、GESAMPのハザードプロファイル、提案したい船型要件についても記述することになる。
次ページ以降にESPH10、MEPC52で示された新様式のデータ項目とその記入要領を掲げるが海査407号のデータ様式を改訂する場合に参考となる。
BLG製品データ報告書式(海査407号データ様式 改訂案)
タンカー運送を行う液体化学薬品又は有害液体物質の特性
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