台風9918号(気象モデルによる海上風を入力)
図4-2-4(b) |
風速・波高・周期の時系列(T9918; 有明・八代海域) |
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図4-2-5 |
気象モデル(MM5)を用いた場合の海上風と波高の推算値と実測値の比較 |
気象モデルによる海上風推算値は、図4-2-4(a)、図4-2-5上段をみると、従来の方法である図4-2-1(c)と比べ、よく再現されている。時系列(図4-2-4(a))では、気象モデルによる海上風推算値のほうが、実測値に比べて風速の立ち上がりが遅れているように見える。その海上風推算値を入力として波浪推算をした結果と実測値との比較をした図4-2-5下段をみると、図4-2-3下段と比べ、高波浪時での対応がよいことがわかる。時系列(図4-2-4(a))をみると、海上風が実測値よりも遅れていると考えられるため、波浪も遅れていると考えられる。
1事例だけであるが、気象モデルによる海上風推算値は、複雑地形である周防灘海域や有明・八代海域で有効な手段であると考えられ、その結果、波浪推算の精度も向上すると考えられる。
4.2.4 波浪推算のまとめ
周防灘海域、有明・八代海域に大きな影響をもたらした3つの擾乱と仮想台風に対して波浪推算をおこなった。入力値とした海上風は、傾度風モデル、マイヤーズの式、マスコンを用いて算出している。波浪推算の結果は、苅田の実測値と比較すると、ピークの位置は近いものの、波高の値などは大きく違っている。波高が低めにでており、これは、推算風速が現実よりも小さいためであると考える。
また、別途研究テーマでおこなわれている気象モデルを用いた海上風推算値を入力とした波浪推算もおこなった。その結果、波高変化の再現性が向上した。これは、対象領域のような複雑な地形において、従来手法(傾度風モデル+マイヤーズの式+マスコン)よりも、海上風の推算精度がよく、波浪推算値の再現性がよくなったと考えられる。
図4-3-1〜2に高潮推算し格子図および水深図を示す。外側境界では気圧に対応した水位を与えている。それぞれ、各台風ごとにWave Setupを考慮したケースおよび従来の考慮しないケースの2ケースを計算した。
図4-3-1 周防灘海域水深図
図4-3-2 有明・八代海域
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