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1988/09/26 読売新聞朝刊
[社説]盛り上がる国連再生の機運
 
 第四十三回国連総会が開幕し、二十六日(現地時間)から各国首脳らによる一般討論演説が始まる。
 アフガニスタンをはじめ、イラン・イラクなどの地域紛争の政治解決をめぐり、国連の調停活動は、このところめざましい成果をあげ、国連の再活性化が際立っている。こうした好環境の下で行われる一般演説には、レーガン米大統領のほか、シェワルナゼ・ソ連外相、ゲンシャー西独外相らが演壇に立つ。
 地域紛争問題や、それに関連した国連の平和維持活動、さらに南北朝鮮問題などが討議の中心課題になるものとみられるが、私たちは、厳しい現実を一歩一歩着実に踏み越えながら再活性化してきた国連が、さらに、世界の平和と安定のために、その機能を十分に発揮し、成果を積み上げるよう望みたい。
 十月上旬には、総会と並行して、デクエヤル事務総長の仲介により、イラン・イラク両外相の直接和平交渉も再開される予定だし、また「朝鮮半島における平和の推進と和解および対話」という議題で、南北双方の代表が総会本会議で演説する道も開かれた。いずれも建設的な方向での進展を期待したい。
 国連が再活性化してきた背景として、デクエヤル事務総長ら国連関係者の地道な努力を忘れるわけにはいかないが、最大の要因は、何といっても、米ソ両超大国の“対話”をはじめとする最近の東西関係の進展だろう。
 米ソ両国が対立関係にある時には、「国際の平和及び安全を維持すること」(国連憲章第一条)を目的に設立されている国連も、その機能を十分に発揮できないのが、これまでの実態だった。その点で、ゴルバチョフ書記長の下でのソ連の外交姿勢の変化と、それを受けた米ソ関係の好転が、国連の再生に果たしている意義は大きいと考える。
 また、米ソ両国がそれぞれ、これまでの“国連離れ”の態度を改め、国連の諸活動への回帰の動きをみせていることも注目してよい。特に米国が最近、国連の行革の成果に一定の評価を下して、国連に対する拠出金の凍結解除を明らかにしたことは、深刻な財政危機に悩む国連にとっての朗報だろう。
 このように世界の平和にとって好ましい機運が高まる中で、わが国は、二十八日(現地時間)に当初予定されていた宇野外相に代わり加賀美国連大使が演説に立つ。
 宇野外相は、この演説について「地域紛争が終結に向かう中で、国連が、さながら息を吹き返すような活躍をしていることを歓迎し、日本としても国連の活動を大いに支持していくことを強調したい」(報道各社インタビュー)と述べ、国連の平和維持活動の全面的支持を打ち出す考えを表明している。
 わが国としては、平和維持活動に対し、これまでの財政的支援に加え、国連監視団への要員派遣についても、積極的に協力することを改めて国際的に公約することになる。
 要員派遣は、輸送、通信、医療や選挙監視などかなり広範な分野にわたり、数十人あるいはそれ以上の多数の単位での派遣を求められることも予想される。
 わが国は、この点の対応策がまだ不十分だ。早急に要員派遣の枠組みを整備し、「平和への貢献」に万全を期す必要がある。
 
 
 
 
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