分科会24 鶴岡市
企業の支援を引き出すノウハウGET
ボランティア・市民活動と企業の良縁作り
コーディネーター 佐藤 一良(鯉川酒造・余目町)
事例報告者
長沢 恵美子(日本経団連1%クラブ事務局・東京都)
斎藤 三夫(三創建設(株)・山形県)
1. ねらい
NPOが社会貢献するために、企業に対する寄付や協賛金をお願いする場面が、今後数多く登場するであろう。その事から、今回の分科会は、一つのテーマを設定し、そのプレゼンテーションを考え、企業に対し積極的なアピールを行い、NPOが企業を取り込む方法を学習する。
2. 話し合いの記録
講演
新しい価値創造のための企業とNPOのパートナーシップ 長沢恵美子氏
(1)日本の社会はどこに向かうのか
(2)市民社会の姿「脱規制社会」「脱行政依存社会」「透明で小さく効率的な政府」
(3)市民社会の担い手としてのNPO
(4)市民社会における企業の姿−社会から信頼を得て存在する社会的責任ある企業−社会の課題に気づき、自発的に課題に取り組み、直接対価を求めることなく、自らの資源を投入すること
(5)NPOと企業による「協働」について
(6)支援・連携に当たって重視すること
(1)運営の透明性(2)活動実績(3)ミッションに対する共感→最も大きい関心(4)プログラム企画・提案力
「支援」から「協働」へ・・・相互の専門性の理解と協働のルールづくりへ
事例報告(1)家屋の補修貢献について 斎藤三夫氏
要介護老人の1人暮らしなどの家屋補修を行っている。社会に貢献できると思い取り組んだが、最初の頃は売名行為だと中傷された。建築組合で取り組もうとしたが、費用負担について不満を言う者やどこがやるかなど、決まるまで面倒であり、自分の会社だけでやることにした。マスコミにも知らせず、無償で続けてきた。
事例報告(2)「亀の尾サミット」のイベントから 佐藤一良氏
創造ネットワークの活動事例を通して学んだこと
(1)想いが大変強いこと
(2)責任の所在をはっきりしていること
(3)行政を巻き込めるイベントとして企画して、米づくりを始め合鴨農法や井戸水を使うなどこだわって徹底したこと。
マスコミ対策が非常にしっかりしているなど、町づくりの基本的なあり方の事例を発表。
研修内容
3つのグループに分かれ、それぞれにテーマが与えられ、プレゼンテーションを作成し、企業に提案する。
(1)空きビルの利用を考える
〈目的〉(1)中心市街地の活性化
(2)人の流れを取り戻し、企業がいきいきできる街
(3)異年齢の活発な交流のある街
〈方法〉(1)24時間年中無休のボランティアセンター設置
(2)ファミリーサポートセンターの設置
(3)ギャラリー・サークル活動・会館などの貸し館
(4)和風でインターネットもできる100円喫茶を作る
(5)市民相談室の設置
(6)快眠誘いの間の設置
(7)図書コーナー
〈企業への要望〉
(1)改装作業
(2)食器など備品の提供
(3)車いす・パソコンの寄贈
(2)在日外国人の住宅問題を解決するため、企業の未使用住宅の有効活用
〈目的〉(1)未使用店舗および付随建物の有効活用
(2)企業の家賃収入
(3)在日外国人による語学講座の社内開設
〈方法〉(1)企業のみ使用建物を利用し、国際交流の開設
(2)地元住民との異文化交流の場の設置
(3)入居外国人をNPOにて事前調査し、企業へ入居の推薦を行う
(4)入居外国人を企業の外国語講座への無償派遣
(5)家賃のNPOサイドの管理
(6)日本で生活する上での習慣、マナーのNPOによる教育
(7)入居外国人と企業従業員との交流による海外赴任時の海外マナーの習得
(8)企業、地元への定期的活動状況の報告
(3)NPOのスキルUPをはかろう
〈目的〉より住みよい社会を創るために
〈方法〉(1)研修会の実施(平成15年度計画)
・NPO、ボランティアの基本計画
・人材マネジメント
・広報戦略、会計
・経営戦略
・資金調達
・協働(NPO・・・企業、NPO・・・行政)
(2)シンポジウムの開催(平成16年度)
NPOと企業、行政が協働してできること
(3)展覧会の開催(平成17年度)
・モナリザ(ルーブル美術館所蔵)をみよう。モナリザグッズの販売のためのアイディア募集。
3. 成果
特によかった点は、3人の講師の方々が企業の代表者、窓口担当者、NPO担当者に扮して、3つのグループそれぞれが提示したプレゼンテーションに対し、実に辛辣な質問を浴びせる場面は、迫真なものがあり、そのやりとりは、今後のNPO活動に大きな力を与えてくれたものと確信。
NPO活動は、漫然としたボランティア活動に終始することなく、その地域において存在感を示すためには、そのNPOのメンバー一人ひとりが、しっかりとした理念と飽くなき行動力を持ち続けなければならないことを学んだ。
4. 課題
(1)信頼とダイナミズムをいかに持ち合わせるか。
(2)組織から個へ(個の感性を磨く)。
(3)NPOの知的財産管理をどのようにしたらよいか
(4)NPOのメンバーの知的探求
(5)情報収集とその管理
5. 参加者の声
予め参加者の中から無作為に、この分科会を選択した理由を聞いた。「企業の参加未だ無し」「行政主導」など「どうしたら企業に参加してもらえるか」という切実な問題を抱える参加者がほとんどであった。
企業訪問し協賛してもらうノウハウを少しでも自分のものにした喜びの声があった。
6. 運営サイドから
(1)分科会前夜の交流会が、分科会別にテーブルを囲んだ企画がよく、分科会当日は、仲間意識が働き、近親感にあふれ、テーマの核心をつく無駄のないやりとりができた。
(2)コーディネーターが自社の新酒を利き酒にしてくれた意外性は、参加者の脳を刺激し、迸しるアイデアとなって現れたことに大いなる感謝。
(3)時間配分は、神業的であった。実に無駄・無理のない一日であった。講師の方々に感謝。
(4)JYVAとは、パーフェクトにやり抜ける指導力抜群の法人組織。女性指導者のため息が漏れるほどの並はずれた捌き方に感動。
ではまた、お会いするときまで、ごきげんよう。
おとながまもる“こどものじんけん”
〜未来を担う子どものために、大人ができること しなければならないこと〜
コーディネーター 菊池 修(フリースペース遊民館・愛媛県)
講師 澤畑 勉(チャイルドライン支援センター・東京都)
1. ねらい
いじめ・虐待・少年犯罪の増加・ストレス社会・不登校・コミュニケーション能力の低下・・・子どもを取り巻く社会の厳しい状況の中で、周りの大人たちが子どもたちの心を受け止め、一人ひとりが大切な存在であることを、子どもたちにそして大人たち自身にも伝えていくために何ができるのかを一緒に考えます。
2. 話し合いの記録
澤畑氏 近年、少子化が進み行政施策として「子育て支援」という名の相談窓口が増えてきた。個々の相談窓口の役割分担をふまえ、それぞれの窓口担当者の顔が思い浮かぶ関係(役割の限界ぎりぎりまで動く人か?かなり手前で引いてしまう人か?私達とスクラムが組め共にやっていける人か?等々)がネットワークの本来の意味だと思う。単に機関名と連絡先を知っていることでは無い。
相談とは、相談に行った者が終わった時に聴いてもらえてよかったと思ってもらえたか?につきる。単なる経験や持っている資格や学歴をちらつかせる人は自分の価値観を押しつけていることに他ならない。相談者に寄りそう(聴く)とは、相談に来た人が「寄り添ってもらえた(聴いてもらえた)」と思ってもらった時のみ成立する話なのだ。相談を受ける者(子どものいのちと向き合う現場に居る者)は相手に信頼されなければならない。こんな時代に子どものいのちをしっかり見つめ、命を張って取り組むソーシャルワーカー・児童福祉士がおり、児童虐待に取り組む保健師や保育士がいる。
不登校・いじめ・虐待・少年犯罪、子どもに命を断たれ残された家族のケアなど、「ケア」する人たちの「ケア」が必要になってきている。
続いてコーディネーターの菊池修氏よりの自己紹介が行われ、引き続き参加者より自己紹介をしてもらいたい、その方法について4コママンガ風に起承転結のある話をそれぞれこの間に考えてもらった。
菊池氏 愛媛で子どもの自殺が全国的に見てもとても多い時、相談にかかわり、いじめの多さと深刻さに驚く。子どもの自殺を通して学校というところは命をかけてまで行くところでないというのが、始めた動機。子どもたちの緊急避難所として「遊民館」を始める。
遊民館をやって、子どもの問題を多くの人が抱えていた。これまで気が付かなかったことが表にできた。
子どもの問題と思っていたことが親からのプレッシャーであったり、その意味で教師や著名人の子どもは周りの期待の多さと重さにおいてハイリスクをおっているといえる。
参加者の自己紹介
17歳の青年から孫がいる方まで参加26名、講師2名、スタッフ5名の計33名。参加者の顔触れは、保育園や児童館、行政で児童に係わる方、不登校経験者や身内に不登校児のいる方、あるいは児童のことに関心のある県議、大学でこれから児童のことを学ぶという学生等。初めて参加し今回で終わりと知り残念がる福島からの参加者に菊池氏は福島に行くことを約束。
途中鶴岡の参加者よりチャイルドラインの話が出たところで澤畑氏よりチャイルドラインの報告があり、(後述)ギターを持参して参加した遊民館の準さんはお説教はいやだという自作の曲を披露された。
最後に長野からの参加者よりビデオ“ドングリ”の紹介があった。
澤畑氏 2月8日(土)鶴岡に約40〜50名の方達が集まり第1回のチャイルドラインの研修会が行われた。鶴岡のまちに庄内地方から40〜50人の子どもの人権やいのちについて考えていく人々が結集したということ。まちが変わるチャンスだと思う。
今年の5月子どもの日から1週間、午後2時から9時まで、全国約40ヶ所で子どもの日チャイルドラインがフリーダイヤルで開かれる。チャイルドラインとは18歳までの人たち(子ども達)の声(こころ)を聴く専用電話のこと。電話の受け手の価値観を押しつけること無く、かけてくれた子どもが「話せて(聴いてもらえて)よかった」と思える電話になること。チャイルドラインを創るということは財政、拠点、子どもへの広報、行政との関係、受け手のトレーニング等課題をクリアしていかなければならない。
チャイルドラインがこのまちにできるということは、1つめが、自分のまちの子どもの現状を知ること(虐待が、不登校が、少年犯罪が、子どもの自殺が・・・)2つめが、生活者としてのチャイルドラインを考える(私の生き方が問われている)ということ。ボランティア活動をしている時だけおりこうさんぶることは出来ない。3つめが電話で受ける子どもの声(こころ)を受け止めるシステム。一般的にはこの3番目をチャイルドラインだと思っている人が多いようだが1〜3そろってチャイルドラインと言う。
菊池氏 他人に迷惑をかけるなといわれるが、迷惑をかける相手がいることはいい。不登校は協調性がないのではなく周りをよく理解している、対人関係能力が低いのではなくその中での自分の位置をよく知っている。不登校は学校へ行かないことで傷ついている14〜15歳で学校に行かない、その結果を考えて悩む。ワンチャンスではない、行かなくなったらそのことを受け入れればよい。
今の学校システムは効率を考えて行われている。不登校はつらいが過ぎれば子どもにも親にも力になる。
母親が夫、舅、世間体を考えて子どもの不登校を悩んでいると、その反映として子どもは自分のことを悩む。子どもは親に気に入られようとするから、子どもの状態をよく知っている親は自分が楽にならないとダメ。
子どものことに責任が取れるのであろうか。まず自分の人生に責任をとれ、子どもの問題は大人の問題である。
参加者の準さん 自分が不登校のときは、母親の理解があったので悩んでいなかった。菊池さんに接したとき大人のイメージはなかった。
菊池氏 他人に迷惑をかけることは本人が一番よく分かっている。それを理詰めで話せば追い詰めることになる。
澤畑氏 母親が子どものことで相談に来る。ついつい私たちはその子の問題をどうしてあげられるか考えがちであるが、これは母親自身の相談なのである。1人の女性がある時は妻として夫と、嫁として姑と、母として学校の教師や他の友人の親と向き合う関係性の中での不安・不満なのである。そのことをしっかりふまえてかかわらなければいけないと思う。
家庭が子どもにとってほっとする場所になって欲しいと思っている。学校で、友人関係でイヤなことがあった時に癒される場所として家庭があったらステキだと思うが・・・?
未整理なまま大人にならないで、イヤなことはイヤと言っていい。思春期の子どもも不安定な時期に母親も実は更年期と言う不安定な時を迎えていることへの理解が必要だと思う。
ビデオ「もう一つの甲子園」を見て
菊池氏 いじめは弱い者いじめをしているのではなく、弱い立場にされていじめられている。それを本人や親は弱いと思っている。欧米では加齢をもっていじめは減っている。日本には被害者学はあるが加害者学はない。加害者は優等生が多く、自分を守ろうとしてやっている。加害者も傷ついており加害者の救済も必要である。問題はこの両者の関係の中にあり、この関係をどうするかである。
休憩
おからやのクッキーが出され、この間、図形のクイズが提出、解答とともに固定観念から離れなければとの話。
菊池氏 公園の遊具やキャンプを例に子どもたちのことを子どもたちに任せておけば事故はないが、大人が手を出すことによって問題が起きている。
「平等に」と言いながら個性を大切にといわれている。いじめを学校で解決できないのは、平等主義のせいもある。権利は平等でも能力差はあり、画一であることが必ずしも公平ではない。
チャイルドラインのビデオ
澤畑氏 イギリスの現地で学び、4年前世田谷の地で実践を始めた。現在全国の都道府県で準備中も含め50拠点を越えてきている。子どもの声を受け止める「受け手」を支えるシステム「支え手」の存在を大切にしてきている。「受け手」は子どもの電話からさまざまなストレスを受ける。子どもの現実、現実に対処できない自分、限界等々。そんな時「受け手」を癒していく(ケアしていく)システムが必要だと考えた。日本の社会の中で、ケアする人のケアが大切にされる社会作りの一歩としたい。
菊池氏 チャイルドラインがいいのはケアする人をケアするシステムがある。ホームヘルパーさんの場合は吐き出す場がない。今後、ケアする人をケアする仕組みを進めていく必要がある。
最後に参加者の感想を話して終了。
3. 成果
・これから子どもの問題をも学ぶ公益大の学生さんが多く参加したことで今後に期待したい。
・参加者の年代、所属、問題意識に偏りがなく、異なった立場からの話が聞けた。
4. 課題
分科会全体として課題解決をめざすものではなかった。参加者個々が、今回持ち帰った研修及び討論内容をそれぞれの場において活かすこと。
5. 参加者の声
・これまで、あたりまえと思っていたこと、そうした価値観が変わった
・たいへん重い問題を聞いて、今までどう生きてきたのだろうと反省している、まだできる事がある。帰ったら伝えたい。
・子どもに対する係わり方もひとつでないと思った。現場を見て自分がつく仕事を選びたい。
・子どもは守るというよりも一個人として付き合っていきたい。
・これからの残る人生を家内と向きあい、子どもや孫からうるさがられないようにして生きたい。
・子どもと係わる仕事をしている。好きで入ったが今日は大変なことだなと感じた、これからはしっかり子どもに向きあっていこうと思っています。
・疲れたとき助けてと言える仲間がいてよかった。
・子どもに接する仕事だが親に接することが難しい。何とか親を変えたいと思う。
・子どものころが浮かんできた、自分の来た道を思い返して、子どもの気持ちを受け止めたい。
・加害者の視点を持っことを知った。子どもの人権も社会の仕組みに通じるのだと思った。
・学校の先生がカウンセリングを受けていると知って驚いたが、ケアの必要の話を聞いて理解できた。
・実行委員としてこの分科会をしたいと思い準備してきたが、ここがスタートだと思います。
・毎日接している子どもの顔が浮かんできた。子どものいろんな思いを受け止めるために自分が余裕がなければできないと感じた。
6. 運営サイドから
細かいスケジュールや打ち合わせもないままに始めたが、澤畑氏、菊池氏のお二人には雰囲気をつかみながらの進行をしていただいた。
また参加者の熱意が場を盛り上げ、時間が短く感じられるほどの緊張した内容であった。
ぐるっと地球の風、となりの君と感じたい
〜「交流」・「協力」を越えた多文化共生社会の創造に向けて〜
コーディネーター 山口 考子(庄内国際交流協会・鶴岡市)
コメンテーター 田村 太郎(多文化共生センター・大阪府)
事例報告者
安達 三千代(国除ボランティアセンター山形(IVY))
阿部 梅子(うめちゃんキムチ代表・朝日村)
1. ねらい
世界には多くの文化が存在することを認識し、文化の違いによって日本での生活に困っている外国の方を支えていくために、私たちがすぐにできることを確認する。
2. 話し合いの記録
受付にて参加者に、フォトランゲージ記入用のカードを渡す。参加者に見られないよう額に(四色の中から)一色のシールを貼る。会場に入ってから10枚のフォトランゲージを見て(風景、家族、家財道具などが写っている)、参加者は自分の住んでみたい国、何故そこに住みたいか、その国名はどこだと思うか、そう思った理由などを銘銘書く。二人一組になり、記入したカードの答えを聞きながら自己紹介をする。単なる自己紹介よりもその人の興味あるところが見えてきたり、どういう考えを持っている人なのかより深く印象づく。和気あいあいとした感じで、皆楽しそうにやっていた。
《梅ちゃんの来日物語》
金梅永さんこと、阿部梅子さんは10年前韓国から花嫁として来日。現在朝日村に在住。5人家族。来日直後一番困ったことは言葉。電話がきてもわからず困った。早く言葉を覚えれば、自分が住みやすくなるのではないかと思った。隣人に紹介してもらい、電子会社に勤めるが倒産し、次に縫製会社に勤務。昼の弁当で、手作りのキムチを持っていき、喜ばれるようになるが「あなたが隣に来ると、臭い」と言われることもあったが、そんな時はわざと、ハーと息を吹きかけたりと冗談めいた事もした。そんな中、キムチを月山博物村に出すようになり、フィリピン、中国人の知り合いと一緒に料理を作り、農協や観光物産館に出すようにまでなる。置いていくだけでは駄目で、民族衣装を着て「いらっしゃいませ」と声を出し試食をさせた。食べた人が「こんなにおいしいキムチは初めて!」と言ってくれることが自信となりそれに伴い売れるようになっていった。現在手づくりキムチを22人で作っており、酒田のジャスコから山形のジャスコまでに出すようになった。外国から来たばかりの人が自分たちの所で「自分の小遣いは自分で!」と働き、2・3年もすると言葉も少し覚え、他に働きに行くパターンが見られる。今はあちこちで売ってもらっているので、だいぶ楽になった。日本語の勉強を最初の4年間、藤島地域の加藤耕さんの下で勉強し、今でも1週間に一回朝日村の日本語講座で勉強を続けている。
《コメント》
言葉の壁を乗り越え、内にこもることなく、外に出て行き自国の名物キムチを作ることを仕事として確立していく力強さ、頼もしさを感じた。様々なエピソードを流暢な日本語で生き生きと語る姿は見ていて気持ちよかった。
《車座トーク》
受付のとき額に貼られた色別に4つのグループごとに生活習慣・言葉・食物等についてそれぞれ話し合う。安達・梅子・ヌール・イノオカさんは動かずに、与えられた時間が終わるとメンバーチェンジをする。会場には椅子の背部にはそれぞれにシールがランダムに貼られている。進行係より質問。何故あなたはその椅子に座りましたか?椅子の後ろのシールが張ってあることに気付きましたか?という2つの問いに対して、参加者は無意識に椅子に座ったらしい。進行より日本人は額のシールと同色の椅子に座りがちだが、今日参加した方は多文化について考えようとしている人達なので、異文化を素直に受け入れようとする心をもっているようであると話される。
《安達さんより事例報告》
JVC山形がIVYに変更。タイの難民キャンプに行った人が作った組織。IVYがやっていること、県内では定住外国人支援で、キーワードは「いのち、ことば、ぶんか」。医療通訳養成と派遣・外国人生活相談電話・日本語教室・多文化理解講座を中心に活動。最近特に力を入れているのが、国際理解教育(小学校の総合学習の時間を利用)。海外ではカンボジアでの協力活動など。ホームレスの母子家族100人の支援に始まり今は農村開発。最初は物をあげる援助だったが、現在は住民のエンパワメントヘシフト。
《コメント》
スライドにより現地の様子がわかり、視覚的訴えが得られるものがあった。カンボジアの最近は豊かになってはきているが日本とは比べ物にならないほどまだ貧しい。IVYがやっている国際協力:PLAを利用。住民自らが自分達共通の問題に気づき解決法を考え行動に移していくプロセスをサポートする。病気→医療費→借金、そこで薬代を減らすためには栄養をつけなければならない→野菜づくりを習い、家庭菜園を作って解決するなど。
《田村氏の基調講演》
多文化共生センター代表。センターの概要と現在取り組んでいることの発表。阪神大震災のとき8万人の外国人のうち2万人の人が多言語。この人達に情報を伝えたいと、多言語での情報提供がきっかけ。震災から少数者が後回しにされる社会の危うさを感じた。本当はみんな色々な文化をもっている。多文化共生はいまや地球規模の課題。日本全国で200万人の外国人が暮らしている。世界で経済のグローバル化に伴い農村から都市へ人口の移動。これがこの10年の世界の動き。特に途上国といわれる農村の崩壊が顕著。結果として国境を越えた人の移動が起きる。世界各地の出来事と、山形はじめ全国の「多文化」への動きをひとつの流れとして考えることが大切。
《ワークショップ》
多文化共生により、住みよい出羽庄内国を作るために私たちができることは?というテーマを踏まえ、理想将来像を各グループで9つのキーワードに話し合った内容をまとめ、尚且つダイヤモンドランキングに現し発表する。
3. 成果
「住みよい出羽庄内国を作るために私たちができることは」について、ワークショップでブレインストーミングを行いダイヤモンドランキングを行った結果、各グループごとに以下のような項目で、順位付けとなった。
【青グループ】異文化理解→情報→言葉→食→生活→交流→教育→母国→窓口
【緑グループ】平和→言葉→教育→情報提供→家族→支援センター→協力→交流活動→地球家族
【赤グループ】アサーション(非攻撃的自己主張)→異文化に興味を持つ→ダンス皆でダンスをしよう→私好みを求めない→折り合うところ折り合わないところ自分で線を決めて説明できるように決めて説明できるようになる→自分の文化をまず知ること→言葉で説明できるように伝える→料理(共に作り、共に食べる)→殺しあいはしない→一人の人と人として付き合う
【黄グループ】梅ちゃんズ全国へPR→日本人こそ外国人から学べ→外国人女性サポート→多文化理解する場を増やす→相談窓口を作る→NPO(ワールドチック)→日本の免許証をとりやすく→小学校の英語の勉強の平等→市役所を通して仕事の依頼→日本語教室を増やす→いろいろな表示を多言語に。
各グループの上位3つにのぼったキーワードはコーディネーター泣かせのみんなばらばら。それはとても多文化を容易に受け入れられるユニークな常識を超えた人たちが集まって話し合いだったからだろう。さらに、上位二つを整理すると、
1. 異文化理解
2. 情報(情報発信)
3. 言葉
4. 外国人支援
5. 平和
6. 教育
7. 自己主張
8. 交流
9. 多様性(包容性)
上位3つを選ぶために、1位にふさわしいのはどれか時間の制約があり一人1回手をあげる。多数決方式で、(1)異文化理解(2)平和(3)言葉が上位3つにランクされた。中身の深い参加者同士のトーク。参加者が少人数のワークショップにより、わずかな時間で仲間意識が芽生えている。
4. 課題
山口氏より、全体でランキングして、上位3つになったことばについて異文化理解―広い意味がある。平和―国際交流をやる意義。言葉―相手のことを傷つけないで自己主張をする。すべてとても大切なこと、地域に帰ってからも実践に移してください。田村氏より、共生とは共に生きるという言葉を提示、人類共通の課題である。外国人を受け入れて庄内に暮らしている人自身も変わっていかなければならないのではないか?
5. 参加者の声
短時間にもかかわらず、車座トークやワークショップで活発な意見交換がなされており、個々の積極性や自分が関わっているボランティアでの自信のようなものがうかがわれた。ユニークな意見も多かったのでは。庄内在住の外国人が数多く事例報告してくれて、この分科会に花をそえてくれたようだ。スリランカの踊りや梅ちゃんの持ってきてくれたキムチ。参加者が民族衣装をまとっての参加など場を盛り上げる工夫があちこちにあった。
6. 運営サイドから
弁当の注文で、受付時わからずすみませんでした。その他、事務局が不十分なところを、参加者の方々が何気なくフォローしていただき、大変助かりました。全体的には、みなさんが楽しく活発に発言もできて、当日の熱い雰囲気を紙面でお伝えできないのが残念です。どうもありがとうございました!
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