分科会21 鶴岡市
誰でも創れる!?公園づくり入門編
これからのまちづくりにLet' s Try
コーディネーター 内田洋子(NPO高知市民会議)
事例報告者
国分 厚(グラウンドワーク山形事務局)
薮田 充彦(庄内市民活動センター・鶴岡市)
渡邊 和顕(Office K 渡邊企画・建設コンサルタント・山形県)
1. ねらい
実際のワークショップを体験しながら、従来の官から民へのトップダウン方式ではなく、民間主導型のまちづくりを体験しよう。
事例報告を見て、これからのまちづくりのありかたを模索しよう。
2. 話し合いの記録
皆さんの前にあるポストイットに普段の活動内容を書いてください。ただ座っているだけじゃつまらないので、ワークショップをやってみましょう。
〔参加者の活動紹介〕
クルミ園づくり(秋田・大潟村)
近くの遊休地でオニグルミを発見したので、カシグルミを植えてみたら非常に生育がよかった。1丁2反部植えた。防災林をクルミの木にしたらいいのではないか?
市民の目で見た街づくり(秋田・能代)
公衆トイレの調査をやっている。掃除がいきとどいているか?きれいなままいつまで存続できるか?何が足りないか?
福祉の街づくり(山形・鶴岡)
地元で、知的障害者のサポートや小規模作業所づくりを支援している。
老人ホームサポート(山形)
これから隣近所には老人が多い。一人暮らしの人達は段々人との関わりが減っていきがちなので、心のサポートをしていきたい。
などなど、いろんな話がひとしきり参加者から出たところで事例発表に移った。
〔事例報告〕
・国分厚(山形県職員・グラウンドワーク山形)
山形市馬見ヶ埼沖東公園づくりワークショップ
行政が主体となった今までの見せかけの市民参加型街づくりではなくて、本当に市民が意見を出し合って、多数決ではなく、いい意見を取り上げて、実現までたどりついた話。敷地は、新しく形成された住宅地の一画で1haの広さがある。
行政・住民が連携して子供や障害者の意見も取り入れ、一味違った公園が出来上がった。計4回の飾りたてていないワークショップの結果がここに表れている。
・薮田充彦(庄内市民活動センター)
とぼり広場ができるまで
新荘内病院の周りの環境をよくしようということで、官民それに早稲田大学佐藤研究室が一体となってワークショップは開催された。最終的に市民の意見を早稲田の学生さんから3つの提案にまとめてもらい模型で説明してもらった。多数決により、1番人気のある作品を参考にして公園づくりをすることになった。鶴岡市に古くからある外堀堰を再生し、市民の憩いの場として、活躍してもらおうという発想だ。計5回のワークショップの様子をビデオでわかりやすく説明。
・渡邊和顕(Office K 渡邊企画代表)
行政参加型まちづくりを目指す
ワークショップとは、集団創造化である。それぞれの案のいい点悪い点を考慮に入れると、もうひとつの案が出てくる。ワークショップを開催するにあたっては、綿密な準備と職員の勉強が絶対不可欠。市の職員で4回準備勉強会をやった。
1回目 現況を知ろう(緑道のネットワーク構想)
1日かけて3つの公園を歩いた。
2回目 ビジョン・理念・夢を語ろう
グループに分けて、それぞれの公園について、3つの案を出しみんなで意見を言い合う。
3回目 図面をつくろう
みんなから描いてもらったことを参考に図面を作る。
4回目 いい点悪い点をまとめよう
4つぐらいのプランがまとまったところで、それぞれのいい点や悪い点を活発に論じ合う。
それぞれの公園が完成し、子供たちの希望した2連うんていにより骨折した子供もいたようで、危険との見方もあったが、父兄の理解が大きく撤去しなくてもいいのでは、と抗議してくれた人もいた。できてからもいろいろな意見がある。
3. 成果
全員が、いろんな活動に参加してそれぞれの問題を抱えているが、周りの人を巻きこむことにより、ひとりのパワーが10倍にも100倍にも膨れ上がり、やがて地域のパワーになる事がわかった。そして夢や希望もどんどん膨れ上がっていけばいいなと思った。その巻き込みの力こそが未来のエネルギーかもしれない。
4. 課題
まず、やってみよう。この分科会は、その一言につきるような気がする。本当に、一人で公園づくりができるかも、と、今日の活動を振り返ってそう思わずにはいられなかった。たぶんみんなそう感じただろう。今後の課題は、まずやってみてから見つけよう。
5. 参加者の声
・日頃とは違う分野を選び参加したつもりだったが、参加者相互で話し合ううち、いろんな事が福祉につながる事、つなげられることを理解し、一歩一歩進んで行きたいと思った。
・各報告者の方々の経験豊富な実践活動やその手法などを伺って、大変勉強になり、自分自身にとって充分な成果を得られたと感じています。今後の活動に役立てていきたい。
・公園づくりも福祉のまちづくりも全て、主体は住民であることを再確認した。あらゆる層を巻き込むのは、かなり難しい課題ではあるが、巻き込むためのキーポイントは、「楽しくあること」だと思う。参加する人が楽しめれば、主体的に関わっていく事ができると思う。
・福クルミの事業は、成功させるべきです。全V研の大きな成果となるでしょう。
・私の住んでいるところには、公園がひとつもありません。住民にも是非ほしいというまでの熱意がなかったし、そのうち何とかしてくれるだろう位にしか考えていなかった。
6. 運営サイドから
・スタッフなのに足しになったのか、ならなかったのか、すっかり雰囲気に酔いしれて、気分は参加者でした。一世一代の大勉強をした気がします。人生の極意を教えてもらえてとても幸せに思います。
・分科会担当者薮田のことば
庄内14市町村を会場として開催された「第34回全国ボランティア研究集会・山形県庄内集会(以下全V研)」の分科会を担当することになり、歴史ある全V研の名を汚さぬよう準備を万全にしようと思っていましたが、なかなか上手くいきませんでした。しかし壁に直面した時には、実行委員の方々や友人に助けれら、また分科会スタッフの協力もあり分科会当日を迎えられる事が出来ました。どうもありがとうございました。
そして、全国を舞台に活躍されているゲストの方々には心から感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
最後になりますが、この全V研で得た経験をこれからも大事にしていきたいと思います。ありがとう全V研・・・
施設ボランティアコーディネーター養成講座
施設でのボランティア・体験学習の受け入れをマネージメントします
ファシリテーター 太斉 寛(せんだんの杜・宮城県)
1. ねらい
私たちは誰のために活動していくべきなのかを振り返り、利用者とボランティアの関係からボランティアコーディネーションを考え、利用者にもボランティアにも、そして福祉施設職員にもイイ、ボランティアコーディネーションのあり方についてボランティアを導入する際を想定した演習を通じて学び、獲得する。
2. 話し合いの記録
はじめに、参加者の課題を出してもらう。
・ボランティアの受け入れのあり方について
・「何か」をしたいボランティアヘのコーディネートの仕方
・学校と施設の意識差をどう埋めるか
・持続性のあるボランティアを養成するには
・ボランティアとの上手な付き合い方
・コーディネーターの仕事とは?
・ボランティアの受け入れ全般について
・職場とボランティアが目的意識の違いなどもあり、かみ合わない
・自分の仕事で手一杯。ボランティアの受け入れはすごく大変
・地域性を生かしたボランティア活動とは
等の課題が出され、これらも踏まえて以下、講師がねらいにそった内容で話を進める。
I. 私たち(福祉施設・職員)の目的(ミッション)を振り返る・・・私たちは、誰のためにどう活動していくべきなのか?
高齢者や障害児・者などの支援を必要としている人々に対して、その人その人の暮らしを支えるという目的を十分果たしているか。
せんだんの杜での「ユニットケア」や「地位分散型サテライトケア」の実践をスライドや資料で講師が説明。
これらの取り組みは、支援の必要な人のこれまでの生活を出来る限り継続しながら「その人らしさ」を生かした生活を支援するための一つの方法であり、目的ではない。
II. 利用者の生活をより豊かにするために、地域住民&ボランティア・NPOはなぜ必要か?〜利用者とボランティアの関係からボランティアコーディネーションを考える〜
小グループにしただけで、小規模ケア施設が地域にあるだけで、その人らしい生活を実現できるか?様々な交流や刺激がその人らしさを形成してきたのであり、地域住民(ボランティア)は重要な要素である。
しかし、施設・職員と地域住民(ボランティア)の微妙な関係も存在する。
施設から見ると、
●すぐやめる
●約束が守られない
●手間がかかる
●利用者とトラブルをおこす
ボランティアからみると
●挨拶がない
●要望が多すぎる
●単調な活動
●意見・要望が取り入れられない
本当のところ、利用者にとって「ボランティア」は、どんな存在か?利用者とボランティアの関係を施設・職員は邪魔をしていないか。ボランティアは、職員のお手伝いさんではない。
福祉施設・職員のボランティアコーディネーションの視点は、
→利用者の「思い」または「ニーズ」をしっかり把握すること。職員本位のボランティア計画を立てない
→ボランティアの思いには大小がある。また、その人らしさがあることをしっかりと認識すること。知識や技術がなくとも想いのあるボランティアは、へたな職員より有能だったりする
→利用者とボランティア(地域住民)との人間関係づくりをしっかりサポートすること
→「生活支援の視点」をボランティアにきちんと伝える
→職員全員がボランティアコーディネーターであること
→福祉施設・職員にも、ボランティアにも明快な受入体制作ること
III. 利用者にもボランティアにも、そして福祉施設(職員)にもイイ、ボランティアコーディネーションのあり方〜導入編 必要な視点とノウハウ〜
「もし、自分が生活支援が必要な状態になったらどうするか」と考えることや「自らの施設のあるべき姿、仕事」を見直すことで、利用者本位のコーディネーションの必要性を再認識できる。
演習:ボランティアを導入する際に考えること
参加者を4班に分け、ポストイットに各自が意見を記入し、記入された意見を元に話し合いながら、模造紙に「ボランティア導入の手順」を書き込み、各班毎に発表を行う。
おわりに
「ボランティアコーディネーターは、確立されようとはしているが、職員の一人ひとりがコーディネーターであると自覚して欲しい。ボランティアの居心地の悪い施設は利用者にとっても居心地の悪い施設であることを知って欲しい」との講師の発言で分科会を終える。
3. 成果
・講師の話を聞いた後に、班毎に演習を行ったことで、この分科会のテーマにそった成果が得られた。
・漠然としていたボランティアコーディネーターという仕事のポイントや重要性が見えてきた。
4. 課題
・「職員の一人ひとりがコーディネーターであるという自覚」を職員間の共通認識として持っていく方法の検討。
・私たち(福祉施設・職員)の目的(ミッション)を振り返る・・・私たちは、誰のためにどう活動していくべきなのか?という作業をボランティアについても必要であるという共通認識を職員間で育む方法は。
5. 参加者の声
・施設ボランティアコーディネーターの考え方の基本を改めて確認できた。
・発想の転換の必要を感じた。
・ただ伝えればよいというのではなく、共感を得られるように話し合っていく必要性を感じた。
・施設としての理念を持って、ボランティアを受け入れるということの重要性を感じた。
・利用者主体の視点、利用者支援へつながるボランティアのあり方、コミュニティヘ溶け込む施設のあり方などが勉強になった。
・ボランティアに対する考えが変わった。もっと柔軟に考えていかなければと思う。
どうするボラセン!?
夢と理想のボラセン構想
コーディネーター 太田 昌也(大阪ボランティア協会)
事例報告者
小野田 全宏(静岡県ボランティア協会)
紅邑 晶子(せんだい・みやぎNPOセンター)
竹田 三佳(南陽市ボランティアセンター・山形県)
1. ねらい
ボランティア・市民活動を推進する拠点組織としてのボランティアセンター・市民活動センター・NPOセンターのあり方やその機能について、全国の事例を持ち寄り、「こんなボランティアセンターがあったらいいな」と思えるような理想のボランティアセンター像について語り合う。
2. 話し合いの記録
○パネルディスカッション
・事例報告1 静岡県ボランティア協会
小野田 全宏氏
・事例報告2 せんだい・みやぎNPOセンター
紅邑 晶子氏
・事例報告3 南陽市ボランティアセンター
竹田 三佳氏
・事例報告に対する質疑応答
○ワークショップ
○まとめ
3. 話し合いの記録
◇パネルディスカッション◇
3名のパネラーのそれぞれの活動についての報告をしてもらいながら、話し合いを進めていった。
事例報告1
1996年から委託事業『災害時のボランティアコーディネーター養成講座』を実施しているが、年々委託費が削減されている。そうすると内容の変更も迫られる。委託事業だけで活動していくのは、限界にきている。
どのように独自の事業を掘り起こし、自分達のノウハウを商品化していくか。
そのためにはまず職員の意識を改革しないと財源確保は難しい。
中間支援組織の活動は、なかなか見えにくいが、それぞれの地域にあった戦略を立てて、事業評価をきちんとして、社会に還元していくことが大事。今後力を入れてやっていきたいことは以下の通り。
・ホームページ等での情報提供。
・相談事業
閉じこもり等増加しており、有給職員では対応困難なため、ボランティアスタッフをそろえる。
・災害が来る前の活動に重点を置いた支援体制づくり
事例報告2
1997年に設立。1999年に「仙台市市民活動サポートセンター」の管理・運営を受託後、組織が大幅に拡大。
有給職員21名。会員は150名弱。理事12名。評議員が30名程度。
理事会は毎月1回、総会が年1回、評議員会が年2回。意志決定機関は理事会であるが、細かいところでの意志決定は、毎月行う企画戦略会議で決定される。
行政から委託される事業については、年々委託費が減額されていくため、コストを積算し行政側に示した。
企業からはさまざまな物品の提供をしてもらっている。
物品提供を受けた団体からは、報告書を出してもらい情報提供をしてもらう。そうすると提供した企業ではどのように使用されているか確認できる。
組織を運営する側、利用する側と立場を変えてみると、見えてくる物がたくさんある。
今後の戦略としては、
・企業の人が参加できる場を創りたい。
・市民とNPOを近づけるプログラム、例えば市民ライターによるパンフレット作成
・市民サービスを受ける側のサポート
事例報告3
市社協は市民全員が会員であるが意識は低い。
小学生だけの学区ごとに活動できるボランティアサークル『ぴよっこ』結成。それぞれの地域に合わせた活動を展開。
指導者の育成として、福祉教育サポーター養成講座展開。『ぴよっこ』もサポートを受け活動。
子供達の活動の最後には、必ず振り返りをする。その日1日何をしたか考えてもらう。
時代に合った工夫や、発想の転換が必要。これからの活動においては、ボランティアをする個々の持っているものを生かし、それぞれの意見を聞いてまちづくりに反映させていく。
◇ワークショップ◇
『私たちの理想のボランティアセンター像』について探っていく。
<7×7整理法の手法により作業を進める>
(1)理想のボランティアセンターに大切だと思われる項目を箇条書きにし、カードにする。最低80枚カードをつくる。視点として、1資金確保 2事業計画 3事業推進 4意思決定 5市民との協働 6行政との行動 7企業との協働 8その他 から考えてみる
(2)グループに分ける(6グループ+その他の7グループ)。出されたカードを同じ、または近いものをまとめグループにまとめる
(3)それぞれのグループにタイトルを付ける
(4)7グループの効果の高いものから順位をつける
(5)それぞれのグループ内で効果の高いものから順位をつける
◇各班の話し合いまとめ◇
◎1班順位(1)人材(2)事業(3)運営(4)システム(5)施設(6)備品の充実
※理想のボランティアセンター像
・ボランティアセンターを推進する人も、集う人も生かされるセンター
・先見性があり、市民のニーズに答えられる多彩な事業の展開
・たくさんの人が交流できる充実した施設
◎2班順位(1)事業・運営(2)交流(3)情報(4)資金(5)施設(6)利用者サービス
※理想のボランティアセンター像
・ボランティアセンターの活動に熱意と意欲
・理解がある人たちがいる
・誰でも気軽に集い、交流が深められる楽しいところ
・活動を活発にするための情報受発信機能がある
・健全な運営を図るため、地域の理解を得て、企業賛助金を集める
・ボランティアの提供者、利用者が利用しやすいところにある
◎3班順位(1)市民参画(2)人づくり(3)スタッフ(4)資金(5)拠点(6)ネットワーク
※理想のボランティアセンター像
・企画、運営に誰もが参加できる
・地域、現場のニーズにすばやく対応
・資質の高い、人間味あふれるスタッフ
・魅力ある資金集め
・誰もが利用しやすい拠点づくり
◎4班順位(1)センターの運営(2)センターの場所(3)活動資金(4)設備(5)利用しやすさ(6)情報提供
※理想のボランティアセンター像
・専門の職員が充実し、多くの人が集まる
・多くの人が集まる場所にある
・多くの人からお金が集まる
・多くの人から知恵が集まる
◇運営サイドから◇
・各班から出された理想のボランティアセンター像の発表を受けて、より具体的な話し合いまでの時間が取れずに残念でした。
・各班のメンバーが、現在かかえている課題に対する解決までフォローしきれなかった様に思いました。
・「7×7整理法」を学ぶことができ、ボランティアリーダー研修等の持ち方の参考になったと思いました。
・会場の温度調整ができずご迷惑をお掛けしました。
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