分科会19 酒田市
スクール・イン・アクション!!
〜ボランティア・アクションプログラムをつくろう〜
コーディネーター 興梠 寛(世田谷ボランティア協会・東京都)
事例報告者
篠原 和行(木更津市教育委員会・千葉県)
齋藤 緑(酒田市ボランティア連絡協議会)
1. ねらい
全国各地の学校では多様な運営形態で「学校支援ボランティア活動」の推進が始まっている。学枝教育における体験活動の法制化と新学習指導要領。学校とボランティアやNPOとのパートナーシップはどうあればよいか。いろいろなボランティア学習の情報を交換しながらアクションプログラムを作ろう!
2. 話し合いの記録
(1)オリエンテーション
(2)参加者の自己紹介と自己の課題の発表
・全国の参加者との出会いを楽しみにしている
・高校生の自主性を育てるには?
・PTAとは何でしょうか
・現場で感じている悩み・不安・希望をぶつけたい
・総合的学習への対応
・青少年がリーダーになれるヒントを
・何でも吸収して地域に生かしたい等
(3)基調講演「助け合いのなかで学ぶ」興梠寛氏
【イギリス】(ビデオ1978年取材/1980年発表)
ボランティアになるための準備学習としてボランティア学習がある。事前学習や地域社会での教育が大事。助け合いの中で学ぶ。ラーニング・バイ・ケアリング。コミュニティーサービス。生徒自身が地域社会の中で役に立っていると同時にまわりの社会から支えられている。14〜16歳の生徒。授業で1週間に3回。
事例(1)障害者・高齢者のデイセンターヘの調査
自分たちができることを見つけ、自らプログラムをつくる。
(事前に尋ね方などマナーを学ぶ)
事例(2)障害者施設での遊び相手
生きること、人の命の尊さを学ぶ(事前に障害やかかわり方を学習している)
事例(3)一人暮らしの老人宅を訪問する
思い出話を聞く。学校での話をする。週1回の訪問を楽しみにしている。(事前に傾聴トレーニング)
事例(4)小学校の授業の手伝い。チュータリング。
下級生に教える。学習への関心をもってもらう。下級生に慕われ、自信をもち成長していく。(事前に自発的に猛勉強をしていく。)
事例(5)モーニングティープログラム
学校に近隣の人から来てもらい茶話会をする。学校を地域社会に役立てることで、学校も生き生きと蘇ってくる。(事前学習:お年寄りのエスコートの仕方。お茶を配るマナー。役割分担など)
事例(6)知的障害者を毎週1回学校に招く
・決まった人と継続的にお付き合いする。
・外出する(ボランティアは車道側を歩く)
・買い物をする(数の概念を教える)
・家庭に招きお茶を楽しむ(お茶、菓子の用意を自分でする。知的障害の問題を家庭に持ち込む)
事例(7)身体の不自由な人の生活用具をつくる
デイセンターに行き障害者と一緒に造る。気に入ってもらうまで何回も直す。心の通った作品にする。
◎イギリスではシティズンシップという授業がある。主要7科目の中の必修科目。
◎知的理解:市民としての権利・責任・義務・役割・政治・裁判のシステムなどを学ぶ。
◎体験学習:地域社会へ主体的に取り組む、自分たちこそが社会の主役である。それをきっかけに自発的にボランティアをするようになる。助け合い学習だけでなく、一人の市民としての民主主義を作り上げていく者こそボランティア。
【日本】
・市民社会、グローバルスタンダードにとらえる
・生徒自身が企画から評価までするのを支援
・コーディネート費用をみる
・発達段階にあわせる
・学校の調整窓口を決める
・市町村の中に支援センター
・学校教育や社会教育の中でボランティアのもつ教育力を活用した教育実践
【アメリカ】
教科を学ぶためにボランティア活動の持つ教育力を使う教科教授法をサービスラーニングという。
事例(1)美術:自分たちに何ができるか、町の中を探検する。→壁画に挑戦。NPOやPTAの協力を得る。
事例(2)理科:川が汚れているので、調査し、ホームページ上で発信。→工場で廃液を流すのを止める。
事例(3)チュータリング:小学校で教える
事例(4)高齢者と町を調査:事前学習でシニア体験。→結果をホームページに掲載。
◎いろいろなボランティアがある。町のため。社会のため。自然のため。友達のため。高齢者のため。
◎子どもが社会の主役。文化の伝承。大人が活動し、子供に自然に伝えていく。学校・社会の中でたくさんのメニューを持つ。助けあいやふれあいに留まらず、市民社会を作り上げていく。
(4)事例報告「学校支援ボランティア活動」篠原和行
木更津市では、地域の人々の力を学校の教育活動に生かし、開かれた学校を実現。平成10年度から学校支援ボランティアを制度化。市内にある小・中学校31校全てで推進。
「環境整備支援」では図書の整理、花壇の手入れ、挨拶等、「教育活動支援」ではスポーツ、書写、英会話の指導等、平成14年度は1,000人近くの市民がボランティアとして登録し活動。33の取材と200余りに上る視察。学校に人を入れるのが大丈夫になってきた。
学校とボランティアが一体となって活動に取り組めるような体制が整ってきている。
【ボランティア】 登録・全国学校支援ボランティアサミットの開催・視察への協力
【コーディネーター】 ボランティアの中から選出。苦情の処理、調整、マッチング、研修
【学校】 学校支援ボランティア担当(校務分掌上)
◎成果と課題
・地域住民を学校に進んで受け入れるようになってきた
・地域の活動にボランティアとして参加する子どもも徐々に増えつつある
・公民館でのサークル等の子どもたちの受け入れ
・公民館や社協との連携で中学生が実行委員会を作り実施するなど地域の活動へと広がりつつある。色々なところへ波及し、地域が生き返ってきている。
・メニューの開発や拡大に取り組める広報活動の充実を図る。コーディネート機能の一層の充実。学校の自主性、主体性を生かした地域に開かれた学校づくりの支援体制の整備が課題。
(5)事例報告「車椅子バスケット交流」齋藤緑
昭和62年発足のボランティアサークルあらたは、障害者と健常者のサークル。福祉マップ活動や車椅子バスケット交流を青少年と共に展開。車椅子バスケット交流は、不登校児童と体験し効果をあげたことから、学校教育、社会教育の現場での教育活動として実践してきている。ルールもあるが、ゲームを楽しみながら障害者理解、街づくり、車椅子の操作や介助を学習。
(6)ワークショップ「車椅子バスケット体験」
車椅子の使用方法・ルールを学ぶ。
車椅子バスケットゲームを体験する。
(7)ワークショップ「ボランティア学習プログラム」
(1)グルーピング(6人)
バースデーライン(自分の誕生日の位置を探す)
(2)テーマを決める(くじを引く)
a: 魅力あるボランティア学習プログラムをつくろう
b: ボランティアマナー・トレーニング
c: 学校支援ボランティアの活躍の舞台をつくる
(3)KJ法でワークショップ
(4)グループ発表
【六輪(和)会】
テーマ「無理なく、楽しく、さわやかにマナートレーニング」
・相手の気持ちを考えて・とにかく楽しく・気をつけよう・笑顔と傾聴・秘密厳守・時間を守る・しっかりあいさつ
【わくわく隊】
テーマ「ともに歩く」
子ども達の楽しい遊びをサポートする
遊びを通して自分発見。主体的に企画から評価まで。
地域と連携して、安全・アイディア・技術を学ぶ
【春ちゃんグループ】
テーマ「黒子大募集」
子ども達のサービス・ラーニングを支援する
先生の研修もばらばら・担当者だけが実践
学校を運営している全ての人の理解と推進が重要
先生の意識を変え子供たちの自主的な活動を支援
【DUSUT☆バスターズ】
テーマ「ゴミの行方を探検する」
体験!発見!ほっとけん!
自分で調査し課題を発見し、家庭のゴミの量と内容の調査。マナーを学ぶ。ボランティアの話を聞く。廃品回収。経費自主的な行動につなげる。頭と心とスキルを育てる。自分はどうするか。
(8)まとめ
篠原:学校支援ボランティア。すでにやっている所があるのでできるところを徐々に。子ども達の自主的な活動に結びつける。体系的実践が必要。
齋藤:この分科会うれしい体験。頭も良くなった。ネットワークを生かし日本のボランティア学習を一歩づつ進めたい。ありがとうございます。
興梠:日本ボランティア学習協会では毎年ボランティア学習研究フォーラムを開催。今年は東京大会。イギリス・アメリカの研究者を招く。是非参集を!
(1)「プログラムには物語がなければならない」
子ども達を主役に舞台を考えると簡単。
(2)「少年は必要とされて初めて大人になる」
社会から必要とされ、自ら生き方を発見できる。
3. 成果
・山形のスタッフの頑張りと企画が素晴らしい。遠く沖縄から来てよかった
・講話、車椅子バスケット体験、プログラム作りと盛りだくさんの内容でとても勉強になった
・地域づくりにおいて学校を核にする場合、大人のものになっている。それを疑問に思っている人たちがいることがわかって良かった。子どもが主役。
・ワークショップの時間がもっとあればよかった。
・車椅子バスケット、午後のワークショップと良い学習をすることができた。
・世界のことから具体的体験まで良かった。など
《若者企画》若者と公益
みんなで作ろう 公益の未来
コーディネーター 澤邊 みさ子(東北公益文科大学講師)
事例報告者 赤沢 清孝(きょうと学生ボランティアセンター)
1. ねらい
公益と言っても一人ひとり持っているイメージは違います。しかし、これからの時代、どの分野においても公益の視点は大切です。そこで公益の輪を日本中に広げていくために、ぜひ私たちと一緒に未来予想図を創っていきましょう!
2. 話し合いの記録
〔ワークショップ〕
輪になって座り、自己紹介開始。紙を4つに折り、名前(ニックネーム)、地域、所属、今の気分一言を紙の左上に書き発表。次に左下に、私が大切にしているものを3つ書く。人数が多いため4つのグループに分ける。右下に思い出、印象に残っている場所を3つ書く。誕生日の早い順から時計回りにグループに分ける。あなたが公益と聞いてイメージするキーワード、言葉をそれぞれ全体で発表。
利益/私益のありかた/役に立つこと/公益大/思いやり/人と人との輪/みんなのため/土/公共の利益/身近なもの/国益私益の真ん中にあるもの/自分を含めた自然など/構成メンバーみんなで考えていくこと/他人に迷惑をかけないこと/ルールを守ることなど。
〔赤澤さんの自己紹介〕
大学4年生のときボランティアセンターを立ち上げる。1993年、大学に入学するが、無目的な大学生活に疑問を感じ、大学生協の活動を始める。学生向けの活動を運営する一方、病院で夜間の受付のアルバイトを始める。
○「私の考える公益」について
公益を考えるきっかけは、大学の食堂が込んでいて、昼食が食べられない人がいたとき、文句を言ったり、あきらめたり、我慢するのではなく、解決策(机のレイアウトの変更/周辺の店のマップの整備など)を提案して、以前と比べてよくなった。自分たちの生活は自分たちで変えられることを知った。
その後、暗い夜道は危険がいっぱいある事に気づく。みんなの意見を聞き、アンケートならびに署名をとった結果、大学側が街灯を取り付けてくれた。私的なことから出発して、多くの人の生活を変えられることに気づき、社会との出会い、つながりとなる。
病院で、夜間の電話番、事務の当直のバイトを始めた。地域にはいろんな人がいた。社会の細かい問題に気づいた。人生相談などいろんな人との出会いがあった。「その場に居合わせてしまったことで生じた「見過ごせない」という感覚!!」を感じた。地域の問題は自分の問題でもあり、公益を考えるきっかけとなった。
1995年、阪神・淡路大震災を体験した。なぜ阪神に関係ない人が阪神に行くのだろう?テレビを通して見て放っておけないのだろうか?自分が手を加えることによって社会が変わる、何かが変わる、見過ごせないという感覚があるのかもしれない、自分たちで何かをすることは、楽しいのかもしれないと思った。
地域との出会いの場所がないのが現状だが、見える仕組みが必要である。でなければ始まらない。人とのつながり、広がりがほしくて、ボランティアセンターを設立した。地震が公益とのつながりになった。
○今の若者をどう見るか。今の社会にかけているものについて
行政・市民(ボランティア)両者の公益活動の違いは何か?組織の行動の原理に対して、ボランティアの行動の原理は私発(自発)・自由である。行政の原理は平等・公平であり、それゆえに行政は万能ではない。一方で、細やかなサービスをしていく必要がある。いろんな人が安心できることが豊かな社会であり、そこに関わりたいと思っている。
「市民による公益活動」は、サービス提供型、ソーシャルアクション型である。市民が社会の問題に気づいていける場を提供したい。
今の若者は、消費者化、弱体化している。社会は、若者に対する期待、信頼、適切な支援が必要。しかし、現実には主体性の芽を摘んでおり、自ら学び、生きる力を奪っているのが現状である。支援しすぎで、本人が考えて動く力を奪ってしまう結果にまっており。
これからの社会は、若き市民を育むために、(1)意識、意欲を高める(成し遂げるための力をつける)場の提供、(2)知識やスキルを学ぶ機会の提供、(3)公益活動の担い手としての活動機会の提供が必要である。
今を目的達成のため犠牲にしていたのではないか。今が大事である。自分自身確信をもって生きるとよいのではないか。それが、よりよい社会をつくることである。
企画者側が作った未来予想図の説明
キーワードは、つながり・循環・個人のパワー、企画者一人ひとりの考える、つながりについての発表。例、企業と福祉が結びつき、新商品の開発など。望むつながり、教育、行政、人権、市民がつながり、個性的な子供も通える学校作りなど。
未来予想図作成
2チーム(8人づつにわける)
赤沢チームのポイント:つながりが大切 情報を撒く事は必要である 情報をうながすことで、自分たちの問題として受け止めてほしい。
未来予想図完成、発表会
3. 成果
赤沢チーム
種は思いの募った情報に例え、そのタネが飛び散り、根をだしたりすることで、それぞれの思いが広がる。協力してたねをまくことで自分の思い、自由が遠くまで広がる。力強さや、みんなで手をとっていくことで、いいことは広がる。
澤邊チーム
さまざまな要素を出し合った。太陽、中心が人であり、宇宙が公益であり、緑の部分は当たり前のもの、自然をイメージ。教育の要素は、必要である。政治は複雑なことを表し、酸味のある要素はこの国の現状を表している。宗教、国際関係、いろんな人がいること。
4. 課題
これから、互いに理解しあい係わっていく事が必要であり、人間が中心に主体になって公益を考えていく。この会だけ、ここだけで終わらないで、公益の考えを全国に広げていく事が必要である。
5. 参加者の声
・若い人と触れ合えてよかった。
・学生時代を思い出し公益について考えるきっかけになった
・若い人のエネルギーをもらった。
・公益を知ることができ、刺激をもらって考えるきっかけになった。
6. 運営サイドから
和やかなムードで、未来予想図を作成する事ができた。
事前に私たちが作った図
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