分科会4 松山町
地域の先生はどこにいますか
<子育ち>を地域で応援する<シカケ>と<キッカケ>
コーディネーター 大屋 秀男(財団法人ハーモニィセンター・東京都)
事例報告者
高橋 健(松山町立松山中学校)
樋渡 昭(阿部記念館・松山町)
三浦 雅広(酒田工高2年)
冨樫 雅人(酒田東高1年)
鈴木 琢磨(酒田東高1年)
1. ねらい
今年度より、新学習指導要領が本格的に実施され、「学校で学び、地域で学ぶ」がスタートした。町では、多くの人々が様々な場面で地域の先生として子供たちに関わっている。その実践事例を持ち寄り、地域の自然・社会環境や人々の知恵を子供たちのために生かしていくにあたっての問題点や今後のあり方について一緒に考えてみる。
2. 内容
話題提供1. 能・狂言の世界を体験して
パワーポイントを利用して、画面に松山能・狂言の場面等を映し、3人が実際に「舞」「地謡」「狂言」の一部分を演じながら発表。
伝統芸能との出会いは3人とも、松山小学校のクラブ活動の中で子供狂言の魅力にひかれたこと。薪能、海外での公演等で観客に喜んでもらえて楽しみを覚え、稽古を通して伝統芸能の奥深さを学び、これからも継承していきたいと結んだ。
話題提供2. 地域に根ざした選択技能教科
松山中学校はスローガン「思いを込めて郷土を作りあげよう(地域と共に歩む、地域に支えていただく連携)」を掲げて様々な活動にとり組んできた。
平成10年度から開設した選択技能教科のねらいは、次の通りである。
(1)基礎的・基本的な知識・技能・態度を確実に身につけるようにするとともに、生徒の能力や適性、興味・関心等が多様化してくることに対応する観点から、地域文化の継承を含めた形で選択幅を拡大し、一人一人の個性の伸長を図る。
(2)地域の方々を講師の先生に招くことにより、地域の歴史や文化を理解させ、より発展させようとする意識と意欲の向上を図るとともに、より「地域に開かれた学校」として確立させる。
平成14年度の選択技能教科の時間数とコース
※年間時数 月曜日5. 6校時 年間24時間
※コース 声楽器楽・クラシックギター・水彩画・デザイン・陶芸・書道・写真・神楽舞・スポーツ・コンピュータ・工芸・華道・茶道・料理・手芸・福祉・着付けの15コース。
各時間毎に生徒による自己評価及び講師による評価を行っている。
生徒達は、技能を磨くだけでなく卒業後も続けたいなどの希望を持つ等の感想が紹介された。講師も、生徒の技能の向上に喜びを感じているビデオ映像が映された。ただ、平日に指導できる講師の確保、生徒の希望を全てコースに組み込むことが出来るわけではない点が課題としてあげられた。
話題提供3. 阿部記念館自然教室への取り組み
阿部記念館は、「三太郎の日記」で広く青年に感化を与えた哲学者阿部次郎とその兄弟達の業績を讃え、生家の保存と活用を図り地域の教育・文化の発展に寄与するため、松山町が遺族から寄贈を受け平成3年に開館。平成4年から自然教室として、春の「モリアオガエルの里ウォッチング」、夏の「磯の生物ウォッチング」、秋の「三太郎の道ウォッチング」を開催し、小中学生一般を合わせて100名を越す参加者があり、松山の自然を辿る行事として定着し、教育委員会・公民館・森の案内人の協力を得て進められている。眺海の森動植物調査が進められ、若い研究者の連携が進められるなどの成果があげられるものの、指導者としての後継者の育成も課題である。
パワーポイントでモリアオガエルの産卵の様子、サンショウウオ、植物、参加者の画像が映され、神秘的な自然の営みの様子に参加者から歓声が上がった。
(昼食は、町内の食生活改善協議会の人達が鱈汁を作って参加者を歓待し、好評であった。休憩時間に松小狂言クラブによる「盆山」の公演があり、鑑賞した参加者も実際の子供狂言に盛んに拍手。)
分科会
○県外・町外からの参加者の自己紹介と話題提供の感想と日頃の自分の活動紹介
3つの事例の<シカケ>は?
・演能団体「松諷社」の齋藤康二会長が、20年位前当時の松小校長にクラブとしての立ち上げを要望して実現。学芸会・薪能などの発表の機会を持ち現在まで継続。
松山中学校は、町出身の校長が赴任した時に、教務と共に「生徒に町を好きになってもらいたいと」町内の講師に直接お願いに歩き実現。阿部記念館は、樋渡館長の発案に、地域の人達の協力を得て実現。
○ボランティアに入ったきっかけ
・広島県の大学生白井君は、小学生の時参加したキャンプの高校生スタッフに憧れて、大学生になってから指導者として参加。年齢が近い先輩として、ちょっと教えてあげるという役割があれば高校生も参加しやすいのではないか?
・秋田県大潟村の加藤さんは、干拓時代を経験した親は、子どもに辛さを経験させたがらないので、ヤングボランティアを始めた。ボラを始めるきっかけは周囲の「声かけ」ではないか?
・(松山町の実践例を見て)伝承芸能の後継者が育つのは、感性が豊かな町での仕掛け人の存在、指導者の熱意があってのことではないか?
・地域の活動に「あなたが必要だ」と伝えていけば、高校生は育つ。多動の児童が、地域の方との交流で良い方向に向かった例がある。子どもは地域との関わりの中で育つ。
・地域の先生は、実は家族であり自分の周りにいる人皆ではないか?そして自然でもあろう。自然を次の世代に残すことも大人の義務である。
・学校も地域の活動に参加するよう声かけし、親が背中を押してやる。その成果は学校や家庭に必ず返ってくる。
○大屋コーディネーターから
・小さい町で100名を越す参加者がいる意欲に感激。
様々な活動の中で2001年からの藤代3次元プロジェクトではポニーの乗馬を通して障害を持つ人のリハビリに取り組む。サポーター・資金援助など「やりたい」という熱い思いを伝えることが大事。
3. 成果と課題
・地元の活動を参加者に紹介することができ、またあらためて、地域の良いところを発見することができた。
・若い人たちの意欲を感ずることができて、頼もしく思えた。
・各地区の拠点施設を中心にメニューの開発が大切で、参加者の意識が高まった。
4. 課題
・今までの先入観を取りのぞき、具体的なメニューづくりをどう進めていくか。
・再度、町の個人ボランティア・ボランティアサークルの洗い出しを行う。
・後継者の育成、発掘。
5. 参加者の声
・学校ではなく家庭や地域が子ども達を育てていることを感じとられた。
・松山町のボランティアに対する姿勢の良さを感じた。
・町民の感性が鋭いから、子ども達が育つ。
・子どもと先生の信頼関係、それを取り囲む地域の人たちの力がすごい。
・学校だけでなく、地域の人みんなが「先生」ではないか。
・温かい歓迎に感動、感謝している。
5. 運営サイドから
・参加者が積極的に事例を紹介し、考えを発言していただいてすばらしい分科会ができた。
・パワーポイントを使っての話題提供ができ、参加者にわかりやすく説明ができた。
・昼食時に、食事サポーターによる心のこもった寒鱈汁が提供することができて良かった。
・日頃気付かずにいたことを、発見することができた。今回の盛り上がりを今後の活動の中に生かしていきたいと思う。
おらほの「お宝発見術」
ボランティアネットワークが育むまちづくり
司会・講師 石井 布紀子(コラボねっと代表取締役・兵庫県)
事例報告者
歌川 泉(株式会社アド・クリーク・新潟県)
真田 俊紀(最上川土地改良区・余目町)
講師 日野 淳(余目町文化財調査委員会)
1. ねらい
私達が普段見過ごしている歴史・文化・自然の中から地域の宝を発見し、人々の志をつなぎ地域を動かすまでの、具体的なコーディネート術、ネットワーク術を学ぶ。
2. 話し合いの記録
事例発表1 歌川泉
「町民パワーが結集した「世界一」のウス祭り」
新潟県能生町は人口約1万人の漁業の町。日本一のものを作りたいという思いから、「ウスバカトリオ」が仕掛け人になり、商工会も巻き込み、直径2.5メートルの世界一の大ウスを作った。
祭りでは、地元の伝説による演出がなされており、経費は全額実行委員が寄付で集める。
町民から批判も浴びたが、ウスをシンボルとして、様々な人が一緒になって語る広場が出来た。
地域の中での祭りの位置づけ、効果をはっきりさせないと、人を呼ぶだけの祭りになる。農耕文化等の勉強をすることで、祭りに深みが出る。
事例発表2 真田俊記
「圃場整備におけるメダカ保全活動」
平成11年に余目第一小学校の児童が絶滅危惧種のメダカの命を守ろうと立ち上がった。圃場整備地権者の反発があったが、授業の一環で行ったメダカ救出作戦が新聞に大きく載ったのが起爆剤となった。
それから学校、協力会、土地改良区、町、県、鶴岡淡水魚協力会で保全組織を形成し、調査で2種の絶滅危惧種を含む17種の魚が棲むことが分かった。この調査を元に、様々な保全池や調整池を作り、水生生物の保護を行っている。
今後の課題は、保全施設の管理。誰がやるか。資金は?地元の集落ではNPO法人を立ち上げ、自主管理する構想がある。
思いが展開して形になって広がり、皆のものになっていくプロセスが、二つの事例の共通する点。
はじめにふつふつとした思いがあって、両方ともサポーターが出来た。とりあえずやっちゃえ、ということになって動き、その後町の人・行政の協力があって、一応形が整って活動がきっちりスタートする。前の段階がじっくりあったために、ここから継続性のあるものとしてスタート出来た。人が話し合って交流する「広場」。学習、調査研究。最後には、ビジョン。全体がどこに向かっていくのか大きな視点で考えていく。
もし、宝があったとしても、それを使ってどうやっていくかといういろんな力が集まり、チャンスがあったり、場所が得られたり、そういうことがないと上手くまちの力にならない。
今回の事例報告の二人はそれらを総合的につなぎ結ぶコーディネーターorデザイナー的役割を担っていた。地域の宝を活かすには、まずこういったコーディネートを行う人材が必要であり、こういった人がまた地域の宝ではないかと考えられる。
グループディスカッション
(1)言葉のピンポンラリー
アイデア出しのためのゲーム。2人か3人で一組になり、最初の人が思いつく言葉を書き、次の人がその言葉から思い出される言葉を書く。
一つの言葉に対するイメージは、人によってすごく違っている。ところが、会話の中では互いにイメージでつながっていることが多い。
(2)おらほの宝は?
各自10分間、地域の宝だと思うものを1枚ずつカードに書く。班内でシェアし、同じようなものをグループ化し、タイトルを付ける。
キーワード、タイトルでマップをつくる
せっかくの宝を循環させていく方法を考える。
・今回は抽象論でやったが、地域でやるときは、「まちは元気か?活気はあるか?」というようなテーマで、「そう思う、思わないとき・こと」を出し、それがどこに所属するか分ける作業をしたほうが「活かされているところ、いないところ」両方が出しやすくなり、対処法を考えやすくなる。
・最近は行政計画でも沢山の人の声のカードをいかして仕組みづくりを見直すという手法が出てきている。
(3)I wish〜 We wish〜
「〜したい」というのを決める。今自分が関わっていること、関わってもいいと思うもの、自分の解決したいと思う問題等を書く。
これを広めたり、深めたりするために必要なものを箇条書きする。
その中で、既にあるもの、得られそうなものに○。得られそうにないものに×。自分では無理だが、誰かに頼めば調達できそうなものは△をつける。
終わったら、活動の展開が広がっていったり、深まったり、自分の思い通りにそういうものが得られていったらどうなるかなあという夢を膨らませ、それが(2)で作ったキーワードのどこに所属するか書いてみる。
グループでやるときは、「I wish」を出したら、グループ全員でシェアした方が発展する。それぞれの思いを合わせて「We wish」を作る。これをしっかりしないと、うまくいかなくなる可能性がある。
講師アドバイス
特にNPOが流行りだしてから、団体のミッションというのがとても大事になった。人が団体に入ってくるには、その団体の「ミッション」「人」「やっている事柄」の三つが理由の場合が多い。募集をかけるときの戦略が重要。どう言って呼びかけたら意欲のある人が集まるか。そして、「こんなことがやりたいからここに来た」という思いと、団体側の理念のすりあわせが必要。
また、グループの中で自分の位置づけを認識していれば、不満ではなく、課題が出てくる。課題発見力が展開をよくするには必要。ここを直したら良くなると言ってくれる問題発覚装置のような人がいると助かる。だから、関っている人が全体の流れと方向性を理解することは重要。それには、個人のミッションとのすりあわせが必要で、改まった場がなくても飲みニケーションの場などで上手くそれをやっておくと崩れない。
ミッションから、何をやるか作っていくのが実施目標。目標が本当に達成されるのかチェックする指標が成果目標。この両方を立てたほうがよい。それから、時間を早く区切って、時間の中で実現可能かどうか。また予算的にも無理なようであれば、柔軟に実施計画を書き換える。
参加者から、「自分のやっていることは小さくて、どんな風にまちづくりのために役立てられるかわからない」という声があったが、それぞれの団体全部がまちづくりのために役立とうと思ってやっていくという方法もあると思うが、仕掛け人・組織をつくりいろんなものを全体の力にしていく方法もある。そうすれば個々の人は小さいままいいし、“バカ”が“バカ”のまま輝くことが可能になる。ここで仕掛け人は、情報発信力・デザイン力がある人が多く、今あちこちにある宝の良さを、一つの絵に埋めていけるのが特徴。関わる人々は、それを見ることで、更に自覚が高まって、頑張ろうという気になることがある。団体の現場と、全体のことを両方やることは難しい。
3. 成果
一人ひとりの思い、感性、持っている力、つながりを地域の取り組みや課題解決に活かすためには、コミュニケーションの場があるといい、ということを体験してもらった。
全員参加で違いを活かす。現状を出来るだけ具体的にする。I wish〜 We wish〜 を出来る範囲で作る努力をすることが最低限必要。そのコミュニケーションの場づくりを研修という形でやった。
事例発表からは、地域に生じた思いを実現させるためのプロセスを知ることが出来た。
地域の宝を探し、それを循環させること。そして、それを「つなげていくこと」。ネットワークの方法をグループディスカッションでシュミレーションし、体験することが出来た。
一人ひとりの願いを知り、共有し、みんなの願いとして合意形成していく手法を学んだ。
最後の講師のアドバイスからは、以上のようなことを実現していくための、団体のあり方を学ぶことが出来た。
4. 課題
・反対者・資金・継続のための組織形成等。
・全体のビジョンがどこに向かっていくか。
・ボランティアは、自立支援の「医療・福祉系」と、より多くの可能性・選択肢を追求する「文化・スポーツ・旅系」に大きく分けられる。日本では、この双方が上手く循環するまちづくりの提案が少ない。
・個人のミッションと組織のミッションのすり合わせ。そのための交流の広場の確保。
・地域の宝が宝になっていない場合がある。「宝磨き」が必要。
5. 参加者の声
・イベントでまちづくりは完成しない。イベントは手段であり目的ではない。
・情報が氾濫する現在、ポリシーを持って継続していくことは困難だが、それが大事。
・協力して盛り上げていくと、必ず反対者が出るが、住民皆が自分の出来ることで協力することが必要。
・社会の力として、ボランティア・NPOの力を再認識することが出来た。近年行政施策の中でもその推進が強調されているが、地域の中で各組織が連携し、推進していくことの必要性を強く感じた。
・いろんな分野の人とのつながりを持て、「まちづくり」について参加者全員で真剣に話し合えて、有意義であった。
6. 運営サイドから
「お宝発見術」と「ネットワーク、コーディネート術」という2つの流れがあって、それが上手く組み立てられていくか危惧していたが、講師の手腕で分かりやすく運んでいただき、大変良かった。
インフルエンザで欠けたスタッフがおり、ちょっとバタバタしてしまった。
空にそびえたつ大きな風車!クリーンエネルギーの風力発電!
空気がおいしい立川町で、住みよい地球を考えよう!
ファシリテーター 佐藤 留美(特定非営利活動法人NPO birth・東京都)
基調講演 今田 幸雄(立川町助役)
助言者 工藤 時雄(蛍研究会・立川町)
内藤 孝一(立川町有機米研究会)
1. ねらい
田園の中にそびえる大きな風車は、これまで住民にとって弊害でしかなかった風を電気に変えている。
また、町内で出る生ゴミと籾殻を牛糞とまぜ、コンポスト堆肥をつくり有機農業に使用している。
自然にやさしい「循環」と「共生」の町づくりをめざしている立川町で、環境問題を考える。
2. 話し合いの記録
午前 フィールドワーク
(1)堆肥生産センター視察
(2)ウインドーム立川視察
(3)風車(1,500kW)見学
(4)風車市場を見学
午後 立川町分科会
演題“風が描くまちからの小さな挑戦”
○基調講演 立川町助役 今田幸雄氏
日本三大悪風と言われた立川の風を逆手にとり、町おこしに利用しようと昭和55年から小型風車による農業(温室ハウス利用等)への利用を目的とした風エネルギー事業に取り組んできた。
そもそも、立川町の風は奥羽山脈からの冷気がおろしとなる清川ダシで、最上渓谷から、庄内平野に吹き出す。
この風は春から秋に吹くが、冬は逆に日本海の影響で吹く季節風が強く「地吹雪」も発生するため、平均風速は5.1mで一年間平均して風が吹いている状況である。
風車を建設するにあたり、「ふるさと創生一億円」をきっかけに、日本風力エネルギー協会の清水先生のご協力を受け、風車で発電することにし、電力会社に引き取ってもらうこととなった。
400kWの風車2基は、平成8年より運転されており、600kW4基も、平成11年から稼動している。風力発電は近年急速に大型化し、平成13年には、1,500kWの風車も運転されており、低風速でも効率よく発電できるなど技術開発も進んでいる。
この時代、環境問題が取り上げられるようになり、その事が立川町の風車で発電するクリーンエネルギーを後押ししてくれているようである。風車は他のクリーンエネルギーと比べて発電力が大きいため、国も興味を持ち力を入れてきている。
小さな町の取り組みが、大きな輪を広げる。世界の環境を考えていきたい。
○立川町有機米研究会 内藤孝一氏
昭和62年畜産農家5〜6名が集まり、“いい米を作ろう”という発想からこの会が発足した。
昭和63年に立川町堆肥生産センターができ、町内から出る生ゴミと籾殻、牛糞をまぜコンポスト堆肥を生産している。捨てればただのゴミであり、籾殻は燃やすことしかできず、煙がでるから公害と言われていた。それを利用して肥料を作り、田や畑に返して米や野菜を作る循環型農業を目指している。
近年、地産地消が話題となり、学校給食でも有機米を使用するようになった。子供たちに安心して安全な物を食べてもらいたので、とてもうれしいことだ。
食品の生産者がわかる製品である有機米は、関西の生協に出まわっている。有機米のおかげで、関西の方々との、人と人とのつきあいができ、稲刈り体験等、民泊で立川町に出向いてくれるようになった。それが、顔が見える米作りだと思う。
去年10月、皇居献上粟を山形県代表で栽培し、皇居かしこ所にて献上した。貴重な経験であったが、特に粟は、鳥の大好物であるので何重に網をかけても、すぐ鳥にやられてしまう。とても苦労をした。
(皇居に献上した同じ粟を分科会で披露し、参加者の感動を得る)
農業をやりながら、森林組合の作業をしているが、今、山が荒れている。山から水が流れ、川に行き田や畑を潤し、海に注いでいる。そのことを踏まえ、皆さんももっと山に関心をよせていただきたい。
○立川町蛍研究会 工藤時雄氏
(OHPを使いながら、分かりやすく、説明を進める)
最初は、二俣公園でカブトムシを捕り、子供たちと一緒にすもうを取らせて遊んでいたのがきっかけで、その土地を借り受け山小屋を建て、蛍の研究を始めた。
平成6年、狩川幼稚園の子供たちと蛍の放流会を始め、狩川小学校の3年生との交流、鶴岡公園に幼虫提供、又、山形ビックウイングの水路に蛍幼虫放流など、蛍から大きな人の輪がつながり、とてもうれしく思っている。
ちなみにビックウイングの水路の蛍は、今年の夏に飛ぶ予定である。
蛍の養殖も環境にやさしい方法(太陽パネルを使い、流れ水で飼育)で育てている。蛍も、カブトムシも、生き物みんなを大切に、自然資源の活用を考えていきたい。
《質疑応答ファシリテーター 佐藤氏》
・活動をとおして大変だったこと、良かったことを教えてください。
―大変だったこと―
工藤氏:蛍は生き物、冬でもえさを与えなければならないので、川にえさを捕りに行くこと。(冷たい川にはいって捕る)
内藤氏:会員が増えて、米の販売先を拡大するため、いろいろ回ること。
今田氏:汗をかいたのは風車が立つまでで、不安や心配の連日だった。
―良かったこと―
工藤氏:多くの人が、蛍を見て感動してくれる。公園までの道すがら家族でいろいろな話をしながら、蛍を見に来てくれる。
内藤氏:生産者から消費者へ、人間の輪が広がったこと。
今田氏:風車が回って良かった。去年は全国から50,000人の方々が風車を見に来てくれた。
風車になじんできている町民が多くなり、喜んでいる。
ファシリテーターから:外からも来てもらい、内(町民)の皆さんもがんばっているのですね。
ワークショップ(6班に分かれて)
立川町の印象をポストイットに書く。
・米がおいしい
・風車がある
・水がきれい(澄んでいる)
・山がある
・空気がおいしい
・人がやさしい
(1)立川町の良いところ
・人情があつい
・水がおいしい
・山菜がおいしい
・自然豊か
・高齢者が元気
(2)立川町の悪いところ
・地吹雪
・病院がない
・交通の便が悪い
・食堂が少ない
・若者が少ない
3. 成果
・全員が本当に楽しく参加することができ、笑いがたえない分科会であった。
・立川町の良いところ、悪いところは、紙一重であってどちらにもあてはまるところがある。
・立川町の自然を、自信をもって皆さんに伝えることができる。
4. 課題
・風車が立ってから私達町民は、いろいろな事(環境問題)を考えるようになった。
・自然相手は、その時その時で毎年同じということはない。
・鉱物エネルギーは底をつくが、自然エネルギーは、太陽があるかぎり、風が吹くかぎり、水が流れるかぎりつづいていく。
5. 参加者の声
・立川町は何もないところと思いがちだが、自然を利用して環境問題に取り組んでいる町である。
・自分たちが“こまった”と思っていたもの(生ゴミ、籾殻)を再利用し、循環型社会をつくっている。
・風車が回っていなくて残念。回る時の風の音も聞いてみたかった。
・短い時間ではあったけれど、お互いの人柄がわかりあえるような分科会であった。
6. 運営サイドから
・昼食のごちそうを参加者の方に喜んでいただき、とても良かった。
・参加者が、本当に楽しく参加でき、すばらしい交流ができたのがうれしかった。
・ボランティアの協力により、成功につなげることができた。
・ファシリテーターの佐藤先生、おつかれ様でした。
・記録の私も風車の見学で内部を見せてもらい、とっても得した気分であった。
◎ボランティアのみなさん本当にありがとうございました。
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