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表5-3-1 十和田湖における漁獲量及び遊漁者数
  漁獲量(kg)   遊漁者数(人)
ヒメマス ワカサギ サクラマス コイ・フナ エビ ヒメマス コイ
1974 S49 18,488   1,399 306 6,403 1,429 6
1975 S50 27,627   2,550 684 3,600 4,746 42
1976 S51 27,985   1,930 252 3,106 3,802 40
1977 S52 34,213   1,691 104 2,260 4,429 89
1978 S53 40,518   1,880 124 3,084 7,230 90
1979 S54 32,814   1,141 422 2,398 9,915 190
1980 S55 41,923   476 426 1,221 10,264 356
1981 S56 52,772   462 535 886 11,914 547
1982 S57 53,368   541 1,092 654 12,405 607
1983 S58 60,259   604 1,312 95 15,575 858
1984 S59 52,266   541 835 48 12,790 1,001
1985 S60 2,306 84,671 768 1,070 450 4,984  
1986 S61 3,008 33,817 490 1,004 873 10,320  
1987 S62 5,526 5,944 506 1,064 22 6,467  
1988 S63 5,933 1,904 401 813 31 3,880  
1989 H1 44,740 1,804 206 1,238 69 7,886 885
1990 H2 21,722 90,788 219 1,071 92 6,430 1,002
1991 H3 19,252 142,181 1,330 1,561 240 5,068 831
1992 H4 2,508 34,079 870 2,231 518 3,504 785
1993 H5 2,655 3,765 420 1,526   1792 696
1994 H6 8,584 6,304 105 1,119   2703 742
1995 H7 4,236 23,217 120 585 9 3158 962
1996 H8 5,433 25,771 128 570   1813 802
1997 H9 14,129 8,280 145 600   2,399 700
1998 H10 39,089 25,309 215 450   4,599 482
1999 H11 15,610 29,318 245 555   3,588 503
2000 H12 2,949 31,563 734 2,392 33 1,844 389
2001 H13 2,899 19,182 616 1,329 14 1,535 372
2002 H14 4,232 49,190 702 1,201 11 1,108 414
注1)
下線または斜体の値以外は、各年度(昭和49年度以降)の十和田湖増殖漁業協同組合業務報告書から引用した。漁獲量は、地区別漁獲量の合計であり、この漁獲量には採卵親魚は含まれていない。
注2)
下線の値は、各年度の青森県内水面水産試験場事業報告書または十和田湖資源対策事業調査報告書に記載されている遊漁券の発行枚数である。
注3)
斜体の値は、十和田湖増殖漁業協同組合からの聞き取りである。
 
魚種 期間 遊漁料
こい、ふな 7月21日〜9月30日 1日200円
1年2,000円
ひめます 船釣 10月1日〜12月31日
4月1日〜6月20日
7月11日〜7月20日
1日2,000円
岸釣 10月1日〜翌年6月20日
7月11日〜7月20日
1日1,000円
さくらます 6月1日〜6月20日
12月1日〜翌年2月末日
船釣1日2,000円
岸釣1日1,000円
えび 周年 1日1,000円
(十和田湖増殖漁業協同組合遊漁規則から引用)
 
十和田湖のヒメマスをこれ以上減らさないために(池産親魚による種苗生産)
加藤 禎一
 
 ヒメマスが生息する日本の代表的な湖は十和田湖、中禅寺湖、支笏湖である。何れもほぼ一世紀に亘って人工ふ化放流が行われている湖である。
 これまでにヒメマスを放流した湖が多数あるにもかかわらず殆ど増えていないことを考えると、日本の湖の場合稚魚の放流は不可欠の条件のように思われる。
 これほど重要な稚魚の放流であるが、最近の十和田湖は、親魚の不漁によって採卵数が著しく減り、平成12年(2000年)31万粒、平成13年(2001年)27万粒、平成14年(2002年)26万粒となって、過去51年間の平均176万粒の1/6程度しか採卵出来ない状態が続いている。これほど少ない状態が3年も続いた例は、ふ化放流事業の再開直後の昭和27年(1952年)当時を除けばこれまでに例がない。稚魚の放流が大幅に減った状況が続いているだけに漁業や遊魚への影響が懸念されている。
 嘗ては支笏湖や中禅寺湖から卵を補充したこともあったが、現在これらの湖も十和田湖と似たような状況にあるのでそれを期待するのは難しい。
 このような時に役立つのが池産の親魚による種苗生産とその稚魚の放流である。基本的な考え方はヒラメやマダイで行われている栽培漁業と同じであるが、現在人の手で行うことが出来る唯一の積極的な手段でもある。ただ、ヒメマスの場合は25年以上の実績のあるヒラメやマダイと違って稚魚から育てなければならないので多少時間が必要である。
 ヒメマスに限らず川や湖に生息する魚を池で飼育すると、普通は殆どの魚が成熟する前に病気にかかって死亡する。数百尾の魚が全滅することも珍しくないほど、自然水域にいる魚を池で繁殖させることは想像以上に難しいのである。これは捕獲した野生のパンダやトキの繁殖が難しいのと全く同じである。
 嘗て十和田湖ふ化場では、この困難な仕事に取り組み8年もかかって池産の親魚から採卵するのに成功している。今から29年も前の昭和50年(1975年)のことである。
 その後池産親魚の種苗生産は順調に進んで最盛期の昭和62年(1987年)には371万粒を採卵するまでになった。これは池産ヒメマスの採卵数としては空前の記録で画期的な成果である。
 その成功の最大の秘密は、全滅に近い状態で生き残った魚の子を親に育てるという方法である。池の飼育環境に耐えて生き残った魚の子であるから、親と同じように池の飼育に強いと考えられている。
 十和田湖では平成9年(1997年)に池産親魚の飼育を中止しているのでゼロからのスタートになるが、放流稚魚が不足している現状から脱却する唯一の方法だけに早期再開が望まれる。
 この場合も、大量の種苗は必要ないので、現状に合う目標卵数を設定して、それに応じた尾数を飼育するなど効率的な方法に務めることが重要である。
 また親魚の飼育も、飼育施設や推量の十分でない現在のふ化場で実施しなければならない理由はない。むしろ、防疫上、秋の湖産親魚と池産親魚の接触を避けるためにも別の場所で実施するほうが望ましい。また、養殖業者に飼育を委託するのも一つの選択で、いずれにしても手遅れにならぬよう早急に対処することが望まれる。







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