(2)底質
十和田湖湖岸付近(水深約1m〜10m)の底質は、礫(れき)、砂、泥など多様で水草の生息もみられる。一方、沿岸域(水深約10m以上)の底質は、ほぼ泥である。
写真:十和田湖湖岸の底質
写真:十和田湖沿岸域の底質
西湖1休屋沖合(水深約10m)2003年10月撮影 |
(この地図の作成にあたっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(行政界・海岸線)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用した。承認番号−平15総使、第579号) |
上の写真を見ると、湖岸の底質は、波の影響などで泥が溜まりにくく、砂や石が多い。一方、沿岸域では波の影響が少ないため、泥が堆積している。一般に湖は、海域などと異なり閉鎖的な水域であることから、沿岸域の湖底は泥が溜まりやすい。
図2-3-5 |
十和田湖沿岸域(宇樽部、休屋−水深約5〜10m)における強熱減量(IL)の経年変化 |
(出典:十和田湖資源対策事業調査報告書 昭和47〜60年度 調査結果の総括 資料編 十和田湖ふ化場協議会/高村典子(1999)国立環境研究所研究報告 第146号 十和田湖の生態系管理に向けて) |
底質の長期的な変化を有機汚濁の指標のひとつである強熱減量※18(IL)の値でみると、1975年から2000年の間では、大きな変化はみられなかった(図2-3-5)。
十和田湖の湖底には、江戸時代(1660年代)に発見された鉛山、銀山からの鉱山廃水に混じって流入した多量の重金属が堆積している。しかし、1978年に行われた調査では、重金属類が水中に溶け出すことはほとんど無いため、魚類等の水生生物への影響は極めて少ないとされている 9)。
※18湖底堆積物の乾燥試料を高温(600℃)で熱すると、堆積物中の有機物は加熱分解され、二酸化炭素などとして大気中に放出されて重量が減少する。この減少の割合を強熱減量という。
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