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2.5.2.2 主軸受メタル摩耗
 主軸受メタル摩耗が発生した場合を想定して、主軸受メタルとクランク軸とのクリアランスを広げるために、全ての主軸受メタル厚さを正常状態から-30μm(オーバーレイ相当:摩耗限度)にし、擬似故障試験を実施した。
 計測位置は、(1)第5気筒横ブロック、(2)第4主軸受横ブロックの2箇所である。
 主軸受メタル摩耗に対しては、以上の2箇所で計測、解析した結果、下表のとおりの結果となった。
 
表2.5.2.2-1 主軸受メタル摩耗の異常検知結果
計測位置 時間ゲート 異常検知の可否
○/×
図番号
各気筒横ブロック 第5気筒 無し × 2.5.2.2-3
2.5.2.2-4
有り × 2.5.2.2-5
2.5.2.2-6
主軸受横ブロック 第4軸受 無し 2.5.2.2-9
2.5.2.2-10
有り 2.5.2.2-11
2.5.2.2-12
 
 また第4軸受ブロックにおける振動データから、他軸受の位相の振動が検知できることを確認した(図2.5.2.2-13-14参照)。
 よって、ブロックの中央に位置する第4軸受ブロックの振動で他の軸受の主軸受メタル摩耗が検知可能である。
1)第5気筒横ブロック
 第5気筒横ブロックでは、時間軸データ、周波数解析のいずれにも顕著な差は現れなかった(図2.5.2.2-1、-2、-3-4参照)。
 主軸受メタルが摩耗した場合、各気筒での爆発タイミングでの振動に変化が現れると考えられるため、第4気筒爆発(4FTDC)のタイミングで時間ゲートをかけた。
 周波数分析した後にパーシャルオーバーオールからRMS値を求めたが、有意な差は得られなかった。
 よって、第5気筒横ブロックでは主軸受メタルの状態(摩耗)を検知できないため、振動センサ取付部の構造を考慮しながら、別の計測位置で評価する必要がある。
 
図2.5.2.2-1 第5気筒横ブロック(負荷300kW)正常時
 
 
図2.5.2.2-2 第5気筒横ブロック(負荷300kW)摩耗時







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