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(3)船陸間における情報リンク機能
 航海情報収集装置より1時間毎に位置情報を取得し、その都度船陸間通信により陸上処理サーバーに送信し集計することにより、通信不能区域と通信不能率を算出した。その結果通信エラー率はDoPa網で約2%程度、CPA網では約4%程度で収まっており、通常データのテレメトリ送信においては問題ない範囲といえる。
 
(4)船陸間通信による経済性
 陸上処理サーバーにて受信した陸上診断・支援データの集計を行った結果を表2.3.5.2-1及び図2.3.5.2-3〜4に示す。前述の試験状況にも示したように、一定のデータ送信が得られなかった時期があるが、通常は安定した通信を行なえた12月・1月期に示すようなデータ量になる。
 他に比較して燃焼解析情報が圧倒的にデータ量が多くなっており、その比率は1月の実績で90%程度であった。また、位置情報はデータそのものはごくわずかであるが、送信頻度が多いため(1H毎)比較的大きな値となっている。
 結果として、CPA利用時の送信量はDoPa利用時に比べて3倍強あるにもかかわらず料金の差はそれほど多くない。これはパケットに対する課金方法がCPAが割安になっているからである。またCPAではパケット割引サービスもあり、これらのサービスを適用した場合、1月時のデータ量に対して7千円程度に抑えることが可能となる。しかしながら、データ量の増加は通信エラーの増加や衛星船舶電話を利用する場合の通信費用の発生などに繋がるため、更なるデータ圧縮の効率化が課題である。
 
表2.3.5.2-2 船陸間通信 月次データ集計表
No. 送信項目 データ量(Kbyte) 送信頻度
10月 11月 12月 1月
1 位置情報 659.9 656.3 665.6 671.2 1H毎
2 一般情報 344.5 292.8 329.2 324.1 4H毎
3 燃焼解析情報 2544.7 1504.4 11056.0 15605.3 4H毎
4 各種記録・帳票データ 987.0 1057.2 848.5 986.4 1月毎
5 通信ログ情報 565.7 537.6 281.0 236.8 4H毎(9月〜11月)
1日毎(12月〜)
  合計 5101.8 4048.3 13180.4 17823.8  
※10月・11月はDoPa網を、12月以降はCPA網を利用
※各送信項目の内容は表2-2を参照のこと
※通信ログ情報は、データ量削減のため12月より1日毎の送信に変更
 
図2.3.5.2-3 船陸間通信月次データ量集計グラフ
 
 
図2.3.5.2-4 船陸間通信月次通信料金集計グラフ
※通信費、基本料金を含めた端末利用費(税込)
※10月〜11月:DoPa網利用、12月〜1月:CPA網利用
※各料金体系は以下の通り
DoPa料金プラン:シングル・ライトプランS
CPA料金プラン:シングル14.4
※陸上処理サーバー〜各携帯通信網間の専用線利用費、通信費は除く。
 
 また、電子化による船陸間通信の有効性を評価する方法として、FAX送信との差異を検証した。各種記録・帳票データでは、ハンディターミナルシステムにより作成されたM0チェックリストや整備点検記録など10項目の帳票データが送信されている。表2.3.4.2-2に示すように、12月時点で送信された帳票に関して、仮にFAX(船舶電話)で送信した場合、約8,700円程度の費用が発生するのに対し、データ通信では約1,000円程度に抑えることができ、船内帳票類の電子化及び船陸通信により通信費用の大幅な削減が期待できるといえる。
 
表2.3.5.2-3 FAX送信と帳票電子ファイル送信との比較(試算)
No. 12月末の帳票送信項目 FAX送信時
ページ数
データ通信時
Kbyte
1 MOチェックリストA 15 178.5
2 MOチェックリストB 9 117.7
3 MOチェックリストC 9 116.3
4 機関部出航前点検 8 107.1
5 月例点検結果表1 2 58.4
6 月例点検結果表2 2 59.3
7 診断計測 14 109.4
8 月例点検チェックリスト1 1 48.6
9 月例点検チェックリスト2 1 53.2
  合計 61頁 848.5KByte
  通信費用計 \8,662 \1,018.2
※FAXによる通信費の試算は\142/頁として試算
※データ通信時サイズは実証実験における12月の通信データ







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