PART3-4 レスキューストックヤード Rescue Stock Yard PART3-4
災害から暮らしの安全を地域で守る
A 名古屋市南区の町並み
伊勢湾台風で深刻な被害にあったこの地域では防災のとりくみがさかん 36 |
写真36は名古屋市南区の様子です。この地域は伊勢湾台風の時に被害が特にひどかった地域の一つです。それゆえ、東海大地震によって大きな被害をこうむられることが予想されます。そこで伊勢湾台風40周年の1999年にいくつかのボランティア団体が地域の防災力と住民の防災意識を高めるための活動を行いました。阪神淡路大震災の経験から、防災を行政だけに任せておくことの限界が明らかになったためです。
防災を住民一人ひとりが自分たちの問題として捉え、自分の家と地域を自分たちの力で守っていこうとする意識を高め、行動に移すことが重要となっています。
B 直面する問題
1995年の阪神淡路大震災では家具・家屋の下敷きで多くの人々が亡くなった 40 |
1995年に起こった阪神淡路大震災の震災後の家の中の様子です。大きな家具が倒れています(写真提供者:和田幹司さん)。阪神淡路大震災で亡くなった方の8〜9割は家の崩壊や家具の転倒が原因だったと言われています。もし家がもっとしっかり建てられ、家具がきっちりと取り付けてあれば、多くの命は救われていたでしょう。「住環境の安全性を高める」ことは、防災の最優先事項です。住環境の整備は基本的には個人で行うものですが、個人では出来ないこともあります。そういうときは地域で助け合い協力し合って住環境を整えていくことが必要です。自助と共助、つまり個人や家族、地域の防災力を高める必要があります。
C レスキューストックヤードの活動
町内会やボランティアと協力し家具の転倒防止作業を行う 44 |
家具の転倒防止のための作業をしています。転倒防止作業には、安全な場所への家具の移動、不要なものの片付け、家具の固定などがあります。これらの作業には知識が必要で、お年寄りだけで行うことは困難です。レスキューストックヤードは、2002年に名古屋市千種区の東山学区で家具の転倒防止作業を行いました。まず町内会の役員に集まってもらい地震に対する基本的知識を伝え、地域の課題を考えてもらいました。そこで出た「震災弱者対策」として、主にお年寄りの家庭で家具の転倒防止作業をすることになりました。住民の中からボランティアを募集し、知識や技術を身につけ、作業にあたりました(最終的には専門家がチェックしました)。当日は129名のボランティアが参加しました。同様の試みは名古屋市中村区と西枇杷島町などでも行っています。
D 防災にそなえる子どもたち
みんなで町内を歩き、防災マップをつくる 48
防災感覚は子どものころから身につけたいものです。名古屋市千種区の東山学区で行った家具の転倒防止作業には多くの若者が参加しましたが、子どもたちが参加できる場面が少なかったので、その機会として地域の防災マップを作ってもらいました。参加者の子どもたちは町内を歩きながら、防災設備のある場所をチェックしたり、防災に関して思ったことをメモしました。写真48はそれらを町内の地図に書き込んでいるところです。できた地図はきれいにまとめて印刷して地域に配布し、とても好評でした。これらの活動を通して子どもたちの防災に対する関心を高めていくことが大切です。
特定非営利活動法人 レスキューストックヤード
【所在地】〒464-0032 愛知県名古屋市千種区猫洞通5-21-2 ライフピア本山3階
【TEL】052-783-7727
【FAX】052-783-7724
【E-mail】rsy@npo-jp.net
【設立の経緯】1995年7月、阪神淡路大震災の被災者支援の継続とその教訓を地元に還元するなどを目的に設立したボランティア団体「震災から学ぶボランティアネットの会」を発展的に解消して設立。2002年3月に愛知県よりNPO法人として認定された。
【組織の目的】「緊急時の被災者支援活動」「災害ボランティアコーディネーターの養成」「平常時の地位防災に関わる各種企画・運営」「緊急時に生かす平常時のリサイクル活動」などの事業を通して、災害に強い町づくりの推進を援助する。
【代表者】代表理事:西田又紀二
【事務局】事務局責任者:栗田暢之
有給専従スタッフ:3名
有給非専従スタッフ:3名
【事務局開所日】月〜土
【事業対象分野】災害救援、町づくり
【事業形態】被災地への人材派遣、被災者救援事業、ボランティアコーディネーターの講座・研修事業、講演会等事業
【活動対象地域】中部地域(東海地区)※災害時は全国
【過去2年間の主な事業】
(1)被災者支援
(2)緊急時に生かす平常時のリサイクル
(3)ボランティアコーディネーターの講座・研修
(4)講演会等
(5)相談・助言・提言
(6)調査研究・出版
(7)人材交流・ネットワーク推進
(8)機関誌発行
(9)情報提供
【設立年月日】2002年3月
【意思決定機関】総会(個人会員147名、団体会員20団体)、理事会(11名)
【会員制度】正会員個人147名、賛助会員個人62名、正会員団体20団体、賛助会員団体8団体
【ボランティア制度】事務、イベント手伝い、ニュースレターの編集・発送、各種防災コミュニティプランの手伝い
【財政】(2002年度)
総収入 24,260,000円
会費:10% 寄付金:20% 事業収入:0% 委託収入:50%
助成金:20%
総支出 24,282,000円
【定期刊行物】「あるある」(ニュースレター、隔月刊、1500部)
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