日本財団 図書館


PART3-3 (財)オイスカ中部日本研修センター OISCA CHUBU NIPPON TRAINING CENTER PART3-3
自然を生かした農業で安定した生活を目指す
 
A フィジーの人々の暮らし
 
正月にカバを飲む陽気な人々 35
 
 フィジーは大小332の島々からなる島国で、その面積は四国とほぼ同じ程度です。気候は熱帯気候で平均気温は24℃と高いです。言語は英語が公用語として定められていますが、国民の約半数を占めるフィジー人はフィジー語を話し、残りの45%を占めるインド人はヒンディー語を話します。フィジーの基幹産業は砂糖産業と観光です。砂糖は輸出額の4割を占める最大の外貨獲得源です。
 フィジー人は明るく陽気です。お正月には村人が大勢集まり、カバ(薬用植物)を飲みます(写真35)。カバは2〜3メートルの低木でその根を細かくつぶして布の袋に入れ、水に浸したものを絞ってつくります。
 
B 直面する問題
 
マングローブの消失は生態を損なうため再生が必要 39
 
 フィジーには18世紀末にヨーロッパ人が入植し、商業伐採やさとうきびプランテーションの拡大が進みました。これによって森林が減少し、1967年から91年までの25年間に900〜1400平方キロの森林が消失したとされています。また農地や宅地の開発、インフラストラクチャーの開発、山火事、商業目的の伐採も環境に大きな影響を与えています。
 森林減少が特に著しい地域はビチレブ島西部のシンガトガ川流域で、山間部での森林伐採により土壌が流失し、河口部のマングローブやサンゴ礁の大量死滅をもたらしています。写真39はマングローブの再生のために植林を行っているところです。
 
C オイスカの活動
 
有機農業を学ぶフィジーの青年たち 43
 
 オイスカは1990年よりフィジー青年の自立を目指し、フィジー国政府青年雇用機会スポーツ省の協力関係のもと、農業を中心とした研修をおこなってきました。研修生はフィジー全土から集まってきており、約1年間寝食を共にし、厳しい研修を乗り越えます。
 オイスカの研修ではフィジーではまだ珍しい有機農業を教えています。高価な化学肥料や殺虫剤を使わずともすむように、身の回りにある家畜の糞やココナッツやさとうきびの絞り粕を利用した「ぼかし」(微生物の働きで有機物を発酵させた肥料)の作り方を指導し、それらを用いて野菜を育てています。またフィジーで需要があるテラピアという魚の養殖や、養蜂などの研修も取り入れています。その他さまざまな研修を通し自分の可能性や仕事への責任感を目覚めさせていきます。
 
D フィジーの子どもたち
 
数年前に植えた大きな松の木の下で 47
 
 フィジー人はインド系とフィジー系にわかれていて、子どもたちの通う学校も別々です。
 子どもたちはとても陽気で人懐っこく、目も大きくてかわいらしいです。生活は貧しくとも、部落単位の村の中で互助の精神が生きています。
 主な産業は農業で、子どもたちは農作業や、家事の手伝い、兄弟の世話など両親をよくたすけています。写真47の松の木は、子どもたちが数年前に植えました。
 
(財)オイスカ中部日本研修センター
【所在地】〒470-0328 愛知県豊田市勘八町勘八27-56
【TEL】0565-42-1101
【FAX】0565-42-1103
【E-mail】oiscactc@mb.i-chubu.ne.jp
【海外事務所】フィジー、バングラデシュ、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、スリランカ、タイ、パプアニューギニア
【設立の経緯】1961年、前身となる精神文化国際機構を設立。飢餓に苦しむインドヘ篤農家を派遣することから、海外協力活動がスタートした。
【組織の目的】宗教や民族、主義主張を超えて、人類の「持続可能な発展」を目的とした活動を展開。開発途上国の産業開発、人材育成、環境保全を推進し、併せて国際交流協会により、相互理解と友好親善に寄与する。
【代表者】小杉辰雄(研修センター所長)
【事務局】職員・ボランティア18名(研修センター)
【事務局開所日】1967年9月
【事業対象分野】海外研修生の研修、海外派遣事業、新入社員研修、農業研修、海外現地プロジェクト支援他
【事業形態】海外研修生・職員派遣、研修・ボランティア受け入れ
【活動対象国】アジア・太平洋地域24カ国(オイスカ全体で)
【海外の主な協力団体】オイスカ海外各総局、現地政府他
【過去2年間の主な事業】
国内:
(1)海外研修生の受け入れ(1年間・約25名)
(2)国際協力講演会
海外:
(1)スリランカ海外派遣
(2)マレーシアボルネオ海外派遣
(3)タイ海外派遣
【設立年月日】1967年9月岡崎市に研修センターを設立
【意思決定機関】愛知県支部、県下各支局
【会員制度】法人・個人会員 県内会員数約1200名
【ボランティア制度】有
【財政】(2002年度・オイスカ全体で)
総収入1,227,459,335
支出 研修事業費21%、海外技術協力費25%、緑化活動18%、国際交流4%、調査研究・国際会議1%、啓発費17%、事務所費12%、その他3%
【定期刊行物】「OISCA」(月刊10,000部)
「LOVE GREEN NEWS」(3・6・9月刊8,000部)
「OISCA BULLETIN BOARD」(季刊6000部英語)
「中部なう」(月刊1,200部)
 
フィジー
1. 面積 18,333km2
2. 人口 85.4万人(00年フィジー政府統計局)
3. 首都 スバ(16.5万人、96年調査)
4. 人種 フィジー系(51.0%)、インド系(44%)、その他(5.0%)(98年調査)
5. 言語 英語(公用語)の他フィジー語、ヒンディー語を使用。
6. 宗教 フィジー系はほぼ100%キリスト教、インド系はヒンズー教、回教。全人口に占める割合はキリスト教52.9%、ヒンズー38.2%、回教7.8%(86年調査)
 







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION