PART3-2 ソムニード SOMNEED (Society for Mutual aid, Networking, Environment, Education & Development) PART3-2
森の恵みを回復し自律した暮らしを築く
A インドの人々の暮らし
インド南部の山岳農村地域の貧困家庭 34
インドは日本の約9倍の国土をもち、人口約10億人(世界で2番目)の大国です。首都はインド北部にあるデリーです。インドは州ごとに言語が違い、憲法で定められている公用語もヒンディー語など17言語にものぼります。そのために共通語として英語が広く使われています。
私たちソムニードが協力しているプロジェクト地域は、インド南部のオリッサ州、アーンドラ・プラデシュ州、タミル・ナードゥ州に広がっています。オリッサ州やアーンドラ・プラデシュ州の北部には、山岳農村地域が広がり、インドの中でも辺境の地といわれ、もっとも貧しい人々が多く住んでいます。写真34はこうした貧困家庭の家です。
B 直面する問題
森が失われ、やせた土地を耕す 38
都会にいては気がつきませんが、ちょっと郊外に出て農村地域を列車で走ると赤茶けた大地が目に付きます。実は、インドの森林面積は国土の約11%にすぎません。オリッサ州やアーンドラ・プラデシュ州の北部地域は特に少なく、森林面積が8%にも満たない状況です。
もともとこの地域の人々は、豊かな森の恵みで生計をたててきました。しかし、英国の植民地時代に森の木は鉄道の枕木等にするため乱伐され、その後、鉱山の開発や家畜の放牧などにより、深い森に覆われていた山々ははげ山になってしまいました(写真38)。その結果、森という生活の基盤を失った人々は、その日ぐらしの日雇い労働などで生活の糧を得るしかなくなり、どんどん貧しくなっていきました。
C ソムニードの活動
村人主体の植林活動 42
ソムニードは、豊かな森の恵を取り戻すために森林再生の試みをしています。環境保全と収入向上を併せた植林を行い、これまでに1000世帯以上の村人の協力を得て、約400ヘクタールの植林を行ってきました。もともとその土地にあった14〜5品種の樹木の苗木を混植し、植える場所、樹木の選定、植えた後の管理、森林の保護など、村人と共に考え話し合いながら植林を実施しています(写真42)。
ソムニードは、「村人たちはどのような村を作りたいのか」という生活者の視点にたって、常に村人と話し合って事業を進めています。自立を支援するためには、いかに村人が主体的に取り組むことができるかが重要だと考えているからです。
D インドの子どもたち
女の子は小さいときから家事をまかされる 46
インドの貧しい村では、子どもたちは小さい頃から仕事をします。お手伝いではなく家族の生活のために働くのです。子どもたちは小さな妹や弟の面倒、水くみや薪運び、ご飯の支度、畑の仕事と大忙しです。村の中に小学校はありますが、たいていの場合4年生頃になると来なくなります。
特に女の子は、早い時期から一家の仕事を任され、ほとんどの場合小学校を卒業することができません。写真46の女の子は、家計を助けるため、近所の家で牛の世話をして働いています。15〜6歳頃になると結婚し、子どもを産み育てます。学校に行けない子どもたちは、大人になっても文字の読み書きができず、そのために農薬を薬と間違えて飲み、死んでしまった人もいます。
特定非営利活動法人 ソムニード
【所在地】〒506-0026 岐阜県高山市花里町1-26-25
【TEL】0577-33-4097
【FAX】0577-36-5471
【E-mail】info@somneed.org
【海外事務所】Door No: 4-51-25 Lawsonsbay Colony Vishakapatnam. Pin: 530 017, Andhra Pradesh, INDIA
【設立の経緯】旧西ドイツの団体から支援を受けて最貧困層の人々の支援を行っていたインドのNGOが、東西ドイツの統合の影響で突然資金援助をうち切られた。これに伴いインドのNGOリーダーから日本の友人に支援の要請があり、これに応えるため1993年に有志により団体を設立した。
【組織の目的】発展途上国の農村部の貧困層の自助努力を支援するとともに、自国の生活のあり方を見直し、支援対象者とパートナーシップを築いて、より良い地球社会を目指す。
【代表者】和田信明(代表理事)
【事務局】有給専従:国内3名、
海外9名(うち現地スタッフ:6名)
無給専従:国内3名
無給非専従:国内3名
【事務局開所日】月〜金
【事業対象分野】農村開発、都市(スラム)開発、適正技術、教育、給水・水資源、小規模融資、自然災害、植林・森林の保全、代替エネルギー、女性、少数民族、被災者
【事業形態】人材派遣、調査研究、政策提言、資金助成、物資供給、情報提供、緊急救援、研修生受け入れ
【活動対象国】インド、ネパール、国内
【海外の主な協力団体】CSSS(インド)、Mahira Action(インド)、BREDS、LAYA、WIDA、ODAF
【過去2年間の主な事業】
海外
(1)植林・環境再生
(2)女性自助グループの育成事業
(3)農村開発研修(測量実習、共同体資源管理システム訓練など)
(4)ネパールプロジェクト事前調査
(5)代替エネルギー事業(ソーラー発電・風力発電など)
国内
(1)染色と手漉き紙材料開発を通した女性自立支援事業
(2)国際理解教育支援事業(国際理解教育教材作成)
(3)市街地空き家を利用した地域づくり支援
(4)NGOスタッフ養成事業
(5)NGO/NPOに関する相談業務
【設立年月日】1993年4月
【意思決定機構】総会(35名)、理事会(7名)
【会員制度】正会員(個人35名)、維持会員(個人328名)
【ボランティア制度】国内事務、イベント、キャンペーン、ニュースレター、コンピューター入力
【財政】(2002年度)
総収入 53,678,824円
会費:3.8% 寄付金:10.5% 政府委託金:1.3% 民間委託金:6.0% 民間(財団・公益信託等)助成金:5.8% 外務省NGO事業補助金:8.1% 地球環境基金:9.9% その他:45.2%
前年度繰越金:9.5%
総支出 53,678,824円
事業費 21,015,629円(海外事業費16,269,864円、国内事業費4,745,765円)
事務管理費 2,503,854円 その他23,381,078円 繰越金6,778,263円
【定期刊行物】
「Sangham」(ニュースレター、年3回、1,000部)
「カシューナッツ・メール」(ニュースレター、年2回、1,500部)
「年次報告書」(500部)
インド
1. 面積 3,287,263km2(印側資料:パキスタン、中国との係争地を含む)
2. 人口 10億2,702万人(01年国勢調査)
3. 首都 デリー(Delhi)
4. 人種 インド・アーリヤ系、ドラビダ系、モンゴロイド系等
5. 言語 連邦公用語はヒンディー語、他に憲法で公認されている州の言語が17
6. 宗教 ヒンドゥー教徒82.7%、イスラム教徒11.2%、キリスト教徒2.6%、シク教徒1.9%、仏教徒0.7%、ジャイナ教徒0.5%
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