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PART2-4 フロンティアとよはし Frontier Toyohashi PART2-4
在日外国人と地域で共に生きる活動にとりくむ
 
A 在日外国人の割合
 
豊橋市に住む外国人の63%がブラジル人 20
 
 愛知県豊橋市には外国人が1万7千名近く住んでおり、中でもブラジル人はこの14年間に14倍に増え、1万人を超しました。その数は県内第1位です。
 豊橋で生まれ育った「ブラジル系日本人」の児童・生徒は着実に増えて630人となり、「ブラジル学校」にも約300名が就学しており、不就学率は全国の他都市と比べて低いです。毎年入学期を迎える度に外国人児童・生徒の保護者説明会を開くなど対応に努力しているほか、「ブラジル学校」の存在も大きいです。豊橋市の日系ブラジル人は5年以上の滞在が半数近くにのぼり、家族滞在の割合が9割と多いのが特徴です。公営住宅入居者が全体の半数近くを占め、市内の団地に分散居住しているため住民との摩擦は少ないと言えます。
 
B 直面する問題
 
「私はブラジル人?日本人?」
アイデンティティに悩む子どもたち 24
 
 外国人の子どもたちは日本の学校では日本語で勉強しますが、家庭での会話は母語(ポルトガル語など)で会話します。母語は話せても読み書きが出来ない子どもが多いです。
 こういった子どもたちは「私は母国の人間?それとも日本人?」という文化的アイデンティティの狭間に悩むときが来るでしょう。子どもたちは母国の歴史や文化を学べば母国に対する誇りを持つことができ、その後の人生の糧とすることができます。帰国後を考え、子どもを母語教育がうけられるブラジル学校に行かせる親も多いのですが授業料の負担が重いため子どもが何人もいる家庭では難しいです。
 
C フロンティアとよはしの活動
 
日本の社会や言葉を学ぶ教室を開催 28
 
 外に仕事に出ない母親は幼児の養育や内職に忙しく、家族以外との接触や日本語を使う機会が少なくなります。他方、日本の学校に入学すると子どもたちの会話は日本語が主となり、親子のコミュニケーションに悩むことが多くなります。母親は日本語や、日本の社会生活に必要な知識を学習したいと切実に思っています。こうした思いに応えるため、フロンテイアとよはしでは市内数箇所で「母親学級」「親子日本語教室」を開いています。
 また、小学校低学年の子どもを対象とした母語の識字学習を開催しています。「仲良し料理教室」では日本料理と南米の料理を交互に実習し、日本人とブラジル人親子の交流を目的に楽しく学べる体験を通じて多文化共生を推進しています。
 
D 在日外国人の子どもたち
 
夏休みに「学習サポート教室」で勉強 32
 
 「ことば」の壁が大きな問題で「イジメ」に悩み不登校になる子がいます。子どもたちにとっては未就学の原因も「ことば」による場合が多く、非行も増えています。こうした問題に取り組むため、夏休み期間に「学習サポート教室」を学校に隣接する校区の市民館で開催しています。
 講師は学校職員、教育相談員、PTA役員、ブラジル人高校生、ボランティアなどで学区の地域を挙げて取り組みました。
 学校が地域社会の拠点になって多文化共生社会を推進し、「ことばの壁に悩む子どもたち」を救う活動を広げていこうと思います。
 
特定非営利活動法人 フロンティアとよはし
【所在地】〒440-0066 豊橋市東田町88-1
【TEL】0532-66-4777
【FAX】0532-66-4777
【E-mail】frontier@sweet.ocn.ne.jp
【設立の経緯】豊橋には外国籍の市民が多く、なかでも南米出身日系人は1万2000人と県内でも一番多く住んでいる。これらの外国人に対し1994年から支援活動を進めていたが1998年のNPO法成立に伴いNPO法人を設立した。
【組織の目的】この町に住み、働きに訪れる全ての外国籍の市民と一緒に生活する上で、多文化・異文化を理解し、調和のとれた町づくりを進めるため、医療・教育の支援活動および生活環境改善について行政に要望・政策提言活動をする。
【代表者】伊藤育雄(代表理事)
【事務局】代表理事が兼任
【事務局開所日】月〜土
【事業対象分野】国際協力、教育、医療福祉、町づくり
【事業形態】日本語・母語教育支援、生活一般支援、調査研究、政策提言・要望、NGO/NPO間ネットワーキング
【過去2年間の主な事業】
(1)医療福祉支援活動
・健康相談と検診会
・ブラジル学校検診会
・子育て相談会
・相談ホットライン
(2)教育支援活動
・日本語教室(母親学級、親子日本語)3教室
・母語教室(ポルトガル語)3教室
・なかよし料理教室(PTAと協働)2教室
(3)外国人支援に係る生活環境改善要望・政策提言
【設立年月日】1998年12月
【意思決定機関】総会、理事会
【会員制度】正会員(個人10名)、賛助会員(個人40名)
【ボランティア制度】通訳、翻訳、日本語・母語(ポルトガル語)講師、HP編集など
【財政】(2002年度)
総収入 2,095,945円
会費 7.3% 寄付金 20.7% 委託収入 23.8% 助成収入 47.7% その他 0.5%
総支出 2,085,521円
事業費 59.5% 管理費 40.5%
【定期刊行物】
「FRONTIER」(ニュースレター、季刊、500部)
「事業報告書」(年次報告書)
 
豊橋市
1. 面積 261.26km2
2. 人口 37万5,753人(2004年)
 







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