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PART2-3 キャンヘルプ・タイランド C・A・N・H・E・L・P Thailand PART 2-3
格差に苦しむ地域で学びを支援する
 
A タイの人々の暮らし
 
町の広場にたつ朝市のにぎわい 19
 
 近隣の人たちが早朝の暗いうちから商品を持ち寄って、町の広場に市がたちます(写真19)。少し明るくなるころから買い物客が現れ、やがて雑踏となって広場は喧騒につつまれます。人ひとりがやっと通れる通路をたどると様々な食材を見ることができ、庶民のエネルギーと生活の一端を体感できる楽しい場所です。
 市場では色々な食材が売られています。野菜や果物は種類が豊富で、日本では見ない珍しいものがいっぱいです。魚類は川魚が多く、生きたまま売られています。肉類は牛・豚・鳥はもちろん、アヒル、そしてカエルの肉まであります。
 
B 直面する問題
 
広がる格差
−首都バンコクにそびえる高層ビルと貧しいスラム街 23
 
 首都バンコクのチャオプラヤ川辺の高層ホテルと粗末な住宅(写真23)。タイはもはや最貧国ではありません。バンコクは人口が700万人を超え、高層ビルが立ち並び、道路は自動車で大渋滞です。街を行き交う人の装いは日本人と変わりません。
 タイの農村も変わってきています。テレビやバイクを持つ家も増えました。しかし、これは借金や出稼ぎをする人を更に増やすことにもつながっています。
 都市の各所でスラムや物乞いをする老人や母子を見かけます。夜更けまで花や宝くじを売る子どもたちもいます。経済発展の影で、貧富の差が拡大したようです。
 
C キャンヘルプ・タイランドの活動
 
校舎建設で汗をながすタイ人と日本人 27
 
 教室棟の建築現場(チャヤプーム県バンドゥア中・高等学校)です。キャンヘルプ・タイランドは、タイの東北地方(イサーン)での学校建設を支援しています。写真27ではタイの職人がミキサーで作ったコンクリートを地元の高校生と日本人ボランティアがバケツリレーで教室の床に流し込んでいます。ボランティアは毎年3月から募集し、数回の研修をうけて7月下旬からタイに入国、2〜3週間建築作業に従事します。学校に宿泊し、朝9時から夕方5時までの炎天下での作業です。大変ですが、陽気な職人や生徒たちとの共同作業は疲れを忘れさせてくれる楽しさがあります。作業の後は、日本人を見物に来る子どもたちや村人との交流で夜がふけます。
 
D 東北タイの子どもたち
 
元気な子どもたちだが栄養不足の子も多い 31
 
 急速な経済成長にともないタイは学歴社会に変わりつつあります。首都バンコクでは、日本と同様に「良い学校」に入るために幼稚園から受験競争が始まるそうです。一方、東北地方では、やっと小・中学校の校舎不足が解消された段階です。子どもたちは元気に裸足で校庭を走りまわっていますが(写真31)、栄養不足の子も多く、当団体の「給食支援」を多くの学校が希望しています。
 小学校も5〜6年生になると親と一緒に出稼ぎに出るようです。そのせいか就学率も全国平均より10%近くも低い現状です。しかし、近年の高学歴志向に伴い、従来高校生までを対象としていた当団体の奨学金を、昨年から大学生にも支給することになりました。
 
キャンヘルプ・タイランド
【所在地】〒450-0003 名古屋市中村区名駅南1-20-11 NPOプラザ名古屋2階
【TEL & FAX】052-566-5131
【E-mail】canhelp@npo-jp.net
【設立の経緯】1990年アメリカ人ハリー・レイ(当時筑波大学教授)が、教え子の故郷であるタイのイサーン(東北)地方を訪れ、あまりにひどい教育環境に驚き、カナダ(Canada)、アメリカ(America)、日本(Nippon)の友人に呼びかけて会を設立した(団体名のC・A・Nは、この事に由来する)。
【組織の目的】タイの最貧地区といわれるイサーン地方の子どもたちが、健康(Health)で十分な教育(Education)を受けることによって、将来に向けて愛(Love)と目的(Purpose)を持って生活してゆく事ができるように教育基盤の整備を援助する(団体名のH・E・L・Pは、この事に由来する)。
【代表者】西川弘達
【事務局】運営委員(全員無給)
【事務局開所日】火・木・土 13:00〜17:00
【事業対象分野】教育支援
【事業形態】奨学金、給食自立の資金援助、教育施設建設の援助、姉妹校提携の仲介、図書支援(購入費援助と絵本寄贈)
【活動対象国】タイ(東北地方中心)
【海外の主な協力団体】FREE(タイ、バンコク)
【過去2年間の主な事業】
海外:
(1)ビルディングプログラム:サケーオ県、カラシン県においてボランティア計92名が参加し、教育棟2棟、図書館2館、多目的教室1教室の建設を支援
(2)奨学金プログラム:1085名に支給
(3)ランチ・プログラム:給食自立化のための資金援助(40校対象)
(4)図書プログラム:絵本250冊寄贈。図書購入費支給
国内:
(1)タイ料理教室開催
(2)国際理解教育:講師派遣
(3)各種イベントに出展
【設立年月日】1990年10月
【意思決定機関】総会(全会員)、理事会(6名)、運営委員会(15名)
【会員制度】
正会員180名(年会費3,000円)、賛助会員220名
【ボランティア制度】
国内:
事務所当番(電話、パソコン操作)、会報発送業務、イベント手伝い、翻訳(英語、タイ語)、絵本への翻訳シールの添付
海外:
建設ボランティア
【財政】(2002年度)
総収入 23,401,325円
(会費:2.3% 寄付金:31.6% 事業収入:40.9% 助成金:9.9% その他:0.2%
前年度繰越金:13.9%)
総支出23,401,325円
(事業費:55.9% 諸経費:4.6% 次年度繰越金:39.5%)
 
【定期刊行物】
ニュースレター(年4回)
ビルディングプログラム活動報告書(年1回)
会報(年次報告、年1回)
 
タイ
1. 面積 514,000km2
2. 人口 6,346万人(2002年)
3. 首都 バンコク
4. 人種 大多数がタイ族。その他、華僑、マレー族、山岳少数民族等。
5. 言語 タイ語
6. 宗教 上座部仏教 95%、イスラム教 4%
 







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